電脳塵芥

四方山雑記

武蔵野市の外国人も投票権を持つ住民投票条例案におけるツイッターでのバッシングの流れ

 以前「【デマ】「長野五輪で5千人の中国人が集合し暴動」は北京五輪の時の長野での聖火リレーの話の伝言ゲーム」という記事を書きました。ただそもそもここら辺のうねりの発火点とかを書いておくことも重要かなと思い。忘備録、アーカイブ的な性格の記事です。

そもそも住民投票で現実的に乗っ取れるか

 まず初めに書いておきますが、今回の武蔵野市住民投票条例に対する批判の中で「大量に押し寄せた外国人に市政が乗っ取られる」というのがあります。これについて現実的に見ていくと以下の様な指摘が出来ます。

1)住民投票案の発議は「投票資格者の4分の1以上」が必要
 投票資格者である18歳以上の武蔵野市の人口は令和3年12月1日現在で約12万7000人であり、その発議には約3万人の署名が必要になります。この署名数は市長選で当選できるレベルの署名数が必要というものであり、意見要旨の中ではハードルが高いのではないかという指摘も存在します。地方自治法に基づいた市長への条例制定請求の必要署名数が有権者の50分の1以上であることを考えればこのハードルの高さがうかがえます。

2)成立には投票率50%以上が必要
 武蔵野市住民投票は過去においてあったかもよくわからないので、市議会議員、市長選を基準に考えるならば近年のその投票率は45%ほどとなります。つまりは近年の投票率レベルだとそもそも住民投票が成立しません。そして必要な投票人数は6万3500人ほど。その過半数以上で賛成を得なければなりません。

3)特定の外国人勢力が乗っ取るには数万人の移住が必要
 以上のことから外国人が「乗っ取る」といった住民投票に対しては発議に約3万人、成立にはそれ以上の数字が必要です。で、じゃあそのような提案に日本人市民が賛成するかと言うと9割9分以上が反対でしょう。となると外国人の移住が必要となりますが、まず発議するために3万人の移住……、いや3万人移住となると発議に必要な条件が多くなるために実際に発議をさせるには4万人近くの移住が必要です。また投票率50%以上要件や日本市民の反対行動を考えれば4万人よりも多い人数の移住が必要なのは確実でそれこそ5桁後半、確実にするならば6桁に及ぶ人数の移住が必要となるはずです。現在の武蔵野市の市民は約15万人、そして外国人の人口は3000人ほどでその外国人比率は2%程度であり、また投票権は3か月以上の在住が必要。それらを考えるとそれだけの移住がどれだけ非現実的かはわかりますし、このレベルの移住には住環境の供給が賄えるかは疑問で、また定住の為の外国人数の金銭や人員の調達コストが莫大。故に外国人移住で~、というのを信じるのは荒唐無稽なレベルです。反対論者の中には「反日」の日本人が賛成するからという論理も出てきましょうが、それでも6桁に近いレベルの外国人の移民が必要なのは確かでしょう。
 ちなみに基本この手のは「中国に乗っ取られる」というものでしょうが現在の武蔵野市における中国人人口は約1000人。こっから万を超える悪意ある中国人が移住という事になるでしょうが、そもそも前提としてそのレベルの特定国籍の移住が行われて住民投票署名をそれらの人々が集めてとか、その時点で日本人住民の疑念と反対攻勢が発生しますし、住民投票の正当性そのものに疑義がつくレベルで成立しないのでは。

4)投票結果に法的拘束力はない
 で、そんな苦労をしても投票結果に法的拘束力はなく、議会と市長は成立した住民投票の「結果を尊重」というものです。つまりはそんな市政を乗っ取るレベルの提案は尊重はされた後に却下されるだけがオチです。今回の住民投票案にも反対の議員がいるようにそのレベルのものは当然却下されるでしょう。

5)そもそも除外規定が存在する
 長々と書きましたが、そもそも住民投票には6つの除外規定が存在し、その中には以下のようなものがあります。

市の権限に属さない事項。ただし、住民全体の意思として表示しようとする場合は、この限りでない。
住民投票に付することが適当でないと明らかに認められる事項

これらを考慮すれば「乗っ取り」レベルの提案は除外規定に抵触して発議自体無理でしょう。

6)住民投票権の地方自治への過大評価が過ぎる
 地方選などの外国人の地方参政権はあって良いとも思いますが脇道なので今回は置いておきます。今回の住民投票に対する投票権地方参政権の一部ですが、しかし下記のツイートは過大評価が過ぎる。

