電脳塵芥

四方山雑記

山口敬之が書いた「ベトナムでの韓国軍慰安婦」記事の話について

 一部世間をにぎわしているジャーナリスト山口某の表向きの大きな仕事は安倍総理の書籍*1週刊文春ベトナムでの韓国軍慰安婦の件が大きいと思います。が、後者の記事に関しては以下の週刊新潮の記事にある様にその信ぴょう性に重大な疑義がついています。

週刊新潮による指摘

週刊文春「韓国軍に慰安婦」記事は山口敬之の捏造か【検証1】 | デイリー新潮

山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

安倍総理を援護したくて虚報発信! 「韓国軍に慰安婦」記事 山口敬之と公使のメール公開【検証4】 | デイリー新潮

記事内容で代表的なところは以下の通り。

1)公文書の曲解解釈

「この公文書は、①アメリカ軍の物資が勝手に売り捌かれていたり、その取引にドルが不正に使われていたりしたという経済犯罪の捜査に関連したものであり、②捜査に関連して、ベトナム税関当局が不正取引の温床になっている『トルコ風呂』を捜索したことがわかる米軍当局の文書(韓国軍幹部に宛てた手紙)だということです。確かに、文書にはその施設で売春が行なわれていた記述はあります。しかし問題となるのは、それが慰安所なのか一般の売春宿(と変わらないもの)なのかという点です」(同)
 繰り返すが、公文書には慰安所という言葉はない。
慰安所という言葉を使うのであれば、その施設に軍医や憲兵がいるなど、きちんと軍が運営管理していた実態を把握する必要があります。しかし、公文書からはそうした事実は読み取れません。逆に一般に開かれた施設であることを文書は証明しているので、軍事売春所、つまり山口氏の読み換えた慰安所ということも完全に否定されます。一般大衆に開かれていては性病予防が徹底できず軍用にふさわしくない。文書にそうあり、その要旨からもあり得ないのに、山口氏は故意に無視しており、捏造と言われても仕方がないでしょう。旧日本軍の場合、慰安所の管理体制を示す資料がありますが、この公文書にはそうしたものは何もないのです
山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

 この指摘からは山口による記事は公文書に記述されている内容を意図的に曲解してほぼほぼ捏造した結論に導いている事となります。指摘にもあるように軍による慰安所と一般の売春宿ではその性質は異なります。軍は性病感染やレイプを防ぐというお題目の為に慰安所を設営して管理するわけですが、売春宿はそういった機能はありません。その売春宿が指定されていれば多少は話は異なってきますが、不正取引の捜査対象になっている事からもその線は薄いと考えられます。引用していない部分ですがこの公文書はブラックマーケットに関する文書であり、その公文書をもってして韓国軍慰安所立証したというのは筋が悪く、その存在の立証には弱すぎます。何より公文書を曲解している時点で論外です。

2)取材者の証言の捏造

加えて山口記事ではフィンレイソン氏のコメントとして、
〈「米軍司令官が指摘している韓国の慰安所とは、韓国軍の兵士に奉仕するための大きな性的施設です。韓国兵士にセックスを提供するための施設です。それ以外の何ものでもありません」〉
 と、慰安婦が存在したことを“断言”させているが、
「TBSの取材時に“もともと韓国兵専用として提供されていた”と話しましたが、これが困った点なのです。そう聞いたことはあっても自分では知らないわけですから。誰がオーナーだったかもわかりません」
 要するに、大部分は伝聞に基づいた推測なのだ。だから、ディテールに踏み込むことなどできないのに、山口記事には、〈これらの施設は、内部が多くのブロックに分かれていて〉とか〈「(中略)当時南ベトナムでは性病が深刻な問題になっていて、特に梅毒が蔓延していました」〉などと、元大佐の証言が出てくるのだ。
「ブロックに分かれている? 馬鹿げている。そんなことは言っていない。梅毒とは決して口にしていません。そもそも流行していたのは淋病なのです」
 フィンレイソン氏はそんな風に証言する。更に山口氏は、フィンレイソン氏が一般論でしている話を無理に韓国軍の行状と結びつけ、すり替えている。
「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

