電脳塵芥

四方山雑記

自民党が規制改革を阻む要因として「弱者への過剰な配慮」と書いてた

 メモ的なもの。    2021年5月11日に自由民主党行政改革推進本部の規制改革等に関するプロジェクトチームが「デジタル化社会からデータ利用型社会へ(中間報告)」という資料を自民党HPにアップロードしてたので、読んでたんですが気になることが書いてあったので忘備録的に記事としてあげておきます。
 まずこの資料の提言の内容は以下の5つです。

1.データ利用型社会への改革
2.規制改革推進のための論点整理
3.データ利用の阻害要因
4.各論①:カーボンニュートラルの推進
5.各論②:自治体における計画策定の負担軽減

各々については各自が気になる部分を読んでもらうとして、個人的に気になったのが「2.規制改革推進のための論点整理」での以下の記述。

(1) 改革を阻む諸要因
規制改革を阻む諸要因は「縦割りの弊害」「既得権益の保護」「弱者への過剰な配慮」「改革アプローチの間違い」など多様である。現状の取り組みではこれらの要因を含む改革は敬遠されがちで整理が進まない。規制そのものに合理性があるものを除いて、各要因の体系的な整理を進めた上で規制改革を推進すべきである。

この項目は規制改革を推進するためにどのような仕組みを構築するかという様な内容ですが、その中に規制改革阻害要因として「弱者への過剰な配慮」という概念が自民党にある事が吐露されています。その他の阻害要因として書かれている「縦割弊害、既得権益保護、アプローチの間違い」というある種のテンプレ群と比べても異質です。素直にこれを読めば弱者を守るための規制を改革によって打破すると読み取れるもの。弱者への「過剰な」配慮が駄目という話はある種の人には受けが良いとは考えられますが、資料には具体例が一つも示されておらず何を念頭に置いているかはわかりません。しかし、自民党は過去に生活保護バッシングを仕掛けたりヘイトスピーチLGBT法案における「差別」に対する姿勢などを見ると自民党内における「弱者への過剰な配慮」のレベルは本当に「過剰」であるかどうか、疑念を抱かざるを得ません。自民党がそういった価値観を持っている事はネット右派、新自由主義冷笑系の支持者を見てると不思議ではないですが、提言内容に書かれたことは一線を越えたかもしれません。中間提言とはいえ、これがこのまま削除されず完成したら政府へこの文言が入った提言を渡すことにもなるわけですから。

 以下からは脇道ですが、こんなことも中間提言には書かれています。

一方、個人情報を保護するあまり、まずはデータ利活用の抑制的なガイドラインによって規制するなど段階的な改革手法がとられ、データの利活用がそこで止まってしまうようでは問題である。むしろ、公益に資するデータは精査の上、積極的にオープンにして利用を進めていくべきである。

個人情報保護についても規制改革の対象になっているのでしょう。「デジタル改革関連法」でも個人情報が問題の焦点の一つになっていますし。

チャヴ 弱者を敵視する社会

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