上記の画像は極々時折ツイッターなどで見るわけですが、こちらの画像についての話をば。まず何ですが現在が2020年である事を考えた場合、そもそも第二次安倍政権(2015年末)で区切るのはもう時期的に古い情報といって良いでしょう。今は第4次安倍内閣期にあたりますし。それと、そもそもこの表の出所なのですが2017年8月頃にネットに出回っているのは確認できますが、誰が作ったのかはよくわかりません。ただ表を見ればわかる様に安倍政権批判の下に作られたものには違いありません。「個GDP」という不思議な項目があったりと少し微妙な表だったりしますがそれは置いといて、では数字の正否は。
数字の出典はGLOBAL NOTEの日本の一人当たりの名目GDP(IMF統計)から確認可能で、それによれば2018年までの日本の一人当たりGDP統計は以下の様になります。
これを各政権毎の増減率に置き換えると、
となると思います。何でかネットで出回っている表と数値が微妙に違うのが何故かよくわかりませんが……。ネットで出回っている表では「~〇月までの実績」と記述されているのでもしかしたら月毎の数値を参考にしているのかもしれませんが、そのデータが何処にあるのかよくわからないので今回はスルーで。ということで、出回っている表にある様に「-30%」というのはセンセーショナルな数字ではあるものの現在ではその数値は古く「-19.2%」くらいに落ち着くと思います。2019年のも遠からず発表されるでしょうし、またこの数値自体も変わるかと。
あとIMF統計はドルベースなので、為替レートの影響を受けます。第二次安倍政権以降は円安方向に進んでいるのでドルベースでは下がることになります。
出典:
USドル/円の為替レートの推移 - 世界経済のネタ帳
円安政策の良し悪しは置いといて、第二次安倍政権以降にドルベースの一人当たり名目GDPで下がるのはこういった側面もあるんですよね。なお、日本円での一人当たり名目GDPの推移は以下の通り。
余談。
現在の安倍政権は2020年ごろまでに名目GDP600兆円を目標にしています。その目標が達成できそうかというと……、国民経済計算(GDP統計)を見ると2019年度の名目GDPは552.6兆円。過去のデータ推移を見ると、
1年で50兆円以上を上昇した年はないですし、現状のコロナ禍においては下落する可能性が高いかなと。ただ、コロナ禍がなかったとしてもこの目標は未達に終わっていた推移でしょうね。日経新聞でも以下の様にありますし。
政府が4年半前に掲げた「名目国内総生産(GDP)600兆円」の目標達成が一向に視野に入らない。
逃げ水の「名目GDP600兆円」 財政健全化の前提狂う :日本経済新聞
最近この方面の話題をあまり聞かないですし、目標未達は騒がれることなく終わるのかな。