電脳塵芥

四方山雑記

ワクチンの職域接種の新規受付停止に関しての雑文

今後、供給できる量を上回るおそれがあるとして、大規模接種は23日で、職域接種は25日の午後5時で、新規の申請の受け付けを一時休止すると発表しました。
自治体の大規模接種と職域接種 新規受け付け一時休止 河野大臣

 少しだけ書いとく。何故新規受付停止をしたのかと言えば、ありていに言えば応募が多くてワクチン供給量を上回るから。ただ果たしてこれが政府の想定通りなのか、想定以上なのか。そもそも職域接種と自治体間の調整など計画性があっての事なのかは不明。なお朝日記事を見ると想定以上っぽい。予想される事態であったろうに認識が甘いと思う。

政府高官は「(申請されたワクチン数は)想定外。正直ここまで申請があるとは思わなかった」と語った。
官邸関係者「指示が裏目に」 職域接種、受け付け停止に

モデルナ製ワクチンの供給量

 まず職域接種に使用されるのはモデルナ製ワクチン。そのモデルナ製ワクチンの供給量は6月末までに4000万回。その後に7~9月に1000万回の合計5000万回。そして職域接種の応募状況は先ほどの記事では以下の様なもの。

職域接種と大学での接種の合計でおそらく3300万回を超え、自治体の大規模接種が1200万回を超えてかなり上限に近くなっている

上記の記事にある様にモデルナ製ワクチンは自治体の大規模接種にも使用されることになっており、職域接種と併せて4500万回分。このことからも年内5000万回という上限に近づいている数字であり新規受付停止は当然のことではある。というより、現状だと6月末4000万回の数字を既にオーバーしている事を考えれば、オーバーした500万回分に回された応募企業、もしくは自治体に若干のスケジュール的しわ寄せがある可能性が存在。

ファイザー製ワクチンの供給量

 ファイザー製については以前供給量減少についての記事で書きましたが詳しく見たいならそちらで。ただ簡単に記すと供給スケジュールは以下の様なもの。

ファイザー製ワクチン輸入時期>
6月末  :約1億回分(5千万人分)
7~9月 :約7千万回分(3500万人分)
10~12月:約2400万回分(1200万人分)

ファイザー製ワクチンに関しては上記を見ればわかる様に7月から供給量が減少します。配布スケジュールでは第10クール(7/19の週・7/26の週)までに医療従事者(936万回分)、高齢者向け&一般向け(8223万回)を併せて9159万回分のワクチンの配布・計画され、7月末に6月末までに届いたワクチンを9割以上使用される予定となっています。
 なお高齢者用のファイザー製ワクチンは6月末1億回を考えると十分な量なはずだけれど、以下の様に来月19日以降の供給量が未定となっている自治体もある。厚労省の配布スケジュールを見ると総量はもう決まっているはずであるし、何故決まってないのか、一定の割り振り枠があるはずなので政府側が要求量にこたえられないのが何故かは良くわからない。

ファイザー社のワクチンは、今月21日から来月18日までがあわせて6万7860回分と市の要求量の半分程度にとどまっているほか、来月19日以降は、供給量が未定になっています。
山形市 ワクチン接種の新規予約を一時停止 供給量著しく不足

問題点

 一番最初に紹介したNHK記事に書いてある河野大臣の言葉が全てかも。

河野大臣は「若干、綱渡りのようなオペレーションになるかと思うが、自治体と連絡を密にしながら、なるべく必要なところにきっちりと届けられるよう頑張りたい。すべての職域接種や大規模接種ができないのは非常に残念だが、最大限スピードを落とさないようサポートしていきたい」

要は確固たる計画の下に進んでいる計画ではなく綱渡り、若しくは行き当たりばったり的な行為なのかなと。よく言えば柔軟。現場は大変だろうけど。それとモデルナ製ワクチンは自治体においてもその接種スピードを上げるために大規模接種会場を用意したり、7月以降は物理的な供給減少が発生するためにモデルナ製ワクチンが必要になる可能性がある。しかしその分のワクチンを職域接種により大量に使用することになり、自治体側の計画に混乱が生じることになるかもしれない。
 その他の問題点としては単純に職域接種という属する企業によってワクチン接種が出来るかどうかが変わり、本来優先接種を受けるべきであろう職種とされる人や非正規雇用の人間が置き去りにされるというのもある。なんとなく新自由主義下のワクチン接種だなって思う。

余談。1日100万回を超えたね

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 上記はテキトーに作った雑な表なんですが、これをみると6月7日週くらいからワクチン接種は1日100万回程度の推移ということが分かります。なお1日100万回自体は7月末に高齢者全員に2回接種達成に必要な数という「目標の為の目標」の様なもので、では7月末に希望高齢者全員が現在達成可能かは不明。少なくとも単純に高齢者全員7200万回は最早無理だし、全員接種は色々な意味で土台不可能な話なので置いといて。そも、「希望高齢者は何人か(何割か)」という前提が存在しない。希望者が7割くらいならばおよそ5000万回なので、その数ならば達成は不可能ではないだろうけれど……。ここら辺はアナウンスされてないので、高齢者接種というのは実はゴールラインが不明瞭だったりする。なお、ここ最近の一般接種は8~90万回前半で高止まりしてきてて一般接種の上限は自治体大規模接種会場を考慮しても100万程度なのかなと。
 そして職域接種に関しては河野大臣の会見を読む限りは1日20万回程度と踏んでいるらしい。医療従事者への接種については既に当初の想定である960万回を超えて1000万回を超えているので早晩医療従事者の接種は終了するはずです。大体1日10~20万回で推移していたので、この医療従事者分の回数がなくなり職域接種分がそれを補う感じでプラスされる流れになるかなと。職域の本格化と医療従事者への接種回数が重なるところで1日120~130万回という回数の日が出てくるかもしれないけれど、150万回レベルはなかなか難しそう。あと細かい事なんだけど、現状の統計だと職域接種は一般接種に合算されるっぽいので職域接種の回数はすぐには確認できなさそう。