 証言者自身と山口のフィルターを通した証言食い違いはこちらの表にまとめれています。元々証言者はその業務を専門としていた軍人とは言えず甚だインタビュー相手としての適格性には疑問が付きますし、その証言者の発言でさえ意図的に盛っている可能性が高くあります。証言者の方が嘘を言うメリットも考えられず、山口が自己が思う結論への誘導のために証言曲解という記者失格レベルの事をやっている可能性は高いです。またこの件はTBSがその裏付けの弱さからNGをしており、内部からも疑義がつくレベルであったといえるでしょう。

 上記二つとも事実ならば記者失格レベルの行いです。そして公文書の内容は新潮のこちらから全文が確認できますが、韓国軍慰安婦を立証する文書としては弱いとしか思えません。物資の不正取引の話の話が主であり、その施設が夜に売春をしていたというレベルの表記、且「一般大衆にサービスを提供」と記述されており軍による性管理の要素は見受けられません。これでベトナム戦争韓国軍慰安婦を立証したというには無理があります。

韓国ニュースサイトからの指摘

 文春の記事が出た際に韓国での反応は少なくハンギョレが事実ならばそれについても調査しなければ、というレベルのものでしたが、その後にオーマイニュースがこの山口の記事について検証と反論をしているので紹介します。なお、自動翻訳となりますのでご了承ください。

<주간문춘>의 박근혜 '급소' 차기, 알고보니 헛발질 - 오마이뉴스

'한국군 터키탕' 운영했다는 신모씨 추적해봤더니 - 오마이뉴스

베트남전 당시 주월미군 '난잡한' 증기탕 운영했다 - 오마이뉴스

한국군, 베트남전에서 '위안소 기획'은 했었다 - 오마이뉴스

結論から言えば、この記事は誤報の次元を越えて、歴史的史料の前後をカット歪曲した虚偽報道である。

と初っ端から記事を否定しています。検証は山口と同じ検証方法であり公文書に当たり、各証言者に取材を申し込むという類のものです。では、その指摘内容はというと。

1)公文書内容への指摘
 これは新潮の指摘と同じものです。新潮と同じくブラックマーケットなどについての公文書であるとし、一般にも開かれた売春所であったともしています。

2)書類上の大佐の実在性への疑義

山口は記事で「(韓国人シンさんが提出した-記者注)差し押さえされた物の返還を要求する書類に韓国軍スユンウォン(スー・ユンウォン)大佐の署名が入っている」と主張したが、ベトナム関連公式記録どこにも「スユンワン大佐」は存在しない。ちなみに、各群の「病的関連資料DB」を基に記録されたベトナム韓国軍の公式記録である「ベトナム派兵の韓国軍の主要な役職者編成」表で見つけることができない。

 この「スユンワン大佐」は新潮が公開している公文書上には存在しますが、オーマイニュースの指摘によればこの公文書以外に「スユンワン大佐」の存在が確認できなく、その大佐自体が存在しない可能性があります。つまりはトルコ風呂(ターキッシュバス)の所有者であるミスター・シンという不正取引の中心人物が罪を免れるために作った架空の人物の可能性があります。シン氏に語った側が嘘の名前と階級を告げた可能性もありますが、しかし軍が管理をするならばそういった嘘の人物をつくりだす必要性は薄いことから軍管理の慰安所とするには疑念が持たれます。

3)売春女性が集結した巨大なオープンマーケット性
 公文書にあるシン氏と付き合いがあったジャーナリストにあたり当時の話を聞いていますが、民間人も利用するトルコ風呂であったと述懐して軍専用ではなかった事を指摘しています。当時は韓国の軍属ではなく技術者なども訪れており、それらの人間も利用し、軍専用施設ではありません。また他の理由として、

「当時サイゴン歓楽街は「戦争特需」により、アジア売春女性が集結した巨大な「オープンマーケット」だった」とは、次の2つの理由を挙げて「韓国軍専用スチームバス」運営の可能性を一蹴した。
まず、軍のような施設を運営する治安部隊が分からないことがないのに、当時、現地でそのような話を一度も聞いたことないだろう。第二に、当時の売春市場は開放された「オープンマーケット」であり、軍の運営する悩みが私しかない

 以上の様な証言をしています。自身が聞いたことがない&慰安所を作る必要がないほどに市場が開放されていたというものであり、前半を根拠にするのは少し微妙ですし、性病管理と巨大な性市場のオープンマーケットの相性を考えればやや微妙な証言ではあるとも思われます。ただ当時「供給」に困ることがない市場があったならば慰安所を作る必要はないという判断は働く可能性はあります。甚だ人権的な意味ではよろしいとは言えなさそうな状況ではありますが。
 また公文書にあるシン氏が誰であるかを突き止めてインタビューをしていたりします。自動翻訳だと意味が分かりづらいですが、韓国軍慰安所があったという様な証言はありません。

