電脳塵芥

四方山雑記

不開示請求だった厚労省のPCR検査抑制についての行政資料を不服審査請求したけれど

 以前こんな記事を書きました。

nou-yunyun.hatenablog.com

 志位和夫氏が挙げていたPCR検査抑制ともいえる資料に対して開示請求をしたら開示延長からの審議、”公にすることにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるものであり(略)不開示とした。”という理由での不開示請求。で、その後にこの不開示決定に対して不服審査請求ができるのでしてみたら、その返事が戻ってきました。

f:id:nou_yunyun:20211011182219p:plain

f:id:nou_yunyun:20211011182233p:plain

 まず不服審査でのこちらの主張は志位和夫氏、そして東京新聞の2020年10月11日の記事「「PCRが受けられない」訴えの裏で… 厚労省は抑制に奔走していた 」において該当文書と思われる資料が掲載されていることから厚労省の言う「国民の間に混乱を生じさせる可能性」はないから開示してほしいというものです。それに対して厚労省は以下の様な主張をしています。

外部の者によりその全部若しくは一部又は類似の文書が紹介されているとしても、行政機関が、内部検討のために作成された文書を公にした場合、当該文書の内容が当該行政機関により、最終的な意思決定がなされたものであるという誤解を生じさせ、不当に国民の間に混乱を生じ焦る恐れがあるため、その主張は認められない。
 また、かかる文書が公開された場合、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換又は意思決定において、中立性が不当に損なわれる恐れがあるが、請求者はこの点を考慮していない。

以上の様な論理の下で結論として不服審査請求は棄却すべきだと言われました。言われてしまいました。この回答に対して請求者としてこちら側から更なる反論の様なものをできるものの、正直厚労省側のこの論理はどんなことを言っても変わらない&こちらとしても理念的な話以外にもう言えることが特にない。なのでここら辺で諦めますかね……。

dappiのツイート数が最近奇妙に減ってるという話

 ツイッターアカウントdappiとは国会中継アカウントであり、虎ノ門ニュースという右派系番組のキャプチャを貼ったりするネット右派系のインフルエンサーアカウントです。国会中継に関しては与党に比べ野党の取り扱いが「ギャーギャー」に代表されるように非常に雑であったり、虎ノ門ニュースに関しては番組が番組なので傾向としては親自民党保守系、右派系、排外にも通じるアカウントと言えます。ただ例えば国会中継に関しては左派系とされる人が丁寧に与党の声を紹介しているかと言えば別にそうでもないので、党派性からのデフォルメ自体は「個人」でやるならば致し方ない面はあるでしょう。そのデフォルメは下品ですし、国会での議論を確認するのには向いているとは決して言えないというかむしろ害悪ですらある気はしますが。それと動画の編集をする時もあり、それをあたかも国会のやり取りであるかの様にをするのは性質が悪すぎますね*1

 しかしながらdappiは小西ひろゆき議員の発信者情報開示によって法人の可能性が高くなり、そして弁護士ドットコムニュースでは以下の記事が書かれました。

弁護士ドットコムニュースが独自に取材したところ、この「法人」とはある企業で、その公式サイトには、ウェブサイトや広告の企画・制作などが事業内容として説明されている。また、この企業は会社情報検索サイトに、主要な販売先の筆頭に「自民党」を挙げている。
ツイッターの有名右派アカウントは「自民党」取引企業? 立民・小西議員が名誉毀損で提訴

公党、特に与党がその素性を隠し世論誘導の様なアカウント運営を法人に依頼しているならば甚だしい醜聞であり、民主主義的に非常に不味いとしか言いようがありません。
 で、dappiは以前から平日ツイートが多く、休日は少ないというツイート傾向から法人なのではという憶測はありました。それじゃ最近のツイート傾向はどうなんだろうと思って少しだけ調べてみた。

全体のツイート数

 これを見ると月あたりのツイート数は2021年7月までは100台前半から200台中盤あたりを推移しています。しかし2021年7月からはそのツイート数が激減、10月に至っては現在2ツイートのみであり、夏あたりからアカウント運営上のなんらかの異常事態が起こっている可能性はあります。国会中継アカウントであるためにその期間ではない夏にツイート数が減るのではないかという推測は成り立たなくもありませんが、去年の国会閉会期間中の2020年6月18日~9月15日も3桁を上回っていることから2021年はやはり例年とは違う可能性はあります。

ツイートの時間帯、曜日の傾向

 やはり土日は基本ツイートせず、時間帯もたまに21時以降ともしも業務と考えた場合には遅い時間帯はあるものの、基本的には日中~夜が多い。

2021年のツイート傾向

 2020年のツイートは12月28日(日)の1ツイート、それ以前は25日のツイートが最後となり、年始も元日にツイートしたもののその後は幾日か休止しています。またGW、東京オリンピック、お盆*2などを見ていくと基本的に祝日となる日はツイートがないことが多く、カレンダー通りのツイートが多い傾向がうかがえます。
 次に9月。ツイートは9月16日から9月27日まで絶えます。ちなみに自民党総裁選の期間は9月17日から9月29日。若干のずれはあるもののツイートのない期間は総裁選と連動しているとも言えます。そして9月末、菅政権の締めに対しては以下の様に菅総理の功績を労わるなどのツイートと共に岸田氏へのツイートや岸田文雄高市早苗野田聖子安倍晋三らのツイートをRTしています。何故か河野太郎はない。

この後にはいつものように虎ノ門ニュース関連のツイートをしており、総裁選時の沈黙は終わったようにまた復活するものかとも思われましたが……。
 10月、虎ノ門関連、そして以下の菅義偉ツイートのRTを最後にしてdappiのツイートは絶えます。

