電脳塵芥

四方山雑記

「純貯蓄階級100万円未満」の世帯が2018年くらいから増えている

少しだけ古い記事ですが、

www.asahi.com

麻生氏は講演で「(個人の)現金がなくなって大変だというのでこの夏、1人10万(円給付)というのがコロナ対策の一環としてなされた」と説明。その上で、給付金の効果について「当然、貯金が減るのかと思ったらとんでもない。その分だけ貯金が増えました」

という様な内容の記事がありました。この発言自体は多くの人が批判していましたので批判はその方々に任せといて……、その時に家計調査貯蓄・負債編という調査で貯蓄額の推移などを見ていたところ、ちょうど4~6月期のデータが近くで出ることが分かったので今回はそのデータを置いておきます。
 使用するデータは家計調査貯蓄・負債編(二人以上の世帯)の4~6月期のDB。この調査は四半期ごとの区分であり貯蓄額の階級も100万未満、100~300万円等々、10万円の特別定額給付金が貯蓄に及ぼした影響を直接その数値が見ることはできないですし、そもそも自治体によって給付金の時期が異なるという事実があるのでその影響を見ることは難しいですが、最近の貯蓄額の状況・推移を見るには使えるかなと。なお、使用するデータは単純な貯蓄ではなく「純貯蓄(貯蓄額ー負債額)」です。で、データをグラフ化したのが以下。

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※データが2012年からなのはDBで使用できるデータが2011年の10~12月期からだったため、区切りの良い2012年からグラフを開始しています。

長期的な推移を見ると「純貯蓄階級100万円未満」と「純貯蓄階級2000万円以上」以外の階級はほぼほぼ似たような推移をたどっていることが分かりますが、100万円未満と2000万円以上は2018年の初頭あたりから顕著な変化が見受けられます。何が原因だったかは専門家の人宜しくですが……、とりあえず現状「2020年4~6月期」の数値を見る限りこの時点ではコロナ禍の影響はあまり受けてないように見受けられます。ただ緊急事態宣言が解除されたのは5月末ごろですので調査期間4~6月だけでは判断しないほうが良いですし、雇用や貯蓄への影響はやや遅れてやってくるでしょうから影響がなかったというにはまだ早計かなと。
 とりあえずコロナ禍抜きにして近年純貯蓄100万円未満が増加していて、昨今を考えればそれが減少する可能性は少なそう。反面、2000万円以上は減少したもののここ最近は回復(増加)傾向なのが見て取れます。またここでいう貯蓄額は「二人以上の世帯」であることを鑑みれば「単身世帯」はもっと酷い状況の可能性は高いかなと。

 それはともかく10万円欲しい。

家計調査のしくみと見方

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