電脳塵芥

四方山雑記

【資料】「帰化した国会議員」、「小沢一郎は済州島出身」の出典元

 ネット上でたまに流れてくる画像の原本のコピーを入手したので出典元を置いておきます。なお上記記事は両方ともデマです。

一枚目の画像出典

出典元:国民新聞 2010年1月25日4面

この記事については過去に「 【デマ】「土井たか子、福島瑞穂が韓人、小沢一郎、菅直人は済州島出身」という話について - 電脳塵芥」という記事で検証しているのでご興味があれば。デマです。

二枚目の画像出典

出典元:国民新聞 2011年12月25日5面

かなり大量でかつそれ故に馬鹿らしい内容なので逐一の検証を差し控えますが、一枚目の画像を検証した際のデマ情報も混ざっており、また過去には河野太郎氏が訴訟的な話もしており、当然ながらデマです。で、このリストを提供したとされるのは日本会議埼玉支部の吉田滋氏ですが、実はこの方は「日本会議埼玉・草加支部のブログ」で2015年頃まで記事を定期的に書いていました。そちらにはこの「帰化人国会議員一覧」がないことが不思議であり、さらに一回もこの話題を記事化していません。なお、「帰化」で一件ヒットしますが、それは次のような内容。

2015年 08月 22日 吉田滋連載コラム0037 最終号
朝鮮(韓)に対する正しい認識
(略)
 この事件の総括は極めて明瞭で、既に筆者はコラム〇〇二四「断固朝鮮(韓)に反撃せよ」に於いて凡そ以下の如く論述した。 (一)朝鮮半島の歴史には先史時代は存在せず、六〇〇〇年前頃より日本人(縄文人)が渡って行き、以降数千年に亘り往来し、そのため「帰化」という言葉まで生まれた。その後半島には支那(漢)や北方民族が侵入し急速に混血が進んだ。この様な混血状態は支那大陸でも同じであるため、両国の異常性は瓜二つと形容できよう。

ここからもかなり特殊な世界観は持っていることは伝わります。なぜ国民新聞に書いた内容をブログで書いたのか、どうやって議員の名前を書き連ねたのはかなり謎ですが、それは吉田氏のみが知る事でしょう。デマ情報が元となっている議員以外は本当に謎。嫌いな人間を書き連ねただけかもしれない。記事は最後に吉田氏の「この資料の真実性はほぼ間違いない。火のない所に煙立たずだ」という文章で締めていますが、本当に真実性があるならばこの筋からの続報がないこと、入手したにもかかわらずリストそのものを何らかの形で提示していないこともかなり不自然。火のない所に煙を立てようとしていると捉えた方がよい。
 両者とも10年以上前の画像となり、どんどんと廃れては来るでしょうが資料としてここに残しておきます。最近はこの手のネタを創作する手合いが減ったのか、これ系の新しいデマ情報があまり見なくなったことだけは良い傾向なのかも。目に入ってきてないだけかもしれないけれど。


【7月19日追記】
 この「帰化人国会議員一覧」についてもう少しだけ深堀します。まず結論、とまで確定は出来ませんがこのリストの出典元はヤフー知恵袋のとあるユーザーの書き込みだと考えられます。該当の知恵袋の質問は「民主党、小沢一郎は在日韓国人帰化の家系なのですか?」。そして2010年2月13日に書き込まれた以下の回答が帰化議員一覧のリストの元ネタと思われるものです。

「悪法に賛成している議員の多くが成りすましの外人、彼らの日本の苗字は在日の通名小沢一郎の母は済州島出身で一郎は時々墓参りに島を訪問、土井たか子の本名は李高順、福島瑞穂は趙春花、」などのコメントを拝見しても半信半疑でした。
(略)
昨年、自民党法務省が登録法を変えようとしたときに民団、総連が反対した理由が分かる気がします。
小沢一郎は間違いなく朝鮮系だと思います。
民主と言うにはかなりの朝鮮系が多いと思います。
 