ツイート数は2つのみとなり、岸田新総理誕生の国会中継が存在せず、今までの傾向から考えると異常です。例えば去年の菅総理誕生時には以下のようなツイートをしています。

安倍晋三の投票時にツイート、そして菅総理誕生時にツイートをしています。何故岸田政権誕生時にこれをやらなかったのかは今までの傾向を考えればおかしい。よしんば党派性を無視して国会中継アカウントとしてもやっぱりそこにおかしさを感じざるを得ません。個人ならば個人の事情が考えられますが、法人ならば何かがあったと考えるのが妥当でしょう。何かが。
 何はともあれ2021年の夏からのツイート数減少や自民党総裁選時の沈黙、そして10月のツイート減少を見るにdappiアカウントの運営に関して何らかの支障が起こっていることだけは確かです。それが政権交代なのか、クライアントの方針転換なのか、それによる金の切れ目が縁の切れ目なのか、小西氏の開示請求なのかはわかりませんが。そして改めて見ると最近のツイート傾向は個人と思えず、組織的な思想が見え隠れします。それがなんであるか、解明されると良いですね。

おまけ

 dappiって維新、特に足立氏あたりは好意的に捉えており、それはひとえに野党を批判するからと言うのもあるでしょうけど、自民党からお金が流れていた法人がこれをやっていた場合、色々とおもしろい動きだなと。



■やる気のないお布施用ページ

note.com

*1:ニュースの様に限られた時間の中で要点のみを伝えるならば仕方ないと思いますが、でもdappiはそうではないでしょう。

*2:2020年はお盆期間中にも少しはツイートをしていました。

日本のコロナ感染減少は「政府が数字改竄」という「韓国の声」について

自民党選挙で勝つのに、一番負担になるのがコロナだ」。韓国で最も人気が高く、与党幹部らもたびたび出演する時事ラジオ番組「金於俊(キム・オジュン)のニュース工場」で4日、左派系の時事評論家、金於俊氏は自民党政権が10月31日投開票の衆院選で勝利するため、PCR検査数を減らし感染者数を抑制しているとの持論を展開した。
金氏は「1カ月で感染者が10分の1になるなんてことはない。そんなやり方があれば世界はとっくにコロナを撃退している」と訴え、「政府が詐欺行為を働いてはいけない」と非難。主張の根拠は示さず、「日本メディアも(日本政府の不正を)指摘できずにいる」とした
日本のコロナ感染減少は「政府が数字改竄」 韓国で疑いの声

 という記事が産経にありました。まず前提として日本のコロナ感染者現象の理由についてはNHKの「コロナ感染者 急速減少の理由 専門家の見解は…」という記事において、

【感染者減少として挙げられる理由】 ・(連休などの)感染拡大要素がなくなった
・医療危機が伝わり感染対策をした
・夜間の人出減少
・ワクチン接種の効果
・天候の影響で屋外の活動が増え、室内の活動が減った

などが挙げられています。ただし国立感染症研究所の脇田隆字所長が以下の様な指摘をしています。

「夜間の繁華街での人出の減少やワクチン接種が進んでいることが要因として分析されているが、それだけではこの減少の速度は説明できない部分がある。(中略)複数ある要素がそれぞれどの程度感染減少に関わっているのか十分に解明できていないので、引き続き分析したい」と述べました。

ひとまずは複合的な要因であることは確実ではあるが、日本の専門家も今回の感染者数の急速減少に対して何がどの程度関わっているかは十分に解明できていません。韓国と比較してそこまで差ができる理由でもなさそうな為に韓国側から見て、というか日本側から見ても何故ここまで急増減少してるかは不思議ではあります。それと現段階の日本の検査数を見ると減ってはいるけど、感染者数程の急速減少とは言いづらく流石に意図的な検査減少とは考えづらい。
【日本全体の検査数】
f:id:nou_yunyun:20211008090913j:plain

【東京の検査数】
f:id:nou_yunyun:20211008091053j:plain

 で、本題。

金於俊(キム・オジュン)氏という信用ならない語り手

 まず産経新聞によるキム・オジュン氏は陰謀論者というか、フェイクニュースその他で幾度も物議を呼んでいる正直信頼に値するかはちょっと疑問符がつくジャーナリストです。ウィキペディアやナムウィキによる彼の説明は以下の様なもの。

Kim Ou-joon wikipedeia(英語)
Kim Ou-joon (born December 4, 1968) is a South Korean conspiracy journalist.

 

キム・オジュン/批判と議論
キム・オジュンは事実関係を問う前、まず本人の主張を打ち出し、いざという事実と異なる場合は、自分の発言には全く責任を負わない姿を見せる。間違っていてもないでくださいというふうに移る場合が多いという点である。
(略)
後に情報提供者が現れたり、物理的、状況的証拠が提示され、ヒットしたりした。しかし、ほとんどの「言葉」が、その証拠もなしに別名"扇動"に近いレベルの偽ニュースだ。つまり下物語を通じて詳細に説明しますが、あれこれまくりキャスト見れば偶然合うこともあるレベル。すべてのものに陰謀論の基準を突きつけ個中には本当に陰謀があったことがあれば、それは自分がすごく合わせがされているわけて移るだろう。
キム・オジュンの主張のほとんどは、本人と性向が他の人を見て主張している別名偽ニュースで、自分と政治的性向が他のメディアや放送を見て偽のニュースと称しながら、肝心の本人が最も多くの偽のニュースの生産工場である。
(略)
このようなキム・オジュンの行動は、まるで芸能人 のファン層とも同じ彼の信奉者で、さらに強固になる。陰謀、根拠が不足し見える予測が失敗した場合の信者たちは、「意図は良かった」、「肯定的な結果を生んだ」、「合理的疑いだった」は、精神勝利サムシンギを活用して、シールドを張って、他の問題が発生するまで沈黙することが一般化されている。
※自動翻訳

