電脳塵芥

四方山雑記

靖国神社にある三浦春馬氏を利用したヘイトスピーチ的陰謀論絵馬について

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 以上の様な三浦春馬氏への思いを綴りながらも彼の自死を利用したヘイトスピーチにあたるであろう絵馬が靖国神社で散見されました。この絵馬については8月15日に瑠璃子(桜島よし子)氏が以下の様なツイートをしており、話題になりました。

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これを受けて実際に自分も靖国神社で確認しましたが現状の絵馬の大部分は三浦春馬氏に関するものでした。その数は一見するだけで数十枚レベルですが、写真を見ればわかる様に裏にある絵馬もあるでしょうから100枚を超えていても不思議はありません。その内容の基調に彼の死を悲しむものですが、上記の絵馬の様に典型的なヘイトスピーチといって差し支えない陰謀論的な絵馬が混ざっている状態です。
 三浦春馬氏の自死についてその理由は本人にしか分かりません。また現在のネット上では他殺説、所属事務所のアミューズラオスの小児病院へ支援する際のお金の流れを不正と告発しようとして暗殺された説、CIA説などなど多様な陰謀論もありますがそこには踏み込みません。よく知らない人間が、その自死についてアレコレ語る事自体が故人に対する侮辱にもなりえるのでここではそれらについては基本的に扱いません。

 まず絵馬にある様な「反日」、「在日」などのキーワードの土台の一つはネットなどにある「芸能界=在日が支配」というものや、アミューズ反日という認識でしょう。特にアミューズ所属アーティストのサザンオールスターズ桑田佳祐が2014年のNHK紅白歌合戦でのパフォーマンスでバッシングを受けた事などが大きいと考えられます。この一件では事務所に右翼団体が押しかけるという経緯もあります。これらが周辺状況における「説」が盛り上がる為の要因となっているはずです。

靖国神社の一部ファンコミュニティでの聖地化の過程

靖国神社への参拝
 三浦春馬氏周りで今回の件に関わってきそうな大きな要因は3つ。まず一つ目は三浦氏の靖国神社への参拝です。ネット内では『永遠のゼロ』に出演後に「毎年靖国神社に通っていたといいます」という伝聞調の情報が出ています。靖国神社に参拝した写真はあり参拝をしていたこと自体は事実であり神社への参拝が趣味という発言があるものの、実際に毎年靖国神社に参拝していたかまではわかりません。ただこの靖国参拝という情報が後者2つの情報と結びつき、一部のファンコミュニティの中で靖国神社が聖地化します。

■国力ツイート
 2020年1月29日に「三浦春馬 & STAFF INFO」により下記ツイートがなされます。

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このツイートは東出昌大氏の不倫騒動に対するツイートだと多数に思われるものの後半にある「国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」という部分の「国力」、「国民全員」という表現が一部をざわつかせ、批判的なツイートが散見されます。この「一部」がのちに左翼、反日勢とされ、自殺原因の誹謗中傷ではないのかという反応に利用されます。なお批判の中には「ネトウヨ」呼びなどの強い言葉もありましたが、それらの言説によって本ツイートが後に尾を引くレベルの「炎上」だったかは甚だ微妙なところです*1。また不倫だけで「国力」という言葉には普通は行き着かないために同時期に未だに話題性のあった政治的な動きである「桜を見る会」の追求などの話も含めての可能性はあります。ただこれは本人のみが分かる事なので、もはや我々にはその意図を知りようがありません。

■『日本製』という書籍
 三浦春馬氏は『日本製』という書籍を出しています。その内容はというと、

―日本全国47都道府県を訪れたことはありますか―? 月刊誌『プラスアクト』の人気連載として、まだまだ知らないことだらけの<日本>を三浦春馬とともに見つめてきた『日本製』が、新たに撮り下ろしとロングインタビューも加え、408ページにも及ぶ超大作として堂々完成。

というもので、レビューなどを見ても日本のものづくりや伝統工芸などを紹介していくものと言えます。これ自体には所謂わかりやすい「愛国」的な書籍ではないです。ただし、一部ネット右派層がこれに便乗します。

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上記は単純な『日本製』紹介ツイートですが、このツイートをしている海乱鬼氏は日本第一党の支持者であり、選挙時にネットデモ的な事を仕掛けたこともある人物です。彼らの様な「愛国」的人物の中にはこの『日本製』を高く評価していうことが伺え、また逆にファンコミュニティの中ではこの本が他の要素と併せて橋渡しになった可能性はそれなりにあるかと思われます。

 以上の様に、靖国参拝という事実、「反日」による批判、『日本製』という「愛国」的要素と親和性の高い書籍というこれらの相乗効果、またこの他にも彼の死後に公開されたドラマに対して「反日的要素」を見出したり*2などして彼らを「愛国」、ひいては靖国に引き付ける様な言説が定期的に流されることによって一部ファンコミュニティの中で元々そういったものと親和性の高い方々が靖国神社を聖地化、その一部は愛国的陰謀論を受けてヘイトスピーチを含む文面にしたのだと思われます。

