電脳塵芥

四方山雑記

フェミニストが一部の日本製アニメの排除をネットフリックスなどに求めてるのはフェイクニュースだよ


https://x.com/TomoTar64556409/status/1911576473393353194

 上記の様な投稿が拡散していた。この「海外脱出ネオニート」は記事に賛同の意を示しているが、この投稿に対する批判も多い。しかしながら、そもそもでいえばこの記事はフェイクニュースであり、現状は偽情報をもとに賛否を語っているようなものだ。この投稿に貼られているリンクはotakukartという海外(立ち上げはインド、現在はアメリカが拠点らしい)のオタク系ニュースサイトの「Feminist Groups Call For Total Ban on Ecchi – ‘It’s Not Art, It’s Just Softcore’フェミニスト団体がエッチの全面禁止を訴える - 「それは芸術ではなく、ただのソフトコアだ」) ※自動翻訳」という記事である。しかし結論から言ってしまえばこの記事はフェイクニュースであるし、otakukartはこういったフェイクニュースを同時期にいくつも出しているフェイクニュースを多く含むサイトに見える。
 まずこの「フェミニスト団体」についての記事だがその内容には次の様な不審点が存在する。


フェミニスト団体が起こした「No More Fanservice*1」という運動は存在しない
・運動が存在しないので運動へのアニメコミュニティ全体の激しい反発も存在しない
NetflixとCrunchyrollに送った正式な書簡も、記事上の文言を検索してもこの記事以外に存在しない
・記事中にBBCジャパンタイムズへのリンクが貼られているが、リンク先に記事は存在しない*2
・運動が存在しないのでXに投稿したとされる「エッチマンガ家」も存在しない


以上の様に始まりから終わりまで存在しないニュースの話がこの記事では展開されている。何故このような記事が書かれたかは詳細には不明だが、そもそもこの記事を書いたという記者である「Steve Johanson」はこの手のフェイクニュース記事を複数書いている。例えば「Muslim Nations Demand Global Ban on ‘Lewd Anime’ – UN Says It Will ‘Review Cultural Standards’イスラム諸国が「わいせつアニメ」の世界的な禁止を要求、国連は「文化基準を見直す」と表明)」、「UN Demands Japan Ban Loli Characters – Japan Politely Tells Them to Buzz Off(国連が日本にロリキャラ禁止を要求、日本は「やめて」と丁重に勧告)」、「School Principal in Ohio Fired After Assigning Death Note as Class Readingオハイオ州の学校長、授業で『デスノート』を課題図書に指定したため解雇)」などなど、これ以外にも多くのフェイクニュースと思われる記事が散見される。極めつけともいえるフェイクニュースは「Japanese Politician Demands Ban on Isekai Anime – ‘Too Many Teens Want to Die and Reincarnate’(日本の政治家が異世界アニメの禁止を要求 ― 「死んで転生したい10代の若者が多すぎる」)」だろう。この記事によれば日本の政治家が異世界系アニメの禁止を要求したという内容なのだが、この禁止要求に反対したファンがX上において「#IsekaiSavesLives」というハッシュタグを用い、日本でトレンドしたとさえ書かれている。当然、その様な事実は一切存在しない。事程左様にotakukartにおける「Steve Johanson」はこの様なフェイクニュースを多く書く一切信用が置けない人物であると言える。ちなみにだがこの「Steve Johanson」だが写真と名前が一致する人物がlinkedinにいるのだが、linkedinにおける彼の実在する在籍企業が果たしてotakukartを運営しているのかも謎であるし、紹介文にはアニメ系の話などが一切ないために同一人物であるのか、はたまた名前と写真がパクられたのかは不明だ。ただOtakuKartのlinkedinのつながりには「Steve Johanson」が存在しない為にパクられた可能性は高い。またotakukartというサイトの書き手は複数いるのだが、Xが凍結されていたり、まともな更新がなされていない書き手も多い為にどこまで関わっているのか不明な人物も多い。
 なおこの「Steve Johanson」を名乗る書き手だが、2024年4月12日から記事を書き始めるのだがこの日だけで20本以上の記事をアップロード後、次の更新は2025年3月27日まで音沙汰が無くなる。そして3月27日から4月13日までの間に5000本以上の記事をアップロードしている。この多すぎる記事には「○○の発売日、あらすじ、読める場所」なども多数占めるために多くなってはいるのだが、とはいえAIなどのツールを使わなければ不可能な数だろう。上記に例として挙げたフェイクニュース系の記事も4月12日から13日の間に書かれており、本記事で触れていないだけでまだ多くのフェイクニュースと思われる記事が書かれている。こちらもAIによって書かれたと考えてほうが良いだろう。
 いずれにしても冒頭にあげた「フェミニスト団体」による抗議は存在しない。ただ冒頭のアカウントの様にフェイクニュースに乗せられて賛意を示すアカウントも少なからずいたし、それへの反発も存在したしでこのフェイクニュースは拡散したのだろう。AIによってフェイクニュース記事が書きやすくなって数を撃てば当る世界になったのかもしれない。



投げ銭用ページ
note.com

*1:「No More Fanservice」という言葉自体はアニメ・マンガ等の女性の肌の露出などで使用される場合が「時折」あるがようだが、ミーム化しているというほどでもなく使用例はかなり少ない。

*2:BBCジャパンタイムズもリンクされているURLはともにページのトップであり具体的なURLは存在しない