以上は彼の「批判と議論」における「概要」の一部からの抜粋ですが、まずキム・オジュンなる人物はナムウィキ上では人物のページ意外に「批判と議論」という別個のページが出来るほどの問題点のある人物であり、またこのページで挙げられている陰謀論や議論は一人のジャーナリストが発したにしてはかなりの多さです。韓国故に個別の判断は避けますが、それでもかなり特殊な人物であることだけは確実かと。ただ、以上の様な事を書かれていても人気はそれなりにあるらしい。

実際の放送と韓国内での広がり方

 放送は以下から確認できます。

youtu.be

私は韓国語をわからないので何がどうとも言えませんが、発言はニュース番組の冒頭で軽く触れる程度。何らかの確信や専門家とのインタビューでの発言などではなくキム・オジュン氏の党派的*1、評論家的感覚で語られている感があります。ただ一つだけ不思議なのはこの日本の数字改ざん発言、韓国ではそこまで流布されている話ではなさそうですし、深堀をしたわけではないけけどニュース記事にもなってない様子ですし、とある政治系掲示板でも話題になっている様に見受けられないくらいの正直かなりちっぽけな話題な様に感じられます。非一般世論、というよりも世論レベルでは存在すらしていない説な気がします。で、発言は4日。記事になったのは7日。どの経由で産経新聞はこの情報をキャッチしたのか不思議だなと。この記事を書いたのはソウル特派員の時吉達也という方なので、時吉氏かその周辺がチェックしていてそれを書いたとかかな?

 よしんばアレなジャーナリストがした発言でも韓国内で共感を呼んでいるならば記事にする価値は多少はあるのかもしれませんが、その気配はかなり薄い。動画のコメント欄でもこの発言に対するコメントはほぼ見ませんし。正直なところ、この記事によって日本の読者の韓国への偏見を育てる為に書いた記事としか思えません。「日本にイチャモンをつけるおかしな韓国」という様なフレームワークとして。あと数字改ざんの前提として公文書改ざんをした日本政府という現実があるので、そういう失態がこういう陰謀論的考えを呼んでいるんだよなと思わなくもなく。

*1:ちなみに親与党系、進歩派です。

ソウル地下鉄にあるという「日本人を屠殺しよう」という看板について

 この画像はアノニマスポストが自身のまとめ記事に張り付けたまったく関係のない画像です。以上、終わり。でもいいんですが。

発端は中央日報の記事「【寄稿】韓日関係、「善くないサマリア人」と共存する知恵を学ぶ時だ(1)」における以下の記述。

ソウル地下鉄3号線の安国(アングク)駅5番乗り場の前に立って列車を待つときはいつも複雑な思いを抱く。5番乗り場のスクリーンドアには抗日詩が貼られているが、作者は李奉昌(イ・ボンチャン)義士だ。その最後の部分は「倭人を屠殺しよう」という内容だ。屠殺は肉屋で牛や豚を刃物で切って分けるという意味だ。なぜこのような詩をここに貼っているのか気になった。管轄部署に尋ねたところ「倭人(日本)大使館に行くには安国駅で降りなければいけないため」「安国駅一帯が独立運動の街であるため」という説明を聞いた。
韓国に来る日本人がこれを読むとどんな気持ちになるだろうか。これは文明国家がすることではない。立場を変えて考えてみよう。東京銀座の電車駅に「朝鮮人を切り殺そう」という文字が貼られていれば、これを見た韓国人の気分はどうだろうか。「倭人を屠殺しよう」という詩句を見て複雑な気持ちになるのなら「土着倭寇」として攻撃されるかもしれない。

中央日報の政治的立ち位置を考えた場合、引用部分は話のとっかかりでその後の部分が核ではありますが、それはともかくとして確かにその看板自体が書かれている事は強烈ですので、この記事を受けて当然ながら日本でそれが拡散。

それがアノニマスポストで記事になった際に上記の関係ない写真が貼られて勘違いした人間が勘違いツイートをするといったものです。ちなみに件の李奉昌による文は以下の様なものであり、実際は「倭人を屠殺」ではなく「敵国の首魁を屠戮」が正しいでしょうから中央日報の(おそらく)意図的な誤訳、若しくはこの執筆者の論旨に合わせた歪曲です。この文に込められた歴史的背景を考えた場合、悪質ともいえる誤訳、歪曲ですが。

なおこの李奉昌なる人物は天皇暗殺計画などをした人物ですが、詳しい彼の生涯などは韓国のナムウィキが詳しいので気になる方はそちらをどうぞ。

独立運動をテーマにした駅「安国駅」

 この看板ですが、そもそもなぜあるかと言えば安国駅が2018年9月18日に独立運動をテーマにした駅へと改装をしたからです*1

ソウル交通公社主管で、来年3・1運動100周年を控え、独立運動のテーマ逆に指定して、歴史的あちこちに記念碑を介して独立運動を感じることができようにした。
(中略)
「100年乗り場スクリーンドアと大気の椅子には、独立運動家の業績と語録を記録した。出勤や仕事帰りに車カーンごとに異なる独立運動家を会ってみることができるだろう。
https://opengov.seoul.go.kr/mediahub/16247307
※自動翻訳

つまりは独立運動家の業績と語録が駅のホームドアにプリントされているいったもので、駅自体のテーマや一種の国家独立を思い起こす施設となっていると言えます。そして件の看板は以下の様なもの。