民主党国会議員のうち70人は朝鮮系であると言われている。(なりすましや在日で日本国籍をとった人がほとんどではないか。)
千葉景子(民主)
福島瑞穂(民社)
岩国哲人(民主)
土肥隆一(民主)
金田誠一(民主)
岡崎トミ子(民主)
簗瀬進(民主)
山下八洲夫(民主)
中川正春(民主)
横道孝弘(民主)
神本美恵子(民主)
河野太郎(自民)
辻元清美(社民)
加藤紘一(自民)
東 順治(公明)
衛藤征士郎(自民)
鉢呂吉雄(民主)
今野 東 (民主)
松野信夫(民主)
平岡秀夫(民主)
赤松広隆(民主)
小宮山洋子(民主)
鳩山由紀夫(民主)(夫人が朝鮮系)
横光克彦(民主)
松岡 徹(民主)
水岡俊一(民主)
保坂展人(社民)
群和子 (民主)
犬塚直史 (民主)
佐藤泰介 (民主)
谷博之 (民主)
藤田幸久(民主)
増子輝彦 (民主)
河村健夫 (自民)
中川秀直 (自民)
大村秀章 (自民)
野田毅 (自民)衆
照屋寛徳 (社民)
高木義明 (民主)
小沢一郎 (民主)
中嶋良充 (民主)
上田勇 (公明)衆
江田五月(民主)
円より子 (民主)
大田誠一 (自民)
又市征治 (社民)
中村哲治 (民主)
藤谷光信 (民主)
室井邦彦 (民主)
横峰良郎 (民主)
白 眞勳 (民主)
奥村展三(民主)
小沢鋭仁(民主)
川端達夫(民主)
佐々木隆博(民主)
末松義則(民主)
西村智奈美(民主)
細川律夫(民主)
家西 悟(民主)
小川敏夫(民主)
津田弥太郎(民主)
那谷屋正義(民主)
二階俊博(自民)
大野功統(自民)
馳浩 (自民)
内藤正光 (民主)
福島哲郎 (民主)
日森文尋 (社民)
近藤正道 (社民)
峰崎直樹 (民主)
郡司彰(民主)
小川勝也 (民主)
亀岡偉民
中川秀直
中山正暉
鮫島純也 (鹿児島県、加世田の朝鮮人部落出身の生粋の朝鮮人-小泉元総理父)
成田 豊、大手広告代理店、電通グループの会長
日本のマスコミを自在に動かす力があると言われる電通。その電通の異常な親韓・反日姿勢は、最高顧問の成田豊氏が朝鮮出身者であることが理由であるとされる
 
池田大作(成太作-ソン・テチャク)、創価学会名誉会長、両親とも戦前から日本にいた朝鮮人です。創価学会北朝鮮宗教
http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/sokakitacho.htm

