https://x.com/swim_shu/status/1832529386299650553
上記の清水ともみ氏の主張について、選択的夫婦別姓への反対の主張として実在するか不明なウイグル人という中国政府から弾圧を受けている他者の弁として用いているといえる。まずウイグル人の名前のルール的なものについては清水氏自身が以下の様に述べている。
https://x.com/swim_shu/status/1832580744910426371
これだけだと少々わかりにくいが、そもそもウイグル人には日本でいうようなファミリーネーム(姓)は基本的に存在しない。わかりやすく書くならば、
「自分の名前・父の名前」
というのが基本構成であり、これが自分にとっての父の名前ならば、
「父の名前・祖父の名前」
という事となる。つまり世代をまたぐファミリーネーム(姓)はないこととなる。ただし外国に在住するウイグル人がファミリーネーム(姓)を用いるなどは存在するが、現地では姓というものは例外的な存在だと思われる*1 。また結婚した場合に妻、若しくは夫は父称(姓)を変えることはないし、日本語文献では娘が結婚すると父称を外す場合があるという記述も存在する*2。いずれにしても結婚して「同姓」になることはない、というよりも「父称」であることを考えれば「同姓」という概念そのものが当てはまらないと言える。これらの文化背景を考えてみるとウイグル人の名前という文化は「夫婦同姓」だとか「夫婦別姓」だとかの日本における議論に当てはめるのはそもそも不向きなものであると考えられ、選択的夫婦別姓反対の根拠として持ってくるには無理筋かと思われる。もしも清水氏の聞いた「とあるウイグル人」が例えば日本に住み、そして帰化などをすることによって「姓」を得たと考えて「ひとつの名前になれる制度」を受容したとしても、それをウイグル人の名前文化を考える場合、稀有なものだろう。冒頭の「同じ苗字なら親族が見つけやすい」というのも日本人的な文化習慣から見た視点に思えるし、後段の中韓が喜ぶは論理が謎すぎて牽強付会が過ぎるように思える。
■お布施用ページ
note.com
*1:命名ルールについては「Decolonizing the Discussion of Uyghurs: Recommendations for Journalists and Researchers」を参照
*2:「姓名論雑考:中国―ウィグル族・ハザック族および漢民族」を参照。元々は1991年の文献らしく、やや情報が古いとはいえる。