※出典:https://m.blog.naver.com/elqkdmffj/221281828593

独立運動をテーマにしてある事、そのテーマ内における独立の抗日宣言文という歴史的文脈がある事*2、そも「倭人を屠殺しよう」とは書いてはいないですし、あらゆる文脈を無視してソウル地下鉄に「日本人を屠殺しよう」というのはデマの類と言えます。まあ、これはそもそも中央日報の記事がおかしい。



■お布施用ページ

note.com

*1:完成したのが9月18日で2018年の3⋅1運動99周年記念行事も安国駅で行われています。https://mediahub.seoul.go.kr/archives/1142436

*2:天皇暗殺宣言の様なもので受け入れられない日本人は多くいるでしょうが、それは韓国における「独立運動」という性格を考えればここに書いてある事が著しく不当でありレイシズムである、とは決して言えない。あと天皇暗殺は失敗したけど、日本側は王族暗殺を実際してるしとも。

外務省が旭日旗の意味を対外発信するのは政府の意に沿ったもの

f:id:nou_yunyun:20210923143013p:plain

 在豪日本大使が上記のようなツイートをしており、「旭日旗の意味を知っていますか」と共に動画のURLを貼っていたりしてます。これに対して外交官の右傾化、極右化みたいな話をしている方がおり、その可能性自体は否定できませんが、そもそもこの旭日旗の意味の対外発信については残念ながられっきとした政府や外務省主導の業務にあたるものです。

外交青書2020における記述

 まずわかりやすいのは外交青書 2020における以下の記述です。

第4節 日本への理解と信頼の促進に向けた取組
1 戦略的な対外発信
(1)戦略的対外発信の取組
外務省では、対外発信の最前線である在外公館の体制強化を図りつつ、①日本の正しい姿を含む政策や取組の発信に一層力を入れるとともに、②日本の多様な魅力の発信及び③親日派知日派の育成を推進するという3本の柱に基づいて戦略的に対外発信を実施している。
(略)
一部で旭日旗について事実に基づかない批判が見られることから、政府として、外務省ホームページに旭日旗に関する説明資料を多言語で掲載するなど、旭日旗に関する正しい情報について、国際社会の理解が得られるよう様々な形で説明してきているところである1。

以上の様に今回の行動はこの外交青書に沿った行動と言えます。また、上記にもあるように現在外務省HPには旭日旗に関する説明ページがあり、そこには以下の様な記述。

我が国の基本的立場(2021年5月18日加藤官房長官記者会見午前(抜粋))
 「旭日旗の意匠は日章旗同様、太陽をかたどっており、大漁旗や出産・節句の祝い旗等、日本国内で現在までも広く使用されているものであり、特定の政治的・差別的主張である等の指摘は当たらない。政府として、韓国を含め国際社会に向けて、旭日旗掲示が政治的宣伝にならないという考えを累次の機会に説明しており、今後ともそうした説明を継続していきたいと考えている。」

 この加藤官房長官の説明は旭日旗の「意匠」や文化的側面のみをピックアップした説明ですが、この説明には歴史的背景や好んで旭日旗を使用する人間によって付加された意味、また実質的な軍旗であることの問題性をないがしろにしている説明なので、こんなもので外国は説得できないし井戸の中の蛙しか説明できない論理といえます。さてそのほかの説明ですが、それは以下のようなもの。

f:id:nou_yunyun:20210923144732p:plain
f:id:nou_yunyun:20210923144753p:plain
f:id:nou_yunyun:20210923144816p:plain

この説明PDFは日本語のほかに英語、韓国語、フランス語、スペイン語タイ語で行われています。3枚目とか説得力があると考えていたらちょっと怖いくらいですが……。  ちなみにこの戦略的対外発信については2020年が初出というわけでもなく、2019年の外交青書からこの旭日旗についての記述が出るようになりました。

国会における答弁や旭日旗対応のきっかけ

 外交青書に書かれたのが2019年版(6月に発行)からですが、ちょうど2019年の国会で以下の様なやり取りがありました。

松川るい旭日旗に関する韓国が繰り広げている世論戦、これに対しては日本政府としてはどのように対応されているのか、茂木大臣にお伺いいたします。」
茂木敏充旭日旗のデザイン、これは日の出であったりとか朝日をイメージしたものでありまして、日本国内でも広く使用されているものであります。そして、松川委員お作りいただいた資料にもありますけれど、類似のデザイン、海外でもよく見るんですよ。お店に入ったっていろいろありますし、旗の掲示が政治的宣伝になるとは考えておりません。そして同時に、組織委員会も同じような見解であると、このように承知をいたしております。
 こうした我が国の考え方、韓国含め国際社会に向けて累次の機会に説明してきておりまして、今後ともしっかり説明を続けていきたいと思っております。」
第200回国会 参議院 予算委員会 2019年10月16日

2019年はこのほかにも7回ほど旭日旗関連の話題が国会でなされており、外務省HPの旭日旗ページについても2019年の5月24日に運用が開始されています。これは茂木氏が口にしているように2019年までの韓国における旭日旗批判、例えば2018年の当時の外務報道官会見記録である

韓国での旭日旗掲揚を禁止する法案提出
産経新聞 原川記者】韓国内の動きなんですけれども,韓国与党の議員が,旭日旗を掲げた船舶の領海内での航行を禁止する法案を提出したんですけれども,これに対して,現状,何か抗議とか,外務省として対応されていることがあれば伺いたいんですけれども。
【大菅外務報道官】確認の上,追って,回答させてください
大菅外務報道官会見記録|外務省

