電脳塵芥

四方山雑記

【デマ】外国人の生活保護受給者は200万人ではなくって6万人半ばくらいだよ


https://twitter.com/nipponkairagi/status/1556777673212723200

 画像の方の出典は「生活保護は外国人でも受けられる?申請前の注意点はある?」で、さらに言うとこのデータの出典は河野太郎のブログ記事「国籍別生活保護受給世帯数」と思われます。なお、河野太郎のブログでは以下の様に紹介しています。

左から国籍、生活保護受給世帯、その国籍の在留外国人数、右端の数字は生活保護受給世帯数/在留外国人数(世帯数を人数で割っている数字であることに注意)

これが海乱鬼氏が引用したブログだと次のように内容が変化しています。

左から「国籍」と「世帯数」、「被保護者の人数」と「生活保護受給世帯数を在留外国人で割った数字」です。

つまりはもともとのデータでは「該当国籍の在留外国人」という全体の数字が「被保護者の人数」へと変化してしまい、200万人の外国人生活保護受給者という途方もない数字(デマ)が発生したわけです。大体、2022年6月現在の生活保護受給者は202万人のために生活保護受給者のほぼ全部が外国人という馬鹿げた数字になってしまいますし、出入国管理庁によれば外国人居住者は2021末時点で246万人なので、これまた大部分が生活保護受給者という普通に考えてあり得ない数字です。無職200万人もあり得ないで、データを見なくても嘘と言えるレベル。ついでに言うなら「中国4,443世帯 668,644人」とかあたりで1世帯当たりの人数が途方もない数になっていることを気づいて欲しい。はたしてこのブログでの記述の変化が執筆者の恣意的なものか、単純な読み間違いによる過ちかまでは不明ですが、それはともかく外国人の生活保護受給者200万人はあり得ません。
 ちなみに外国人受給者の人数ですが、これは普通に厚労省の被保護者調査でデータが出てます。

以上の様に2年位前からは外国人の生活保護受給者は6万7000人あたりで推移。新年度である今年の4月からは何故かは不明ですが600人ほど一気に減って6万7000人を割って6万6千人台になっています。生活保護受給者に占める割合で言えば約3%になります。

拡散具合

 このデマはブログの方がデマの出所といった方がいいですが、海乱鬼氏のツイートによって広がっています。下記のツイートなどは海乱鬼氏の文章だと明記せずに氏のツイートを利用したものですが、本家越えしています。


https://twitter.com/masatyourou/status/1558017763251171329

ちなみに海乱鬼氏にしても上記のツイートにしても8月中旬ごろのツイートですが、ネット右派層が「#国葬反対より外国人生活保護反対」というハッシュタグをしたのでもう一度微拡散が確認できます。

国葬と外国人生活保護を比較するのは適当ではないと思われますが、外国人生活保護自体が右派層にとってウケが良く、そして一つのイシューになっているのでこの様なハッシュタグやデマが受け入れられやすい下地ができていたとも言えます。こんなに質の低いデマにすら飛びつくほどに。

外国人生活保護は年間1200億円について


https://twitter.com/nipponkairagi/status/1556591591783297024

 もう一つ、というかこちらの外国人生活保護に対して年間1200億円があってからの「外国人受給者200万人」ですが、この毎年1200億円の出所は2010年時点の生活保護費予算と当時の外国人生活被保護者をもとにした仮試算であり、明確な試算はありません。そもそも公的なデータはないはずです。
 もともとこの話はツイッターなどをさかのぼる限りは2011年6月ごろに噴出してきた情報であり、当時ほんの少し拡散したのは「排害社」という団体による「7・9外国人への公金支出全廃デモの告知」からです。ただこの時点でデモの理由的なものの一つになるという事はこれ以前にこの言説があったことがわかります。
 ただ上記の情報は当時そこまで流布はしておらず、この言説がネットにおいて流布する最大のきっかけは2012年3月16日の片山さつきによる国会質疑でしょう。

片山さつき お手元の資料を見ていただきたいんですが、生活保護費、二十二年度で三・三兆円、このうち、御覧いただくと分かりますが、仮試算で千二百億円弱も外国人に払っております。その保護率は日本人の二、三倍、三分の二が朝鮮半島出身の方だそうです。
第180回国会 参議院 予算委員会 第10号 平成24年3月16日

この質疑がyoutubeやまとめブログなどによって流布され、今に尾を引いているといえます。なお、2021年の生活保護費負担金(事業費ベース)は約3.8兆円。仮試算だと約1140億円ほどになりますが、ただ実績額の約半分は医療扶助であり、生活保護者の多くが高齢者世帯であることを勘案すればこの仮試算額自体はもう少し少なくなるものと思われます。

 毎年1200億円自体はそこまで大きな的外れではないとは思いますが、外国人受給者200万人を信じるのはちょっと考える力を捨ててます。大体、外国人生活保護毎年1200億円と受給者200万人を合わせて考えると一人当たり毎年6万円になっちゃいますし。デマは論外だが、少しは考えて。