4)トルコ風呂料金への指摘
 当時ベトナムの米軍関連に従事していた韓国人カン氏の証言によれば、

米軍は領内にスチームバスを運営したコンデンサの兵舎になっていた。サウナ入場料は5ドルだった。9分割に通勤若いベトナムの女性を見ると50、60人程度覚えている。最近の言葉の類似性の行為が行われたがセックスもした。だからトルコ風呂(スチームバス)が38ドルだったのは話にならない。

とあり、どうやら文春の指摘した38ドルという値段が高すぎるという指摘のようです。カン氏は軍人ではありませんが、その後のコリアハウス転職後の月給は15ドルであったといいます。その当時の軍人の平均月給の値段は分かりませんが、それでもこの月給と比較すれば38ドルが高いのは事実でしょうし、さらにほかにも安いそういった施設がある中で「38ドルの慰安所」というのは不自然な記述です。この証言自体は慰安所そのものをすぐさま否定するものではありませんが、記事そのものの信用性低下にはなります。

5)参戦軍人の証言

米軍は1960年代当時、韓国とベトナムでハマム(マッサージルーム付きスチームバス)を付帯の中で運営したが、韓国軍は本当にそのような「類似性の行為施設」を運営していたのだろう?筆者が取材したところでは韓国軍部隊内でトルコ風呂施設を運営した事例はなかった。当時参戦軍人も、主にサイゴン市内の私娼を利用して性欲を解消したと証言した

という様に私娼で解消していた模様です。これは取材当時を考えれば慰安所があったとしてもそれを証言できる人間が韓国社会においているかという問題もありますし、記事からは何人の参戦軍人に話を聞いたのかも不明であり、検証記事としてはやや物足りない記述ではあります。ただし当時のサイゴンにおけるオープンマーケット化などを合わせて考えれば、私娼の利用が多かったという証言には一定の信頼性はあるかと考えます。
 またこのほかにもオーマイニュースでは

-韓国軍もベトナム戦で慰安所の運営を検討したことがあると聞いた。
ベトナム派兵初期に日本軍出身某将軍がベトナムに来てシン・サンチョル大使に過去日本軍の例をあげて、私たちもパウエル将兵の厚生福祉のために慰安所のようなものを運営しようと提案したことがある。するとシン・サンチョル大使が素早く走りながら「そんな施設を軍で運営することは絶対にない」と反対した。蔡命新司令官も「ベトナムに休暇将兵を相手に営業する民間施設が多い群で運営することはない」と反対した。」

という様にベトナム戦争においてそういった施設の計画、それも日本軍出身者が考えた計画が存在してた様ですが、これは実現せずに日の目を見ることなく終わっています。韓国側が自己の潔癖性を信じる為にそう書いているという方がいるかもしれませんが、オーマイニュース朝鮮戦争時の韓国軍慰安婦の事についても指摘した数少ないい進歩系のサイトであり、また虚偽を指摘した記事で虚偽を述べる可能性は少なく、この部分は一定以上の信頼性は置けると考えます。
 計画の立案と実行では大きな差異があり、これが事実であった場合、山口の主張はもろく崩れ去るものです。


 以上でオーマイニュースによる指摘は終了しますが、新潮以上に突っ込んだ検証をしており、慰安所の計画自体があった事は提示しています。しかしそれらは反対にあい慰安所は作られずに兵士たちは私娼を利用していた、がこの話の結論になるかと考えます。韓国での最新の研究状態や韓国軍の資料が何処まで開示されているのかなどは不明ですが、現時点では「ベトナム戦争時に韓国軍慰安所があった」というのは捏造と言われても致し方ないでしょう。

 山口某に関してはジャーナリストに値しない人間であることは明白です。自身の属するイデオロギーに媚びるために捏造といって差し支えないレベルのことをしており、また事実を理解するのではなく自己に都合の良いように現実を修正(歪曲)していることを厭わない人間に見受けられます。言論人としては終わってます。



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*1:余談ですが山口氏と安倍氏の初インタビュー時には山口氏の態度が横柄だ、というような批判があったりしました。これも距離の近さからインタビューが実現したのかなとか今現在では思っちゃいますよね。