などを受けての日本政府としての反応と言えるでしょう。
 なおこの政策評価については詳細は不明ですが2021年4月の資料「令和2年度外務省政策評価の結果の政策への反映状況について」の「【基本目標Ⅰ施 策Ⅰ-1】アジア大洋州地域外交」の項目内に「旭日旗関連事務に伴う 1 名新規増要求」とあり、もともと何人が従事しているかは不明なものの人員を装荷する当たり業務として無視はしていない事がわかります。

 以上の様に今回の一件は現地外交官の暴走などではなく政府の意に沿った外交行為と言えます。正直、日本政府やネット右派層が思うような効果を上げるとは思えませんが。

【開示請求】東京2020オリンピックの延長・中止についての内閣府資料

 東京2020オリンピックが閉会して久しいですが、説明するまでもなくこの2020東京オリンピックは2021年に1年延期しています。で、この1年延期の論議の際には2年延期論もされていたという*1。そして2021年の本大会が始まる前には新型コロナの感染拡大によって世間では中止論が盛り上がっていました。ただ外部側では内部で延期と中止についてどのような議論がなされていたのか、少なくとも資料上でもいいのでどうだったのかは不透明なところでしたので開示請求してみました。

開示請求の文面

 開示した時期はオリンピック開会直前の7月19日。そして内容は以下の通り。

東京五輪開催について、新型コロナの影響によって2020年から1年延期となっていたが、報道によれば2年延期があったとされる。また2021年の開催直前になっても中止という世論も存在した。この延期と中止について、東京五輪の延期を「1年」とした事についての意思決定過程が分かる行政文書②中止という選択肢は政府として存在したのか、そして存在したならば東京五輪中止の目安は何であったのかが記載されている文書、以上2つの資料について請求する。

つまりは去年の延期決定時についての資料及び、開催前の中止について資料(あれば)というもの。で、開示されたのは次の通り。

■令和2年3月24日 安倍総理大臣とバッハ国際オリンピック委員会会長との電話会

f:id:nou_yunyun:20210828020354p:plain

 延期についての当時の安倍首相とバッハオリンピック委員会会長との電話会談についての要約資料であり、左上を見るとこれらは記者クラブで張り出された情報であることが伺えます。これが開示された資料上で一番早い時期のものです。内容については以下の様なもの。

1.大会中止は選択肢にない
2.年内(2020)の開催は不可能、延期の意見一致
3.遅くとも2021年夏実施に向けて具体的に検討していく

以上の様にこの電話会談で2021年夏実施が決定しています。ただ延期論自体は3月11日の大会組織委員会の高橋治之理事の2年延期論などがあり、3月上旬から水面下では話し合っていたという話もあります。そう考えると当然ながらこの電話会談資料は水面下で話し合っていた後の内容であり、それらの「水面下」が開示請求で表に出ることはないという事でしょう。なので2年延期論がどれほど政府内で説得力があったのかは謎です。ただ1年延期に関しては以下の産経記事の様に当時の安倍首相の意向と捉えていいでしょう。

新たな日程案として「今秋」「来春」「1年後」「2年後」などさまざまな案があったが、「1年延期」で決着したのは、中止を回避するためワクチン開発の見通しも計算に入れた安倍晋三首相の周到な根回しがあった。
東京五輪「1年延期」にこだわった安倍首相 ワクチン開発の時期も計算

■令和2年3月26日 議事メモ

f:id:nou_yunyun:20210828020732p:plainf:id:nou_yunyun:20210828020737p:plain

 東京都、国、組織委という日本の組織内での議事内容についてのメモ。電話会談などを受けての初めての実務的な話し合いのものと思われます。内容は春開催と夏開催についてのメリット、デメリット比較です。ここでは夏の暑さ、台風についても認識されているのが「スポーツに適した温暖な気候」を思うとあのプレゼンは本当に欺瞞だったなと思わざるを得ません。

■令和2年3月27日 議事メモ

f:id:nou_yunyun:20210828020741p:plain f:id:nou_yunyun:20210828020723p:plain

 IOCを交えての議事メモ。IOC側に春と夏のメリット、デメリットを説明したというもの。IOC側からは夏推し、春推しなどの声もあったが最終的な結論はIOC,東京サイドを尊重。協議の結果、夏のデメリットの暑さ、台風は2020年夏の開催でも想定、対処方法を検討済みであるが、春は十分な対応は不確定。これらを前提にハイレベルな協議にあげるというもの。

■令和2年3月30日 議事メモ

f:id:nou_yunyun:20210828020727p:plain

 バッハ会長、小池都知事、橋本大臣、森会長などが出席した会議の議事メモ。その内容として当時の森会長が以下の様な事を発言。

1.遅くとも2021年夏までの期間で検討ならば1年程度の延期で2021年夏
2.夏休みにかかった方が望ましく、2020の競技日程フォーマットを流用可能。コロナウィルスの状況などを勘案すると1年延期の夏開催が望ましい
3.暑さ、台風は2020年でも想定、対策、備えは万全を期す

それに対してバッハ会長は提案日程に同意、そして小池都知事は「コロナウイルスに打ち克つ、その姿をオリンピックで見せたい」と発言というものです。基本的には26日からの議事メモ内容を特に反論もなく許容したという事でしょう。

 これで開示請求で開示された資料は以上です。いずれも2020年の延期に関する資料のみであり、2021年の本大会中にまで存在した中止論についての行政資料は不開示などの連絡もありませんでしたので、行政資料そのものが存在していないと考えられます。これは例えば安倍-バッハ会談前にあった水面下であった動きが開示資料にないように、中止論についても存在したとしてもあくまで水面下での話のみであったという事でしょう。ということは少なくとも菅政権として「正式」に中止論について話し合ったという可能性はほぼほぼないといえるかもしれません。あれば議事メモくらいは存在するはずですから。