細かく見ていくと国民新聞の記事との違いが若干ありますが(分かりやすいところで言えばツルネン・マルティ氏や鮫島純也(小泉俊一郎氏の父)の有無)、かなりの共通点がある事からこの知恵袋がネタ元になっていると考えられます。なお元のリストだと「福島瑞穂(民社)」と書かれていてネタなのかマジなのか分からない記述もありますが、逆にこのワードで検索しても(消されていなければ)この知恵袋の回答が遡れる最古の書き込みの為にこれがネタ元である可能性が高まります。ちなみに国民新聞の方では「大村秀章」が「犬村秀章」になっていますが、逆にこれは国民新聞以前にはない間違いなのでこれをキーワードに探ることはおそらくできません*1
 それとこのベストアンサー回答に選ばれた文面ですが、リスト以外では他所のブログからの文章の流用が見受けられます。まず、初めに「~半信半疑でした。」とありますが文体からしてどこからかの転載臭い。そして調べて見るとこの「半信半疑」から「民団、総連が反対した理由が分かる気がします」まではブログ「中韓を知りすぎた男」の2010年2月10日の記事「驚愕の事実」の部分的な無断転載です。その後の「小沢一郎は~」からリストが恐らく回答者のkabunarikinnomaro氏のオリジナル部分です。ただ、このリストの最後の部分である電通グループの会長成田氏についての記述はブログ「メガリス」2009年4月3日の「朝鮮出身と朝鮮愛を認める電通:成田豊氏」からの転載です。池田大作については貼ってあるURLがソースですが、この記述については少しだけ変えています。なおこの末尾にあるURLに関しては池田大作のソースとして張られているだけで議員リストのソースではありません。
 このkabunarikinnomaro氏は2月11日には逆に「日本人に成りすましたものが、国会議員になってもよいのであろうか????」でも「中韓を知りすぎた男」の文章を無断転載しつつ質問をしています。その際にはリストについては触れられていません。この11日から13日の間にkabunarikinnomaro氏が「創作」したのか、それともどこかで流布されていた、例えば外国人参政権賛成議員リストの様なものを参照したのかまでは不明ですが、国民新聞のネタ元はこの時期に創作された可能性が高いものと思われます。少なくとも「起点」はこの知恵袋かなと。そしてkabunarikinnomaro氏の書き込みは他者の転載が目立ちますので、おそらくこの方の創作というよりもなんらかのリストである可能性が高いと考えられます。ただ例えにあげた外国人参政権賛成議員がネタ元なのでは説について補足すると、2008年の阿比留瑠比氏のブログで「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の参加議員リストが挙げられていますが、帰化議員リストと参照すると違いもチラホラとあるので、これが「元ネタ」というにはちょっと相違点が多いと考えます。なので、この知恵袋の元ネタが何か、というのは分かりかねるというのが実情です。特に民主、社民以外の政党が不明。
 そしてこの知恵袋による書き込みがあった後に2月17日にこの回答におけるリストについて質問した「日本人に成りすましが、疑われている国会議員がこんなに居るとは信じられますか?」が行われ、3月17日には「愛国議員がとるべき有効な選挙戦術あります!」などで取り扱われてやや拡散していきます。ちなみに発端であろうkabunarikinnomaro氏は7月には選挙区情報も付加したリストを知恵袋に書いています。そして最終的に吉田滋氏か、その周辺が見てこのリストを国民新聞に記事として出したのかな、という可能性が高いと考えます。簡単に流れにすると、おそらくこんな感じ。


帰化国会議員リストが出来るまでの流れ(仮定)】
ネットで一部議員(小沢一郎福島瑞穂土井たか子など)の虚偽帰化情報が出回る
 ↓
国民新聞が上記を記事化(2010年1月)
 ↓
ヤフー知恵袋の回答で帰化(朝鮮系)議員一覧が書かれる(2010年2月13日)
 ↓
上記の回答が他所へ転載されていく
 ↓
一部を変えながら2011年12月25日に国民新聞で記事化


 元々がネットにおけるデマなのですが、デマが転がり続けるうちにどんどん大きくなっていたと推測できます。ヤフー知恵袋のリストについても無からの誕生というよりも、なんらかの下敷きがある可能性自体は高いのでそこを突き止められないのが痛し痒しではありますが、とりあえずはここまでで。
 それと最後に一つ余談。国民新聞の記事は今もたまにツイッターで流れてきますが、それとは別のものが流れています。それが「民主党国会議員のうち70人は朝鮮系」という情報。これが独り歩きした結果、 元陸将補・倉田英世氏は2013年に「さらば韓国、反日を煽り続ける国とは断絶を」は以下の様な記事を書いています。

日本国内での在日朝鮮人工作は、帰化した在日朝鮮人である「なりすまし日本人」の活動が主体である。過去に想起した在日朝鮮人工作は、第1に、仲間を国会に送り込むことから始められ、2009年朝鮮人政権である民主党政権に、分かっているだけでも70人が日本の国会に送り込まれた。

元々がヤフー知恵袋の情報である可能性が高い事を考えると、知恵袋に釣られた元陸将補になるわけですが……、ここは本当に怖いので考えるのをちょっとやめましょう。




■お布施用ページ

note.com

*1:厳密にいうと国民新聞よりも1週間早いブログ記事があるのだが、それは国民新聞の該当記事がソース。なぜ発行日よりも早くブログになったのかは不明。