電脳塵芥

四方山雑記

デマなどの検証コストとリターン

 おそらくこのブログの半数以上の記事はネットの胡乱情報の検証記事だったりするわけですが、それについての検証コストの話という名の愚痴でも。

 よく言われることですがデマなどの情報は低コストで検証は高コストです。当方のブログ記事でも当然ながらそれを免れ得ません。別に義務感もなく半ば趣味なのである意味で言えば趣味に費やす時間が増えたという超絶ポジティブ思考も可能と言えば可能で実際そういう探求を「楽しい」と思う自分もいたりしますが、その反面でゲームしたいし、本読みたいし、他に時間使いたいし……となるのも人の常。

 

2020年での主な検証記事

 まず今年現時点でうちのブログでの検証系記事は大体これくらいあります。

厚労省調査によるホームレス数の推移について
 ※発端:ツイッター速報
10代の身長が低下しているという話について
 ※発端:日経COMEMO記事
沖縄の豚熱(CSF、豚コレラ)で玉木デニー知事が予防接種を渋ったという話について
 ※発端:ツイッター
浴室保有率についての話
 ※発端:ツイッター
国民皆保険についての話
 ※発端:ツイッター
安倍首相の私邸での自由時間は多分たくさんあります
 ※発端:ツイッター
マスクの日本の生産量とか中国などからの輸入量について
 ※発端:政治知心
4月のマスク輸入量、むっちゃ増えたよ
 ※発端:菅官房長官発言
スイスでは過去の遺物である「スイス民間防衛」についての話
 ※発端:黒瀬深
日本以外にも無人販売所ってあるよ
 ※発端:ツイッター
生活保護批判と自民党について
 ※発端:安倍晋三首相(当時)の発言
電車内での痴漢の話について
 ※発端:ツイッター
エロい恰好をしてるから痴漢に会うというわけではない
 ※発端:ツイッター
2006年の潘基文の国連事務総長出馬で日本は反対したか
 ※発端:ツイッター
宇都宮陣営と小池陣営がつながっているという拡散画像について
 ※発端:ツイッター
2018年の子どもの貧困対策が1.5億円だったというツイートについて
 ※発端:ツイッター
元自衛官による熊本地震後に阿蘇市であったという「在日」に関するツイートについて
 ※発端:ツイッター
レバノン爆発に関する硝酸アンモニウムで流布される韓国関連の話について
 ※発端:シェアニュースジャパン
【デマ】「土井たか子、福島瑞穂が韓人、小沢一郎、菅直人は済州島出身」という話について
 ※発端:ツイッター
「シュン@ひろしまタイムライン」について出典元やその他の書籍との比較
 ※発端:NHK
名護市へ選挙の為に引っ越しした人がいるという話について
 ※発端:ツイッター
黒瀬深が民主党政権下で国葬ってデマ吐いてる
 ※発端:黒瀬深
【デマ】「北海道へ中国人500万人移住計画」について
 ※発端:ツイッター
レジ袋有料化の簡単な歴史的経緯について
 ※発端:アノニマスポストやツイッター速報&ネタ元は東京新聞記事
貯蓄ゼロ世帯、ワーキングプア、個人消費、エンゲル係数などの推移について
 ※発端:ツイッター
ツイッターで出回っている「トランプ氏の実績」について
 ※発端:ツイッター
終戦直後、共産主義者たちが御所に乱入して「自分達とそれほど変わらない」天皇の食材を見たという話について
 ※発端:ツイッター

 個人的興味からの検証記事みたいなのはまだあるんですが、何かしらの媒体での波紋をもとに検証したのはこんな感じ。きっかけの大半はツイッター。あと念のために書いときますが、すべてがデマ検証記事というわけでもありません。

  

大まかな検証コスト

・ネットの検証コスト

  まず大概の検証はネットで完結します。そうすると安楽椅子探偵的なものでPCの電気代以外はかからないものの、それでも時間というコストは大いに喰らう。記事によっては1000字近辺で終わるのもありますが、5000字近辺、時には1万字超えとかもあって当然字数が多いほど時間はかかる*1そしてネットの情報は特に玉石混交で、石どころか塵みたいな情報もあり……。1000字程度だと1時間程度で終わるものもありますが、体感的ではあるものの平均で一つの記事で5~6時間はかかっていると思います。なお、これが外国圏の検証が必要であったり、最早ネット上に現存せずにアーカイブを用いるなどとなると更に時間を食う羽目になることはしばしばあり、記事によってはネットだけで10時間以上かかっている案件も存在してると思います。それと大抵は1日で書き切るわけではなく複数日に渡ることもザラ、というより大体は「書こうと決める → 検証のためにプレ調べ → 一旦休止、日を跨ぎながらの頭の中で構成 → 後日に記事を書く(ここで数時間)」となるので複数日が普通です。そして複数日かかるということは、日常生活下でそれらに思考を割くという換算できない時間コストも存在します。