靖国神社にある三浦春馬氏を利用したヘイトスピーチ的陰謀論絵馬について

 以上の様な三浦春馬氏への思いを綴りながらも彼の自死を利用したヘイトスピーチにあたるであろう絵馬が靖国神社で散見されました。この絵馬については8月15日に瑠璃子(桜島よし子)氏が以下の様なツイートをしており、話題になりました。

これを受けて実際に自分も靖国神社で確認しましたが現状の絵馬の大部分は三浦春馬氏に関するものでした。その数は一見するだけで数十枚レベルですが、写真を見ればわかる様に裏にある絵馬もあるでしょうから100枚を超えていても不思議はありません。その内容の基調に彼の死を悲しむものですが、上記の絵馬の様に典型的なヘイトスピーチといって差し支えない陰謀論的な絵馬が混ざっている状態です。
 三浦春馬氏の自死についてその理由は本人にしか分かりません。また現在のネット上では他殺説、所属事務所のアミューズラオスの小児病院へ支援する際のお金の流れを不正と告発しようとして暗殺された説、CIA説などなど多様な陰謀論もありますがそこには踏み込みません。よく知らない人間が、その自死についてアレコレ語る事自体が故人に対する侮辱にもなりえるのでここではそれらについては基本的に扱いません。

 まず絵馬にある様な「反日」、「在日」などのキーワードの土台の一つはネットなどにある「芸能界=在日が支配」というものや、アミューズ反日という認識でしょう。特にアミューズ所属アーティストのサザンオールスターズ桑田佳祐が2014年のNHK紅白歌合戦でのパフォーマンスでバッシングを受けた事などが大きいと考えられます。この一件では事務所に右翼団体が押しかけるという経緯もあります。これらが周辺状況における「説」が盛り上がる為の要因となっているはずです。

靖国神社の一部ファンコミュニティでの聖地化の過程

靖国神社への参拝
 三浦春馬氏周りで今回の件に関わってきそうな大きな要因は3つ。まず一つ目は三浦氏の靖国神社への参拝です。ネット内では『永遠のゼロ』に出演後に「毎年靖国神社に通っていたといいます」という伝聞調の情報が出ています。実際に靖国神社に参拝した写真は存在しており、また神社への参拝が趣味という発言があることから発展した言説でしょうが、しかしながら毎年靖国神社に参拝していたかまでの確定情報はありません。ただこの靖国参拝という情報が後者2つの情報と結びつき、一部のファンコミュニティの中で靖国神社が聖地化します。

■国力ツイート
 2020年1月29日に「三浦春馬 & STAFF INFO」により下記ツイートがなされます。

このツイートは東出昌大氏の不倫騒動に対するツイートだと多数に思われるものの後半にある「国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」という部分の「国力」、「国民全員」という表現が一部をざわつかせ、批判的なツイートが散見されます。この「一部」がのちに左翼、反日勢とされ、自殺原因の誹謗中傷ではないのかという反応に利用されます。なお批判の中には「ネトウヨ」呼びなどの強い言葉もありましたが、それらの言説によって本ツイートが後に尾を引くレベルの「炎上」だったかは甚だ微妙なところです*1。また不倫だけで「国力」という言葉には普通は行き着かないために同時期に未だに話題性のあった政治的な動きである「桜を見る会」の追求などの話も含めての可能性はあります。ただこれは本人のみが分かる事なので、もはや我々にはその意図を知りようがありません。

■『日本製』という書籍
 三浦春馬氏は『日本製』という書籍を出しています。その内容はというと、

―日本全国47都道府県を訪れたことはありますか―? 月刊誌『プラスアクト』の人気連載として、まだまだ知らないことだらけの<日本>を三浦春馬とともに見つめてきた『日本製』が、新たに撮り下ろしとロングインタビューも加え、408ページにも及ぶ超大作として堂々完成。

というもので、レビューなどを見ても日本のものづくりや伝統工芸などを紹介していくものと言えます。これ自体には所謂わかりやすい「愛国」的な書籍ではないです。ただし、一部ネット右派層がこれに便乗します。

上記は単純な『日本製』紹介ツイートですが、このツイートをしている海乱鬼氏は日本第一党の支持者であり、選挙時にネットデモ的な事を仕掛けたこともある人物です。彼らの様な「愛国」的人物の中にはこの『日本製』を高く評価していうことが伺え、また逆にファンコミュニティの中ではこの本が他の要素と併せて橋渡しになった可能性はそれなりにあるかと思われます。

 以上の様に、靖国参拝という事実、「反日」による批判、『日本製』という「愛国」的要素と親和性の高い書籍というこれらの相乗効果、またこの他にも彼の死後に公開されたドラマに対して「反日的要素」を見出したり*2などして彼らを「愛国」、ひいては靖国に引き付ける様な言説が定期的に流されることによって一部ファンコミュニティの中で元々そういったものと親和性の高い方々が靖国神社を聖地化、その一部は愛国的陰謀論を受けてヘイトスピーチを含む文面にしたのだと思われます。

自死は「反日、左翼」による誹謗中傷が原因であるとの拡散

 誹謗中傷が原因ではという話があり、その一つには木村花氏の自殺が念頭にあるのは確かでしょう。そして「国力」ツイートへの批判。ただこれらの情報があっても拡散しなければ大きな話にはなりません。そこでこの話を拡散させた人物がいます。それが黒瀬深氏です。


