電脳塵芥

四方山雑記

2018年の子どもの貧困対策が1.5億円だったというツイートについて

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 っていうツイートで「子供の貧困対策(2018年)1.5億円」と書いてあります。常識的に考えればこの時点で違和感に気付いてほしいのですが、どうやらあまり突込みがされていないようなのでブログに忘備録的に描いておきます。なお、その他についての予算額についてまでは調べませんが、吉本への100億円という話はクールジャパンに対する予算であって他についての予算とかを考えたら多分もっとあるんじゃないかなとか、「雑」に思ったりもします。

 さて、「子供の貧困対策が1.5億円」というのは恐らくは日刊ゲンダイの以下の記事が発端です。

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記事を読めばわかりますが、この1.5億円は「地域子供の未来応援交付金」として計上されているものであり、ではその未来応援交付金とは何かといえば、

「地域子供の未来応援交付金」は、子供の貧困対策に取り組む地方自治体による、地域における実態調査、地域ネットワークの形成等の取組を包括的に支援することを目的として平成27年度補正予算において創設され、平成30年度から当初予算化されました。 地域子供の未来応援交付金概要 令和2年6月 内閣府

というものです。子どもの貧困対策に取り組む関係機関の連携の為の予算であり、これが子供の貧困対策の予算であることは間違いないですが、なにもこれだけが貧困対策の予算ではありません。平成29年と少し古い内閣府の作成資料となりますが、「国における子供の貧困対策の取組について」では貧困対策用の予算にどのようなものがあるかがまとまっています。それによると、

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教育支援、生活支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援、施策の推進体制等に分かれており、その額はすべてをあわせれば1.5億円ではないことは一目瞭然です。というか、1.5億円は「施策の推進体制等」にあたるものです。
 事程左様に「子どもの貧困対策が1.5億円」というのはデマに等しいものです。予算配分のおかしさを指摘するならば正確性に気を付けるべきであり、大体においてその数字が拡散された場合、端的に言ってそれはフェイクですから他の数字すら疑念を生みだしかねないものです。発信者が今後発信する情報さえ毀損する可能性があります。センセーショナルな数字は耳目を引くものですが、フェイクで注目を集めてもそれは有害ですらあります。もとはと言えば日刊ゲンダイが煽ってる面もありますが、とりあえずは批判に数字を使用する場合にはそれが正しいのか、ご確認をば。

 最後に令和元年度に作られた「子供の貧困対策に関する大綱(概要)」を置いておきます。政府がどのような対策をしようとしているのか、何となくわかりますよ。

子どもの貧困調査――子どもの生活に関する実態調査から見えてきたもの

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  • 作者:山野 則子
  • 発売日: 2019/12/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)