自死は「反日、左翼」による誹謗中傷が原因であるとの拡散

 誹謗中傷が原因ではという話があり、その一つには木村花氏の自殺が念頭にあるのは確かでしょう。そして「国力」ツイートへの批判。ただこれらの情報があっても拡散しなければ大きな話にはなりません。そこでこの話を拡散させた人物がいます。それが黒瀬深氏です。

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※スクショ部分は加工しています。

 初報を聞きツイートまでは良いのですが、その数時間後には既に微妙に拡散されていた他のアカウントからの情報をもとに国力ツイートで発生した誹謗中傷の話を持ち出し*3、さらに数時間後に【拡散希望】と書いて「誹謗中傷」とされるスクショを晒していきます。自殺の動機推定があまりにも雑でありこの時点であり得ません。またその後のスクショ晒し行動は非倫理的であり、本人が批判している誹謗中傷を呼ぶものであり、実際にこれをきっかけにして鍵垢にした方も存在します*4。この最後のツイートにはその行動に対する批判はあるものの4000RT を超えており、かなりの拡散となります。これによって「自死=左翼(反日)の誹謗中傷」という認識を得た人間がいても不思議ではありません。また現在はアカウントを削除していますがある放送作家のツイートを黒瀬氏はスクショ引用しています。

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この放送作家ネトウヨ呼びをし、そして死者に対する言葉は酷い部類です。他にも存在するスクショ*5でも左派に分類される人間でもその言葉の使い方に眉をひそめる人間がいても不思議ではない言葉遣いの人間です。そして一部陰謀説はこの放送作家のこれらの言説を利用して「反日、在日」を持ち出してきてます。さらに言えばこの記事を書いた後に情報をもらいましたが、このアカウントはなりすましです

僕が以前使用していたTwitterのユーザー名「nobubu1」と、アカウント名「タピココ」、及び僕の飼い猫の写真を使用していたなりすまし人物が、三浦春馬さん等に対してひどい発言を繰り返し、そのせいで僕が炎上した事件について、東京地裁に個人情報の開示請求裁判を起こしていました。
半年ほどかかりましたが、一昨日の4月27日、請求通り開示が認められる判決が出ましたので、ご報告します。
未だにTwitter等インターネット上に、僕のことを名指しで誹謗中傷する匿名の投稿やHP、動画等が散見しますが、それらの発言者に関しても今後、過去に遡って法的処置を講じる所存です。
https://blog.goo.ne.jp/nobubu_001

つまりはデマによって一部の言説が成り立っている事となります。ここで行われているスクショ拡散などの黒瀬深氏の行動ははっきり言って最低の部類で、扇動です。これらの情報の初出自体は黒瀬氏ではありませんが、この拡散への行為は自身のアカウント影響力を考えれば慎むべきでしょう。
 また黒瀬氏以外にも以下の様なネット右派系アカウントのツイート、

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f:id:nou_yunyun:20210822021124p:plain   そして政治知新、U-1 NEWSなどのまとめサイトによって同様の情報が拡散されていきます。実際に三浦氏を「ネトウヨ」呼びしているアカウントは存在していますが、ではそれが執拗であり継続的なバッシングが行われていたのかというとかなり微妙であり、おそらく基本的には国力ツイートに対して行われた一過性のツイートで、それを殊更に強調するのはイデオロギー的な敵対者に対する体の良い批判と捉えた方が良いでしょう。黒瀬氏あたりのそれに加えてツイッターのレスバトルゲーム感覚の様にも見えてしまいますが。ただそういうイデオロギー的な動き、ある種のゲームの中で、それに感化された人物がいた可能性はあり得ます。

その後のヘイトスピーチへの動き

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 ここら辺は時節と時事を利用したツイートではあるものの、この門田氏のツイートをもとにしたShare News Japanの記事と併せて、これらを受けて靖国神社三浦春馬反日などへと繋げていくアカウントが存在します。またYouTubeの方では水間条項氏のチャンネルで三浦和馬氏を複数回話題に出しています。

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※代表的なところを持ってきたのみで他にもあります。

この水間条項氏のチャンネルは一部ファンコミュニティが影響を受けているのが非公式のファンコミュニティの掲示板で伺えます。

靖国参拝に対する芸能界の陰湿な嫌がらせ
昨日の【水間条項TV】でも春馬さんとシンディローパーさんの話をして下っていました。シンディさんが親日家になったきっかけのお店をNY在住のNYサバイバルさんが探してくれています。
色んな繋がりが増えてきて春馬さんの事が世界にどんどん広がりを見せて行ってます。
世界は春馬ファンであふれてる
※このスレッドが特殊なだけで、このファンサイト自体はおそらく普通のものです。

