電脳塵芥

四方山雑記

中国のCCTVが「ロシア崩壊後の領土分割案の地図を発表」というのはデマ


https://twitter.com/SputnikATO/status/1520061360939360256

 上記のツイートをもとにしてツイッター速報が「中国の国家テレビチャンネルCCTV、ロシア崩壊後の領土分割案の地図を発表」という記事をまとめて怪しい地図と共に怪情報が流布しています。結論から言ってしまえばデマです。まずそれぞれの画像は以下の様なもの。

1枚目の画像がロシアを分割した地図というものとなり、2枚目がこの地図が中国の報道番組で流されて「分割案が発表された」という報道の体の画像となるわけですが、2枚目の右上のロゴを見ればわかる様にこれはCCTVではなく東方衛視であり、この時点でツイッター速報は間違っているわけです。ただそれは放送局が違うだけで報道は事実だ、と言い張ることは可能かもしれませんので、まず画像の出典を見ていきます。

画像の出典

 この画像は昨日今日造られたわけではなく管見の限り初出は2020年7月2日のredditの”The nearest country to you, when in Russia”というスレッドです。タイトルの通りこれは「ロシアにいるとき、あなたに最も近い国」というもので別に分割がどうのという地図ではありません。この地図を見てどの国が近いのかが、感覚的に理解できない面もありますが……。ただ実は当時からこの地図が分割案と受け取られてはおり、例えば香港のプラットフォームである9GAGには2020年7月2日「2032年 旧ロシアの領土が近隣諸国に分割される。」、同7月3日「2014年クリミア危機後のロシア分割を国連が計画2015.」、テレグラムで@ukrainian_mapが2020年7月5日「ロシアはどのように崩壊していくのか」という様に分割案地図として広がっている事が分かります。また当時にラトビアの政府機関の人間がこの地図を分割案的な利用でツイートをしており、ロシアのメディアで批判的記事も作成されています。 それと少し時は立ちますが@ukrainian_mapはウクライナ関連を思わせるアカウントで2022年1~2月ごろには韓国の掲示板ウクライナ人が作った分割案地図の様な広まり方を局所的でしたが確認できます。
 ひとまず言えることはこの地図自体は「分割案」として生まれたものではないが、分割案地図としてネットで活用されて行っている事が伺えます。ただし、「ロシア崩壊後の領土分割案」をネット発の画像で中国の報道機関が流す可能性は著しく低く、この時点でほぼほぼデマと判断していいでしょう。

番組は何か

 上記の様にそもそもこの地図を実際の番組で利用すること自体があり得ないのですが、しかし万が一の可能性もあります。で、探っていったところカザフスタンのメディアがファクトチェックをしていたので、その記事を参照します。まずこの番組は「欣然股课堂」という番組でyoutubeにもチャンネルが存在しています。画像からも分かりますがこの番組は株式系の市場の話題を扱う経済番組であり、背景においても分割案地図を使う様な番組とは言えません。そしてファクトチェック記事によると番組自体は2021年6月30日に報道されたものとしており、こちらもyoutubeに存在します。以下はその一部のキャプチャ。


https://www.youtube.com/watch?v=MvyHNyhaS38&ab_channel=%E6%AC%A3%E7%84%B6%E8%82%A1%E8%AF%BE%E5%A0%82

見ればわかる様に右上の東方衛視ロゴ、右下の欣然股课堂ロゴの有無の差異はありますが、それ以外の各スーパー、男性キャスターに著しい同一性が見られ、今出回っている画像はこの日の番組画像の背景を分割案地図に変えたものと考えて良いでしょう。そもそも出回っている画像、地図とキャスターの境目が不自然で加工臭が元からあるんですよね。で、実際加工だったと。

 このツイート自体がいたずらか、情報戦的なものの一部化までは不明ですが、とにもかくにも地図は「ロシア崩壊後の領土分割案の地図」ではないし、「中国のテレビが発表(報道)」というのも何れもデマです。