読売新聞1923.10.4「四谷の自警団に銃で射殺さる」の記事から。
※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。
四谷の自警団に銃で射殺さる
―長髪の為め鮮人だとて―
犯人昨朝検挙さる
二日午後五時半、四谷伝馬町ニノ一四伊藤運送店員明大生伊藤長吉(20)が制服制帽で同町二丁目先を通ると、長髪の為に自警団に朝鮮人と間違われ露地内に追い詰められて何者かに二連銃で腰と胸をうたれ即死した。四谷署で犯人厳探の末、伝馬町ニノ九西洋料理店南洋軒事伊藤源□(□□)の所為と判り引致されたが、東京地方裁判所からは市来検事が長□書記を従えて出張、目下取調中である。
今のところ見た記事の関東大震災記事の中では一番ひどい理由による殺害記事です。なぜ「長髪=朝鮮人」なのかは不明ですが、当時にそういった固定観念があったのかもしれません。特定の単語を言ってみろ的な尋問で殺された人間がいるのは有名な話ではありますが、こういったもっと些末な理由で殺された人間はそれなりの数いたのかもしれません。
- 作者:加藤 直樹
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- 発売日: 2014/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)