 そして水間氏と同じく動画の存在。上記掲示板でも話題にしていますが、元正論編集長の上島嘉郎氏は以下の様な動画を投稿しています。

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再生回数は19万回となりかなりのものです。これは一部陰謀説を信じるファンのブログで話題*6にされており確実に影響を与えています。ここで行われる言説の大抵は一部ファンコミュティが基本的には先で、動画側はネットのそれらをつまみ食いと何らかの付加情報をというものでしょうが*7、コミュニティ側はそれをブースターにしてまた発展という悪循環が考えられます。その他のユーチューバーでも陰謀論的な事を語る動画は存在し、それらも5桁再生をいっている場合があります。
 また拡散は少ないですが日本第一党桜井誠もこの件に関わっています。

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桜井誠発の情報は拡散力が低いものとなりますが、もともと日本第一党支持者且つ三浦春馬ファンがいても不思議ではなくそれらの層が絵馬を書くという行動に出ても不思議ではありません。
 ここで紹介した動画はいずれもヘイトスピーチと親和性の高い人間が提供しているものであり、今やYouTubeはそれらの行動へと導く大きな要因の一つと言えるかもしれません。

ツイッターなどでの動き

 一部ファンコミュティ内の動きはごく簡単にだけ書いておきます。ツイッター内には三浦春馬氏の自死に疑念を持って作られたアカウントがいくつか存在します。そのbioには「反日」という文言を使用する方もおり、彼らの中の論理がどんなものであるか伺えます。そしてツイッター内でのハッシュタグ運動においては「#三浦春馬他殺説」や「#アミューズに説明責任を求めます」、「#一年経っても説明なし」というものがあり、その中には陰謀説にも近い疑念を持っている人間の数が決して少なくないことも分かります。ハッシュタグ「一年~」以外の二つは2020年7月時点で存在するタグであり、その他のタグも使用されながら根強く続いています。またブログでもそういったものを発信し続けているが当然おり、あるブログでは2020年8月の頭時点で自死に対する疑念がまとめ上げられた投稿をし、8月時点で陰謀説の素地が出来上がっていたことが分かります。
 今の時代は情報がまとめやすくなりそれらがコミュニティ内で流布、陰謀説のエコーチェンバーが発生、その中でファン行動として件の絵馬の様な内容を書く人間も出てくるといったところでしょう。なお断っておきますが、さすがにファンの大半は信じていないと思いますし、信じているのはごく一部のコミュニティでしょう。しかし基本的にそれらへのカウンター行動が行われることは少なく、またカウンターを信じるかというと一度自分が信じたものへの否認は難しいので解決は難しいかもしれません。

絵馬に書くというファン行動

 ヘイトスピーチとは別に何故絵馬なのかですが、ファンコミュニティの中でそういう行動があるからというのが全てです。ツイッター上では2020年9月時点で絵馬が確認されており、それ自体は純粋な思いを綴ったものの様です。またその時点では個人の行動でしょう。これが10月18日という月命日となる日に絵馬ツイートが増え、11月にはファン内で絵馬を書くという行動が行われている事がこちらのツイートから分かります。これは『天外者』のヒット祈願という要素が強く、陰謀論要素は見られません。あとこの絵馬を書くという行動は靖国神社に限らず様々な神社で行われているようです。ただこの11月時点で靖国神社に赴いているファンは陰謀論を信じている層がいることを確認できます。靖国神社はやはり神社が内包するイデオロギー的にそういう絵馬が集まりやすいという側面があるのでしょう。


 三浦春馬氏の心中は分かりません。イデオロギー的なものももはや分かりません。彼のイデオロギーが今ある絵馬と同じものだったならば良い、というわけでは決してありませんが、今靖国で掲げられている絵馬の内容はヘイトスピーチと言えるものであり、その発言に故人を利用することは故人を侮辱したものと言えます。何故という叫びの行き着く先が陰謀論による怨嗟であるのは、あまりにも悲しい。

*1:批判が多いと思われる2月末までの主な引用リプライはこちらから確認は可能です。ただし死後にツイートを削除している方は多いでしょうから実際の当時よりもかなり控えめに映っている事は確かです。また女性自身がネット記事にしており、一応「炎上」とはいえる。

*2:『おカネの切れ目が恋のはじまり』のこと。詳しくは”三浦春馬のカネ恋は「反日洗脳ドラマ」だった?愛国者激怒の疑惑検証”を参照

*3:例えばこれとか、これ。黒瀬氏よりはやくツイートしており、ここら辺の情報を得てツイートしたのでしょう

*4:ツイッターのDMでこの標的にされた方からお聞きしました。

*5:このブログでは使用しません。興味がある人は自分で探してください。

*6:たとえばこことか、ここ

*7:投稿の時期を見るとそれが良くわかります。基本的には盛り上がっているところに乗ったと捉えた方が良いでしょう。