電脳塵芥

四方山雑記

令和3年版自殺対策白書に著名人の自殺の後に自殺が増える事がデータとして書かれてた

 先日、厚労省から令和3年版自殺対策白書が発表されました。2020年の自殺についての話ですが、やはり主に注目されるのはコロナ禍であったりそれによる女性の自殺の増加などは去年から話題になってました。実際にデータとしては去年の自殺数は久々の増加となっており、特に女性の自殺数の増加は特徴的と言えます。

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また去年だけではありませんが、最近の傾向を見ると19歳以下の子どもの自殺も増加傾向なのも気がかり。

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ちなみにコロナ禍なので経済問題が理由の自殺者が増えたと思いきや、経済問題はむしろ減少しており、健康問題が増え、さらに男女問題、学校問題ではそれらよりも元の数が少ないとはいえ2019年と比較して10%以上増加。どこまでコロナ禍の影響かまでは分かりませんし、自殺は複合的な要因が連鎖して起きるので「これ」が原因とだけ言うのは危険ではありますが、これらの動機が2020年の自殺増加のひとまずの原因だという事が分かります。

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著名人自殺による自殺者数への影響

 著名人などによる自殺が起き、それによる自殺報道がなされた場合、その後に自殺が増えるというウェルテル効果というものがあります。そして2020年には幾度かそういった報道があり、そして実際に増えたことについて自殺対策白書に書かれていました。詳しいデータはリンク先に書いてあるのですが、この記事でもいくつかデータを貼っておきます。

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 上記は過去5年の自殺者数をもとに予測した2020年の予測値と実測値との差ですが、自殺報道のあった7月18日に自殺者数が増え、そしてもう一つの自殺報道があった9月27日以降にかなりの増加がみられます。また例年の10月は下記の図の様に特に他の月と比較して自殺が多いという事ではない事からも報道の影響が色濃く出ていると考えて良いかなと。

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そして「報道後2週間と報道前2週間との自殺者数の比較」、「報道後2週間と前年同期との自殺者数の比較」を見ると自殺報道の自殺者数の関連は疑いようもない。

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 ただし。この自殺報道そのものがどのくらいの期間まで自殺に影響を及ぼしているかまではわかりません。7月ごろから継続的に自殺者数が予測値よりも常に上回っているような状況ですが、常識的に考えて2週間程度のタイムスパンならともかく1か月、2か月後にも強い影響を及ぼしているとは考えづらい。コロナ禍の影響が夏から徐々に出てきたとも考えられますし、自殺報道の影響をあまりにも大きく見すぎる事は宜しくない。だけれどもやはり自殺報道によって自殺が増えるという事はデータから見ても恐らく確かであり、自殺報道というものは気を付けてやらなければいけなくなってきているのかなと。

脇道。相談件数における男女の違い

 第2章「新型コロナウイルス感染症の感染拡大下の自殺対策に係るSNS相談の拡充」でちょっと興味深い事が書かれていたので脇道として置いときます。
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BONDプロジェクトは10~20代の女性が対象なのでそれを抜きにしたとしても、全体的に相談件数の男女比の割合が女性が圧倒的に多め。自殺者は男性の方が多いことを考えると、男性の男性性からの相談しづらさなどがあるのかななどと思った次第。