電脳塵芥

四方山雑記

選択的夫婦別姓における「制度」への賛否と「選択」として同姓を選ぶかを混同した話は不誠実では


https://x.com/rk751118/status/1834779462120227039

 「NHKの調査でも夫婦別姓反対の高校生が9割」という話が投稿の中に出ているが、これはコミュニティノートにもある様に次の投稿がソースとなる。


https://x.com/rk751118/status/1807090759608459442
https://x.com/minoru57washi/status/1806593217418461213


https://x.com/M3llSQuC35qDAo0/status/1806578191466954890

さて、この調査はNHKによる「中学生・高校生の生活と意識調査2022」の結果なのだが、元々の質問文は「第51問 あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。」であり、選択的夫婦別姓に対する「制度」への賛否ではなく、自身が結婚した時に名字をどうしたいかの選択(希望)であり、両者には隔たりががある。また質問の1と2は相手or自分の名字を変えるという意味で「同姓希望」と言えるし、4は「別姓希望」と言える。ただし3に関しては「自分の名字がどちらでも構わない」という項目であって「別姓希望」ではないが、「同姓希望」とするのにもやや強引な感はあるし、構造的に「同姓希望」が多くなりやすい質問文と言えて、そういう意味では「同姓でも別姓でも構わない」的な質問文があった方が良かった気はする。そして冒頭の近藤氏はこの「結婚時の姓の選択希望」の話を直接的にイコールで選択的夫婦別姓の反対は9割に繋げているわけであるが、そもそも選択的夫婦別姓という制度には賛成するが、自分が結婚するときは同姓が良いという話は選択的夫婦別姓世論調査のあるあるであり、別段珍しい話でもなんでもない。大抵の人は「選択的夫婦別姓」という「制度」に賛成しており、それは個々人の選択の幅が増えることなどから賛成しているのだろう。ちなみに近藤氏は「夫婦は同姓が良いとする中高生が9割」というアンケート結果という投稿も同時期にしているが、これも質問文からすると曲解といえる。


https://x.com/rk751118/status/1807246962401624500

現状、中高生に絞った選択的夫婦別姓制度への世論調査はないように思われるが、傾向としては選択的夫婦別姓制度への賛否は年齢が若いほど賛成が多い様に思われる。また2022年の山陰中央新報が大学生など40人にしたアンケートにおいては「31人が賛成、3人が反対、6人がわからない」となっている。自身が結婚した時ではなく、制度そのものへの賛否ならば中高生でも似たような割合だろう。いずれにしても「制度への賛否」と「自己の選択希望」を一緒くたにして「制度への反対が9割」かの様に語るのは不誠実だろう。選択的夫婦別姓には賛成だが、自分は同姓を選ぶは別に容易に両立する話だ。

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