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15万人の武蔵野市に8万人の中国人が武蔵野市に転居したら過半数にはならない。それはともかく住民投票は選挙ではない。除外規定もある。行政、議会を住民投票で乗っ取るという事はその都度住民投票を行わなければならずにコストも莫大すぎる。実現不可能レベルの「懸念」で仲間内を煽れれば良いのでしょうけれど、それにしたって地中に潜ってしまうレベルの低レベルの懸念。煽れれば良いんでしょうけど。

7)反対運動の存在
 そもそも「案」の時点でこのレベルのバッシングが起きるわけで実際にそんな住民投票案が出てきた場合、今回以上の運動が考えられます。それも署名段階から。皮肉抜きで彼らの監視機能は高いでしょう。ヘイトクライムの懸念も出てきてはしまいますが。

 以上の様にいくつか理由をあげましたが、いわゆる「乗っ取り」関連の懸念は杞憂、というか愛国扇動の為の道具と理解した方が良いです。実現可能性があまりにも低すぎる。それと付け加えてですが、愛知リコール運動の不正署名を受けて罰則規定はないものの禁止事項も付け加えられていたりします。単純に脅迫、買収などの不正な手段で署名集めてはだめってだけの既定ではありますが、それだけ愛知リコールの不正署名は影響がでかかった。
 それとこの住民投票に対する問い合わせは武蔵野市にかなり来ているらしく、武蔵野市HPに「「武蔵野市住民投票条例案」に対するよくあるお問い合わせについて」がありますので参考にしたいかたはどうぞ。「問7:外国籍住民が大量移住し、自国に有利な市長や市議会議員を選ぶことにならないか?」、「問8:外国籍住民が大量移住し、自国に有利な政策を意図的に提案することはないか?」などでこのブログ記事に書いてある様なことはすでに書いてあります。

バッシングの発火点とその流れ

 まずパブリックコメントが令和3年2月15日(月曜日) から 3月15日(月曜日)に募集されていますが、この時に集まったパブリックコメント数は16件。この時点で「発見」されていたら桁が最低でも2つは違ったでしょう。なおこの時の意見については無作為抽出市民アンケートや意見交換会の時の意見と合わせて、こちらにあります。外国人の投票権については意見の数自体は拮抗してますが中身を見ていくと反対論として挙げられている中で同じ人間による複数意見が記述されていますので人数自体では賛成が反対を上回っていることがここからも理解できます。
 まず8月に以下のようなツイートが存在します。

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この時点でかなりの拡散はされていますが、ただそれ以降はそこまでの拡散はされておらず本格的な運動は11月になってからです。で、この問題の発火点、というか運動が見られるようになってきたのは11月7日の以下のツイート。

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このツイートでchange.orgにリンクを貼り署名活動をしていますが、25,000 人に対して19,368 人が賛同となり未達成。8000以上のRTで市外からも署名できることを鑑みると割と少ないと言えるかもしれません。
 そして11月11日の産経の記事。
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これでこのバッシングは決定的になったと言っていいでしょう。ここからこの件に関するツイートが激増します。そして「武蔵野市」という単語を使用し、1000以上RT、この条例へ反対のアカウントを抜き出すと以下の様になります。なお、先ほどの佐藤正久氏のツイートは除く。

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f:id:nou_yunyun:20211219062746p:plain ※RT3000ほど

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※RT5000ほど

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※RTは5000ほど。パブコメの期間とかはそんなもんだよ

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※RTは3000ほど

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※ネット右派の中には橋本徹嫌いも多い

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※和田氏は続くツイートをしてるが、新聞の取材姿勢についてなので割愛

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※ちなみに住民登録ができない旅行者は投票権がない。国政の結果を左右する住民投票もよくわからない。辺野古移設レベルの話が武蔵野市にあれば話は別だろうけれど。

