電脳塵芥

四方山雑記

【デマ】玉城デニーが中国共産党の勢力とフランスは断定していない


https://twitter.com/CYXuAxfGlfFzZCT/status/1563853217666019328

 おそらくソースとして貼ってある2021年10月5日の産経新聞の記事「仏軍事研究所が「中国の影響力」報告書 沖縄を標的と指摘」には「玉城デニー」という人物名は一切ない。この時点でただのデマといっても過言ではない。ただ該当記事は以下の様な内容を含むわけで、「あいつは敵勢力」的な発想とは相性の良い記事ではあります。

沖縄への関与は、中国にとって「日本や在日米軍を妨害する」意味を持つと指摘。沖縄住民には日本政府への複雑な気持ちが残り、米軍基地への反発も強いため、中国にとって利用しやすい環境にあるとした。中国が独立派を招いて学術交流を促したり、中国人が米軍基地近辺で不動産投資を進めたりなどの動きがあると列記した。
中国は独立派と同様に、憲法9条改正への反対運動、米軍基地への抗議運動を支援しており、その背景には日本の防衛力拡大を阻止しようという狙いがあるとも指摘した。

 さて、ツイッターだけだと闇のくまさん氏の発想の着地点の理路がわかりにくいですが、氏はもともとユーチューバーであり、当然このネタに基づく動画をアップロードしています。そちらの方ではもう少しなぜそうなったのかがわかりやすいです。


https://www.youtube.com/channel/UCz5X9oXlFrMnZF3j58CDVgA/videos


※わかりやすくするために途中の字幕を抜かしています。

まず玉城デニー氏による「日米から沖縄を取り戻す」という発言を見て、この発言を「沖縄の独立を玉城デニーは狙っている」という解釈を闇のくまさんはします。ただこの解釈自体は以下の様にネット保守層の中では突飛な解釈ではなく普通の解釈でしょう。

togetterはともかくとして、シェアニュースジャパン、政治知新、もえるあじあなどの名だたるサイトがこの「取り戻す発言」に反応しています。そして闇のくまさんは8月27日の産経記事「中国元副首相「日中は運命共同体」 国交50年で」を関連付けながら、冒頭の産経新聞記事を思いだして玉城デニーの発言を大問題視、そしてフランスの軍事研究家が危惧したとおりになっていると煽っているわけです。ちなみにですが、動画の方だとツイッターにおける文面「玉城デニー中国共産党の勢力とフランスが断定」というレベルよりはちょっと落ちているかなとは感じます。それでもほぼほぼ関連付けているといえますけど。


9月1日追記

 この画像記事の出典を追記しておきます。記事は2018年9月23日の八重山日報となり、要は前回の選挙選の際の記事です。当然ながら当時すでに話題になっており2018年のtogetterのまとめ「沖縄県知事選『玉城さんが、「日米から沖縄を取り戻す」と叫んでるのが放送されていました。理解が出来ません』『県知事選挙でそのような事を言ってどうするの?』なお 八重山日報にも記事掲載があったもよう」があるように使われ方の文脈としては今と変わりません。これが今回の選挙選で出てきたのは意図的なものではあるでしょう。


フランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)による報告書

 産経の記事だけだとあれなのでフランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)のレポートを置いておきます。「玉城デニー」という文言があるのはおそらく下記の部分だけですかね。

Le terrain est favorable puisqu’il y a déjà des mouvements indigènes pro-indépendance et hostiles à la base américaine. L’île est majoritairement anti-Tokyo, anti-gouvernement central, comme en témoigne l’élection de Denny Tamaki comme gouverneur en octobre 2018, un opposant de longue date à la présence américaine. La préfecture d’Okinawa milite pour le départ d’une partie des troupes américaines (marine et armée de l’air). Le risque qu’Okinawa déclare un jour unilatéralement son indépendance est pris au sérieux à Tokyo. Or, « la Chine encourage cet objectif par la diplomatie, la désinformation et des investissements dans la partie nord de l’île, près des bases américaines »
(自動翻訳)
アメリカの基地に敵対する先住民の独立運動がすでに存在するので、地勢的には有利だ。2018年10月の知事選で、長年アメリカのプレゼンスに反対してきた玉城デニー氏が当選したことからもわかるように、この島は反東京、反中央政府が主流である。沖縄県は、一部の米軍(海軍と空軍)の撤退を推進している。沖縄がいつか一方的に独立を宣言するかもしれないというリスクは、東京でも深刻に受け止められている。しかし、「中国は、外交、偽情報、米軍基地に近い島の北部への投資を通じて、この目的を後押ししている」という。

長くなるので引用は割愛しましたが、引用箇所の上下には日本の保守界隈と相性の良い文章が書かれてはいます。個人的にはやや過剰な書きぶりであったりして違和感を感じる部分はありますが。ただ、それであってもさすがに玉城デニー氏を「中国共産党の勢力と断定」との書き方はしていません。やはりデマ、闇のくまさんの思想による妄想かなと。



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