中目黒でのスタバ(ツタヤ)における騒動
https://x.com/Parsonalsecret/status/1825515407903731875
という動画が拡散していた。投稿者の「髙橋𝕏羚@闇を暴く人。@Parsonalsecret」はクルド人であると判明と言っているもののその根拠を示している様には見えない。ただ例えば2023年に「髙安カミユ(ミジンコまさ)@martytaka777」もクルド人と明言しており、それを受けて別アカウントが同じ動画を今年1月にアップロードするなど、反移民系の言論ネットワーク上においてこの動画の取り押さえられた人間がクルド人であることが自明視されている事が見てわかる。
https://x.com/martytaka777/status/1618629365578989568
https://x.com/qsfkbwIhuWLhnjI/status/1745704396334530765
また直近では8月9日に「lico33🇯🇵@lico334」が後述するオリジナルの動画(オリジナルは2分20秒だが、高橋は21秒、高安は28秒と短くなっている)を挙げてクルド人とは明言はしていないものの外国人の危険性を訴えている様な投稿が存在し、この動画が素材として出回っている事がわかる。そしてそもそものこの動画の出所であるが、それは2018年10月10日における次の投稿だ。
https://x.com/anju_tokyo/status/1049913556332896256
当時のまとめとしては「TSUTAYA中目黒店で外人暴れ現行犯逮捕 警察官に暴行 Twitter現場動画」などがあるが、動画を取っていたアカウントはのちに「女性と英語で揉めてた」などと言っており英語話者であることが窺える。またこの騒動は既存メディアでは報道されていないので(目撃者の証言を読むならば男女の喧嘩(男側の一方的な迷惑行為?)以上の話にはならずに大きなけがを負った人間も存在はしなさそうで、メディアで報道される可能性はそもそも極めて低い)、国籍などは完全に不明で、動画と当時の目撃証言以上の情報は存在しないはずだ。ただ2024年1月に現場にいたというアカウントはクルド人ではなかったと髙安カミユの投稿に反応している。やはりこの動画で取り押さえられている外国人を「クルド人」とするのはなんら論拠のあるものと見えず、日本における「クルド人問題」を盛り上げるための偽情報を厭わない投稿だと考えられる。
鈴鹿市での交通違反とされる行為
https://x.com/Parsonalsecret/status/1824606700239982933
また「髙橋𝕏羚@闇を暴く人。@Parsonalsecret」の投稿となるが、もともとは「Queen39@quee3935548」(バズりそうな動画の転載アカウント)がtiktokから転載した次の動画だ。
※日本です
— Queen39 (@quee3935548) 2024年5月2日
外国人さん、日本国内でとんでもない運転を披露してしまう💦。絶対これ法定速度超えとるしいつか事故りそう。 pic.twitter.com/w8Hx7qZUks
これも元動画にはクルド人とは書いていない。なお「法定速度超えとる」とQueen39は書いているが、この動画へのリプライに追い越した事について「前の車ほぼ止まってないか? ウインカーもブレーキランプも灯さず、端に寄せないで何やってんだ?」という指摘もあり、確かに追い越された車の方は止まっている様に見えるし、追い越し後に前の車に対して差は詰まっているが無茶なスピードが出ているほどには見えない。そしてこの場所だが三重県鈴鹿市となる。
該当地域周辺にクルド人がどれだけいるかまではわからないが、少なくとも想定されているであろう埼玉県川口市などよりはかなり少なく、三重県、鈴鹿市、いずれにおいても上位の外国籍にクルド人が内包されているトルコ国籍の記述は見られない。それと動画中に流れている楽曲は2016年公開のインド映画「Dharmadurai」での劇中歌「Aandipatti」となる。Dharmaduraiは英語版wikipediaを見る限りはインド国内で高い評価を受けてはいるものの外国での展開は見られずにインド国内で流行った映画の様に見える。当該楽曲はyoutubeでの再生回数が1億回を超えている事から外国人がこの曲を流すこと自体があり得ないとまではいわないが、普通に考えればこの動画をアップロードした人間はインド人と考えた方が自然であり、逆に「クルド人」であることを立証するものは一つも存在しない。残念ながらtiktokの元動画は探り当てられなかったが、こちらの投稿についても根拠もなくとりあえず「クルド人」と書いて排外言説に乗ったのだろう。ただし、動画を見る限りスタバの件とは異なりこれを「暴走」的な犯罪行為とするのはやや微妙に思える。
以上の様に「クルド人」問題に見える動画などの中にはこういったなんら根拠のない動画を「クルド人」という単語をつけて拡散させる手法が見られる。また2018年の動画に関しては6年前の動画であることを考えると時系列も無視しているといえる。反移民系ネットワークにおいて、そう書いておけばある程度はウケる土壌が存在しているという事だろう。それと今回主に扱った「髙橋𝕏羚@闇を暴く人。」だが、アカウントの初期は「謎の救世主 🦸♂️億を稼ぐ→破産→稼ぐ→破産→稼ぐ→破産の繰り返し、そろそろ本気です」というアカウント名であり、投稿を見るに投資についてなどビジネスマインドを語るようなアカウントで今とは相当に趣が異なる。メルカリで物品を販売をするなどの直接的な商売をしていた痕跡も残っている。これが正確にいつから今の様なネット右派的、排外的価値観の投稿をする様になったかまでは探っていないが、例えばnoteなどを見ると「応援プラン(月500円)」、「本気プラン(月2500円)」などのメンバーシップを用意しているなど、実際の加入者数は不明とはいえ過去の投稿と相まって、現在の投稿は主義もあろうが「ビジネス」としての側面も拭えない。それはもちろんX上の青バッジ化によるインプレッション収益化にも言えることだが。
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