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国民主権のことを言いたいのかもしれないけどそんな憲法前文はない。実際、選挙権や被選挙権、参政権を外国人に与えるものではないし、法的拘束力もないので違反するとは思えない。

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※デマ。長野五輪で暴動はおこってない。

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※除外規定にあたる可能性が高く杞憂

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※「元から断たないと」の意味がよくわからない

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武蔵野市レベルのハードルの高い発議条件の場合、正直なところ法的拘束力がない住民投票をやるレベルの自治体ってほぼないと思う

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※こういった調査には「回答数」が必ずしも重要なのではない

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※後述するが無作為抽出での結果と市外やネット署名数を含む2万4千名を比べてる時点で論外。

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※外国人に地方参政権まである国があるのでフィフィ氏の指摘は論外。

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※RTは1700ほど

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以上のような流れです。21日の本会議を控えているためにそこでのハレーションもあるでしょうが19日現在はこのようなものとなっています。こう見ていくと産経と夕刊フジというメディア、議員経験者を含む議員系、右派系のインフルエンサーの3つに大別されます。大抵の主張は武蔵野市HPのQ&Aで答えが出るものですが、ここらへんの人たちが見ても納得は絶対にしないでしょう。

署名活動について

 今回はいくつかの署名が存在しています。まずは自称高校生が「武蔵野市松下市長に抗議の声を! 緊急」というものがありました。市長のリコールのきっかけづくり、みたいなものなのですがそこでは寄付が出来、署名数8666名、寄付は1,486,300円というもの。ただし当初署名ページに書かれた寄付の用途は寄付先などの都合で取りやめられ、返金対応のほか、以下のような対応をしています。

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曰く、村田春樹氏の本を買って配布とのこと。またこのアカウントは「河野談話を破棄して下さい 村山談話を破棄して下さい」で同じく寄付を募っています。今度は「新しい教科書をつくる会」に寄付するとか。ちょっと胡乱。
 そして「武蔵野市住民投票条例を考える会」による署名。これはchang.orgと市内外からの署名を郵送してもらったもので「御報告」によればネット19000、郵送は5277。1か月で自治体が以下らを合わせて2万4000が果たして多いかと考えた場合、甚だ微妙な結果かなと。深田貴美子氏のツイートを参考にすれば市内での署名者は4000名ですが、これも有権者数を考えると多いととらえられるかは微妙なところ。
 なお武蔵野市による無作為抽出による結果は以下のようなもの。

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 無作為抽出で7割以上賛成を考えると、例えば今反対している方たちのなかでこの標本に対する疑念を呈している人はいれど、実態としては賛成派の方が多い可能性は高いか。

 長々となりましたが記録はとりあえずこの辺で。21日以降の動きは(めんどくさいので)たぶん記録しないですが、こういったものを記録して疑似的なアーカイブ化する事もちょっと重要かなと思ったので、そういう忘備録です。傾向としてはやっぱ特定アカウントが大きく寄与してますがここら辺は右派、左派問わずにインフルエンサーがいる場所ではそれ自体は避けられませんけれど。さらに詳細に見るために100RT以上にするともっと増えますが、そこすると流石に多くなるのも考えもの。ただ今回の大きな特徴は一部の国会議員関連の議員系が積極的に関わっていること。そして何よりも産経と夕刊フジが複数回記事にしており意図を持った報道をしていることが大きいかなと。あと今回ツイッター内で限定してますが例えばyoutubeでは青山繁晴氏が以下のような動画を。

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ほかにも竹田恒泰氏や、

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上念司氏、

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高橋洋一氏、

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そしてひろゆき

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ここら辺の拡散も馬鹿にできない。むしろひろゆきの動画は30万再生を超えており、その影響力もかなり大きいと考えられます。ツイッター以上にyoutubeでは反対派の動画が多く、また反論が届きにくい傾向を考えるとこういったものの流布に適した場所と言えるかもしれません。大変に宜しくないことですが。

 今回の件は例え地方に自治においても外国人が政治への意思決定プロセスに関与するのをきらってのことでしょうけれど、今回の武蔵野市住民投票の性質を考えたら意思決定ではなく意志表明への関与が叶う程度なのですよね。それすらも許せないのでしょうが。