※スクショ部分は加工しています。

 初報を聞きツイートまでは良いのですが、その数時間後には既に微妙に拡散されていた他のアカウントからの情報をもとに国力ツイートで発生した誹謗中傷の話を持ち出し*3、さらに数時間後に【拡散希望】と書いて「誹謗中傷」とされるスクショを晒していきます。自殺の動機推定があまりにも雑でありこの時点であり得ません。またその後のスクショ晒し行動は非倫理的であり、本人が批判している誹謗中傷を呼ぶものであり、実際にこれをきっかけにして鍵垢にした方も存在します*4。この最後のツイートにはその行動に対する批判はあるものの4000RT を超えており、かなりの拡散となります。これによって「自死=左翼(反日)の誹謗中傷」という認識を得た人間がいても不思議ではありません。また現在はアカウントを削除していますがある放送作家のツイートを黒瀬氏はスクショ引用しています。

この放送作家ネトウヨ呼びをし、そして死者に対する言葉は酷い部類です。他にも存在するスクショ*5でも左派に分類される人間でもその言葉の使い方に眉をひそめる人間がいても不思議ではない言葉遣いの人間です。そして一部陰謀説はこの放送作家のこれらの言説を利用して「反日、在日」を持ち出してきてます。ただ、この記事を書いた後に情報をもらいましたが、このアカウントはなりすましです

僕が以前使用していたTwitterのユーザー名「nobubu1」と、アカウント名「タピココ」、及び僕の飼い猫の写真を使用していたなりすまし人物が、三浦春馬さん等に対してひどい発言を繰り返し、そのせいで僕が炎上した事件について、東京地裁に個人情報の開示請求裁判を起こしていました。
半年ほどかかりましたが、一昨日の4月27日、請求通り開示が認められる判決が出ましたので、ご報告します。
未だにTwitter等インターネット上に、僕のことを名指しで誹謗中傷する匿名の投稿やHP、動画等が散見しますが、それらの発言者に関しても今後、過去に遡って法的処置を講じる所存です。
https://blog.goo.ne.jp/nobubu_001

つまりはデマによって一部の言説が成り立っている事となります。ここで行われているスクショ拡散などの黒瀬深氏の行動ははっきり言って最低の部類で、扇動です。これらの情報の初出自体は黒瀬氏ではありませんが、この拡散への行為は自身のアカウント影響力を考えれば慎むべきでしょう。
 また黒瀬氏以外にも以下の様なネット右派系アカウントのツイート、


  そして政治知新、U-1 NEWSなどのまとめサイトによって同様の情報が拡散されていきます。実際に三浦氏を「ネトウヨ」呼びしているアカウントは存在していますが、ではそれが執拗であり継続的なバッシングが行われていたのかというとかなり微妙であり、おそらく基本的には国力ツイートに対して行われた一過性のツイートで、それを殊更に強調するのはイデオロギー的な敵対者に対する体の良い批判と捉えた方が良いでしょう。黒瀬氏あたりのそれはこれに加えてツイッターのレスバトルゲーム感覚の様にも見えてしまいますが。ただそういうイデオロギー的な動き、ある種のゲームの中で、それに感化された人物がいた可能性はあり得ます。

その後のヘイトスピーチへの動き

 ここら辺は時節と時事を利用したツイートではあるものの、この門田氏のツイートをもとにしたShare News Japanの記事と併せて、これらを受けて靖国神社三浦春馬反日などへと繋げていくアカウントが存在します。またYouTubeの方では水間条項氏のチャンネルで三浦和馬氏を複数回話題に出しています。


※代表的なところを持ってきたのみで他にもあります。

この水間条項氏のチャンネルは一部ファンコミュニティが影響を受けているのが非公式のファンコミュニティの掲示板で伺えます。

靖国参拝に対する芸能界の陰湿な嫌がらせ
昨日の【水間条項TV】でも春馬さんとシンディローパーさんの話をして下っていました。シンディさんが親日家になったきっかけのお店をNY在住のNYサバイバルさんが探してくれています。
色んな繋がりが増えてきて春馬さんの事が世界にどんどん広がりを見せて行ってます。
世界は春馬ファンであふれてる
※このスレッドが特殊なだけで、このファンサイト自体はおそらく普通のものです。

 そして水間氏と同じく動画の存在。上記掲示板でも話題にしていますが、元正論編集長の上島嘉郎氏は以下の様な動画を投稿しています。

再生回数は19万回となりかなりのものです。これは一部陰謀説を信じるファンのブログで話題*6にされており確実に影響を与えています。ここで行われる言説の大抵は一部ファンコミュティが基本的には先で、動画側はネットのそれらをつまみ食いと何らかの付加情報をというものでしょうが*7、コミュニティ側はそれをブースターにしてまた発展という悪循環が考えられます。その他のユーチューバーでも陰謀論的な事を語る動画は存在し、それらも5桁再生をいっている場合があります。
 また拡散は少ないですが日本第一党桜井誠もこの件に関わっています。

桜井誠発の情報は拡散力が低いものとなりますが、もともと日本第一党支持者且つ三浦春馬ファンがいても不思議ではなくそれらの層が絵馬を書くという行動に出ても不思議ではありません。
 ここで紹介した動画はいずれもヘイトスピーチと親和性の高い人間が提供しているものであり、今やYouTubeはそれらの行動へと導く大きな要因の一つと言えるかもしれません。