 

・新聞、書籍などの図書館利用によるコスト

 過去についての検証記事だと新聞データベースが役に立ったり、同じくクリティカルな内容が書かれている 書籍も存在することがあるのでこれらは図書館を用いて検証しています。図書館自体は近くにあるものの図書館までの移動時間コスト、まあこれは運よく近くに図書館があるので片道10分くらいで行けはするんですが、私が住んでいる市の図書館では読売新聞のデータベースの大体平成より前が検索できないので必要な場合は隣の市図書館に行く必要があり電車賃往復300円がチャリンチャリンと減っていく。そして新聞、書籍で参考になりそうな箇所があるとコピーして1枚10円チャリンチャリン。図書館を使用する場合、少額ながらも地味に金銭コストがかかることがあります*2なお例外的な事例と言えますが、このブログで今年それなりに反響のあった「シュン@ひろしまタイムライン」についての記事で使用した本は自費出版の希少本で蔵書している図書館は少なく、そして国会図書館においても当時は貸し出し中だったので神川県に出向き、広島県に出向きで、これだけは万単位で金銭が飛びました。調べたいという衝動が抑えられなかった。とはいえ財布は寂しくなった。

 

・直接問い合わせによるコスト

 ごくまれに真偽を判断できる立場に直接聞いてみることがあり、例えば「元自衛官による熊本地震後に阿蘇市であったという「在日」に関するツイートについて」などでは市役所に問い合わせをしています。問い合わせ自体はそこまでのコストではないんですが、返信を待つという時間的コストがかかるといえばかかります。返ってくるかもわからない時もあるのでやきもき。 

 

 まとめると例外的な事例を除けば金銭コストは少ないものの、時間的コストは結構かかり、全体では複数日、記事を書く段階では半日消費するのはザラ。流す側のコストを考えた場合、まとめブログ系が一記事にどれくらい時間をかけているのか分からないものの複数日をかけることや図書館に行ってというのはありえないだろうし、いわんや単発のツイッターによる情報発信コストは微々たるものでしょうから、情報発信と検証のコスト差はかなりのものとなるのかなと。

 

リターン

  ほぼない。極々たまにPVが万を行くこともありますが、このブログは収益化を目指していないのもあって申し訳程度で貼ってるアマゾンリンクによる収益は今年2000円ちょっとです*3。コピー代は賄えても交通費あたりで泡と消えた。デマ発信のまとめブログがどれくらい稼げているのかは知りませんが、多分それらに比べてたら吹けば吹き飛ぶ金額でしょうね。あ、あといくつかのアカウントからはブロックされました。健全なツイッターライフを送れるというリターンといえるかもしれない。

 

 所謂ファクトチェック、個人でやるにはコストとリターンが割に合わない。デマ検証系記事のあるまとめブログもあるとはいえ、そちらよりもデマ拡散系のまとめブログの方が多く見受けられるし、影響力もそちらの方が大きそう。昨今においては各新聞社がファクトチェックと称した記事も多くなってきたものの当然ながら基本は社会的には意義のある問題への検証が主。ネットメディア系だとバズフィード、InFactなどのネットメディアを目にすることもありますが、それでも世にそれらのメディアも検証しない胡乱な情報は流れ続けてて、今日もどこかで流れてるでしょうし。

  何が言いたいかというと別に何もないので、おわり。

*1:うちのブログの検証記事、若干文字が多すぎな気もします。サラっと述べていなくくどいことが多くとっつきにくいなと。丁寧に書くと長くなるとはいえ、きれいな文を書きたい……。あと誤字が多すぎるのどうにかしたい。

*2:新聞データベースがある図書館が近くにあるのとても重要で、これが少し場所を移すだけで新聞データベースどころか図書館すらないという場合もあり。もしそういう場所に私が住んでたら書けない記事は複数存在するわけで。図書館って大事。

*3:現在のPVだと収益化を目指してもそれによる出費が回収できればいい程度でしょうから、そういうのしません。