電脳塵芥

四方山雑記

関東大震災周辺時期の新聞記事 東京日日新聞1923.9.8朝刊「鮮人の爆弾 実は林檎 呆れた流言飛語」

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東京日日新聞1923.9.8朝刊「鮮人の爆弾 実は林檎 呆れた流言飛語」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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鮮人の爆弾 実は林檎
 呆れた流言飛語 湯浅警視総監語る
湯浅警視総監は卓上に二個のにぎり飯と福神漬けを置き、水道の水をすすって鮮人暴行の浮説を懐嘆(?)して左の如く語る、『この未曾有の惨状に対し罹災民の狼狽するとは然ることながら鮮人暴行の風声鶴唳に殆ど常軌を逸した行動に出づる者のあったとは遺憾千万である。即ちその一例をいえば鮮人が爆裂弾をたづさへているというので捕(?)えて見ればリンゴであったともあり、また「木喜徳郎氏の付近の出来事であるが、一民家に火を放って酢をこぼしため主婦が之を綿にしめし、かなだらいの中に入れて置いた所、青年団の人は放火用の石油だと誤認(?)し主婦が如何に弁解するも承知せず、遂に主婦は鮮人に味方するんだろうとばかりになぐり飛ばされた事実もある。その他かぞえ来たれば噴飯すべきものおおく、誠に大国民の練度(?)から見て諸外国に対しはづかしい次第である。しかもかかる浮説にまどはされて朝鮮人に暴行を加えたとはわが治鮮上憂うべきとたるは申すまでもない。しかして一面警察当局からいうも罹災民等がこういうとで騒ぎ立てるため、これが鎮撫につとめねばならぬが、これは忽ち匪恵事策(?)に対して携(?)ふべき□(字がつぶれて判別不能)力の減殺となる次第であるから、この際市民及び隣接府民は十分に注意してもらいたいと思う』云々

 警視総監の証言であり、その立場とこの時期が流言を抑え込む段階であることから信頼性は高いものと判断していいでしょう。「一民家に火を放って酢をこぼした」という状況は良くわかりませんが、とはいえ「爆弾=リンゴ」やこの「酢=石油」と判断された出来事から当時は「疑わしきは暴力」であり、このでたらめな暴力の下で多数の人が被害にあった事は自明のことかなと。



関東大震災朝鮮人虐殺の記録: 東京地区別1100の証言

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