ツイッターなどでの動き

 一部ファンコミュティ内の動きはごく簡単にだけ書いておきます。ツイッター内には三浦春馬氏の自死に疑念を持って作られたアカウントがいくつか存在します。そのbioには「反日」という文言を使用する方もおり、彼らの中の論理がどんなものであるか伺えます。そしてツイッター内でのハッシュタグ運動においては「#三浦春馬他殺説」や「#アミューズに説明責任を求めます」、「#一年経っても説明なし」というものがあり、その中には陰謀説にも近い疑念を持っている人間の数が決して少なくないことも分かります。ハッシュタグ「一年~」以外の二つは2020年7月時点で存在するタグであり、その他のタグも使用されながら根強く続いています。またブログでもそういったものを発信し続けているが当然おり、あるブログでは2020年8月の頭時点で自死に対する疑念がまとめ上げられた投稿をし、8月時点で陰謀説の素地が出来上がっていたことが分かります。
 今の時代は情報がまとめやすくなりそれらがコミュニティ内で流布、陰謀説のエコーチェンバーが発生、その中でファン行動として件の絵馬の様な内容を書く人間も出てくるといったところでしょう。なお断っておきますが、さすがにファンの大半は信じていないと思いますし、信じているのはごく一部のコミュニティでしょう。しかし基本的にそれらへのカウンター行動が行われることは少なく、またカウンターを信じるかというと一度自分が信じたものへの否認は難しいので解決は難しいかもしれません。

絵馬に書くというファン行動

 ヘイトスピーチとは別に何故絵馬なのかですが、ファンコミュニティの中でそういう行動があるからというのが全てです。ツイッター上では2020年9月時点で絵馬が確認されており、それ自体は純粋な思いを綴ったものの様です。またその時点では個人の行動でしょう。これが10月18日という月命日となる日に絵馬ツイートが増え、11月にはファン内で絵馬を書くという行動が行われている事がこちらのツイートから分かります。これは『天外者』のヒット祈願という要素が強く、陰謀論要素は見られません。あとこの絵馬を書くという行動は靖国神社に限らず様々な神社で行われているようです。ただこの11月時点で靖国神社に赴いているファンは陰謀論を信じている層がいることを確認できます。靖国神社はやはり神社が内包するイデオロギー的にそういう絵馬が集まりやすいという側面があるのでしょう。


 三浦春馬氏の心中は分かりません。イデオロギー的なものももはや分かりません。彼のイデオロギーが今ある絵馬と同じものだったならば良い、というわけでは決してありませんが、今靖国で掲げられている絵馬の内容はヘイトスピーチと言えるものであり、その発言に故人を利用することは故人を侮辱したものと言えます。何故という叫びの行き着く先が陰謀論による怨嗟であるのは、あまりにも悲しい。

*1:批判が多いと思われる2月末までの主な引用リプライはこちらから確認は可能です。ただし死後にツイートを削除している方は多いでしょうから実際の当時よりもかなり控えめに映っている事は確かです。また女性自身がネット記事にしており、一応「炎上」とはいえる。

*2:『おカネの切れ目が恋のはじまり』のこと。詳しくは”三浦春馬のカネ恋は「反日洗脳ドラマ」だった?愛国者激怒の疑惑検証”を参照

*3:例えばこれとか、これ。黒瀬氏よりはやくツイートしており、ここら辺の情報を得てツイートしたのでしょう

*4:ツイッターのDMでこの標的にされた方からお聞きしました。

*5:このブログでは使用しません。興味がある人は自分で探してください。

*6:たとえばこことか、ここ

*7:投稿の時期を見るとそれが良くわかります。基本的には盛り上がっているところに乗ったと捉えた方が良いでしょう。

23区内でいえば世田谷区の新型コロナ感染者、ワクチン接種は別に悪くはない

f:id:nou_yunyun:20210810181056p:plain

f:id:nou_yunyun:20210810181117p:plain

f:id:nou_yunyun:20210810181203p:plain

f:id:nou_yunyun:20210810181219p:plain

 斯様に世田谷区が最近目立ちます*1。なんで一応現時点(8月10日)での世田谷区の状況を書いておきます。

新型コロナ感染状況

 23区内の感染者数について8月8日時点の感染者数及び人口比あたりの感染者率は以下の通りです。

f:id:nou_yunyun:20210810182846p:plain

世田谷区は人口比あたりの感染者数は10位となり23区内では中間あたり。この数字に対して殊更に悪いという評価をするのは不当と言えます。

ワクチンの接種数

f:id:nou_yunyun:20210810200333p:plain
※より詳細なデータは「小学生の父@s0ftqbEJBEzhK2S」氏が公開しています。ご興味があればどうぞ。

 ワクチンの接種数については以上の様になり、こちらも世田谷区は10位。江戸川区、杉並区に関しては非高齢者の接種数のデータ記載がないため、それらの区の非公表接種数が加算されて世田谷区を上回ったとしても12位、また各区のHPごとに取得データ日の差異やシステムへの接種数の登録日などである程度この順位自体は上下するでしょうが、それだとしても現状のデータを見る限り世田谷区の接種が特別に遅れているとは言えません。普通としか言いようがありません。

 そもそも40代、50代のワクチン接種率をもってして区全体のワクチン接種の早さを語るのはそこまで意味がありません。自治体ごとに優先する年齢層が異なっている可能性や集団接種会場の存在などを勘案すべきでしょう。世田谷モデルの効果などは別のメディアなどに任せますが、現状を見る限り世田谷区の新型コロナの感染状況、ワクチン接種率は決して悪くはありません。それを悪く見えるのならばそれはデータの見方を分かってないか、ただの党派性で科学的な態度ではありません。

*1:沖縄に関しては今回は無視します。ただ人口当たりの感染者数が多いのは事実でありその面での批判は免れ得ない。とはい首都圏からの観光客、米軍の存在などの勘案が必要であり、「立憲民主党だったら」という批判は意味がないでしょう。