というツイートに対して貼られている画像が2016年や2017年だったので2020年現在でそのデータは古くないみたいな事を指摘したらブロックされてしまい。悲しい。私の悲しみは置いといて、指摘した手前では実際にはどうなのかのデータを貼っておきます。
さてツイートには、
・貯蓄ゼロ世帯増加
・ワーキングプア増加
・会社員の給料減少
・個人消費減少
・エンゲル係数上昇
・2度の消費増税
というのが挙げられています。一番下の二度の消費増税についてはその通りでしかないのでこれは無視、会社員の給料(手取り)現象についても行政の資料からは(多分)分かりませんのでスルーするとして、それ以外の4つについてみていきます。
貯蓄ゼロ世帯増加
件のツイートには貯蓄ゼロ世帯の画像は貼られていませんが、これは以前私自身のブログで書いていたのでそこから情報を流用します。過去の自分に感謝。
現在、2019年までの結果が出ており、そう遠くない時期に2020年の結果も公表されると思います。多分、今年はコロナ禍という状況を感が見えれば悪化する可能性の方が高いでしょう。それはひとまず置いてみて2019年までを見ると2017年から貯蓄ゼロ世帯は減少しています。民主党政権時などと比べた場合、単身世帯は増加しているといえる数値ではありましょうが、二人以上の世帯に限り見ると民主党政権時より「増加」として批判するかは微妙なところ。ただ、この17年から19年の減少については上記記事でも指摘しましたが設問の仕方が変更された影響で2017年以前と2018年以降でデータのとり方が変わり、データに連続性がなくなりました。なので貯蓄ゼロ世帯の減少を語る際には注意が必要な案件です。
ワーキングプア増加
これの出典は「民間給与実態統計調査」から。とりあえず2000年から最新のデータである2018年までの推移を載せておきます。
※小数点以下四捨五入
件のツイートのグラフと比較した場合、
【ワーキングプア(全体)】
2012年:1090万人
2016年:1132万人
2018年:1097万人
【ワーキングプア(女性)】
2012年:796万人
2016年:833万人
2018年:808万人
以上の通り。現状、民主党政権時よりも増えたままであることは言えますが、こう見るとツイートにある数字よりも改善されていることが分かります。
個人消費減少
これは内閣府の「国民経済計算(GDP統計)」の統計表一覧を参照すると現在までの流れを分かります。そして2008年からグラフ化したのは以下の通り*1。
以上の様に消費税の影響は顕著であり、消費税8%後からの上昇は鈍く、そこからの回復が十分になされないうちに消費税10%で減少、さらにコロナ禍による大幅減少というのがグラフからみても明らかです。民主党政権時よりも個人消費そのものは上がっているものの3.11を除けばその時期から回復&上昇傾向であったものが消費税8%によって大幅なブレーキを掛けられた後に消費は停滞、その状態で消費税10%が来たのが分かります。コロナ禍による下落は第3四半期が出れば多少の回復はするでしょうが、それ抜きにしても消費税8%からの回復までの時間の流れを考えれば消費税10%からの回復には時間が必要でしょう。何よりコロナ禍がいつ収束するかわからない現状においては先行きは当分暗そうではあります。
エンゲル係数上昇
こちらの出典は「家計調査」より。エンゲル係数については安倍政権から2016年ごろまでは上昇傾向にあり、その後は停滞傾向にあります。そしてついでに月ごとのエンゲル係数を見た場合、以下の様になります。
消費税10%後に全体的に上昇傾向に見えますが、3月以降の上昇はコロナ禍の影響もありエンゲル係数が30%超えている月も存在しており、深刻に考えるべき状況かもしれません。
以上、件のツイートにあった個々の数値の現在はどんなものかと追ってきたわけですが、事程左様に2020年現在の今2016年あたりのデータを持ってくるのは現代の社会を見るうえで甚だ解像度を落とす仕草です。そしてその今現在のデータからエンゲル係数、個人消費、ワーキングプアなどの問題は未だに改善はされずむしろコロナ禍もあって状況は悪化しているのが類推できます。なので今現在を知るならば今現在に近い数値を提示したほうが良いかと。新聞やテレビなどの切り抜きを貼るのは楽ですし、分かりやすい権威(それを意識はしてないと思いますが)もあるとはいえ、時が過ぎれば情報は風化します。政権批判はどんどんすれば良いのですがいつまでも風化した情報で批判するのはわきが甘いと言わざる負えません。というか、もしその後にその数値が改善していればデマレベルとは言いませんがかなり不正確な情報という指摘は免れ得ません。画像を持ってきて批判するのは楽でしょうが、各数値は調べれば出てくるわけですしそこは横着せずにやってほしいと思う次第です。ブロックされたので伝わるかは分かりませんが。
*1:なお数値が異なりますが、季節調整は直近値までを対象に毎回かけ直すために新聞からの切り抜きと数値が異なるものと思われます。