電脳塵芥

四方山雑記

消費税増税後のエンゲル係数について

2017年の一時期にエンゲル係数の話題が出てきました。

2016年のエンゲル係数(家庭の消費支出全体に占める食費の比率)が25.8%と4年連続で上昇し、1987年以来29年ぶりの高水準となったことが17日、総務省の調査で分かった。 mainichi.jp


ってやつです。さらに2018年の国会において安倍晋三首相の答弁後のすぐ後にwikipediaエンゲル係数の説明が安倍首相側にとっては都合の良い内容に変更されたという件もありました。


buzzap.jp


またこれを覚えている人は少ないでしょうが2018年の統計局コラムで修正エンゲル係数なる概念が出てきてこれまた一部で話題になったりしました。いずれもエンゲル係数があがったという指摘に対して、係数が上がってもさしてそこまで問題視する必要はないという躱しかたというものです。
 それらの件の是非はひとまず論外なので置いといて、消費増税すればエンゲル係数が上がるのはほぼほぼ確実なわけで。ただそれについての報道はまだ出てない模様なので家計調査からそれを引っ張てきました。

参照先:家計調査 家計収支編

◆消費増税直後(2019年10月)のエンゲル係数
 今現在2019年10月のエンゲル係数までが公表されており、その10月のエンゲル係数は「26.4」です。これは前年同月比「25.7」と比較すれば0.7の上昇です。ちなみに2010年からの10月のエンゲル係数の推移をグラフ化したのは以下の様になります。

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2014年は消費増税8%の影響で上昇、2015年以降は何が主因で上昇しているかは不明ですが「25.7」と高い値で安定しています。2019年はここから更に上昇に転じましたが、10%への消費増税の影響は否めません。
 なお9月のエンゲル係数ですが2018年は「26.6」、2019年は「25.1」とかなりの差異が生じています。データを詳細に見てはいないので予測にすぎませんが、食料品以外の駆け込み需要の影響の可能性はそれなりにあるかなと。また災害の修理費用などによる臨時出費などの影響もあるかもしれません。


◆2010年からのエンゲル係数の推移
 2010年から2019年10月のエンゲル係数の推移は以下の様になります。全体的に上昇傾向です。 f:id:nou_yunyun:20191228215751p:plain

グラフだと少しわかりにくいですが2019年は数値が出ている10月分までで2018年と比較した場合、エンゲル係数は前年度よりもやや低めでした。ただし前述した様に10月の消費増税に合わせたエンゲル係数は前年越えであり、11月、12月のエンゲル係数も上回る可能性はそれなりに高いと考えます。
 それと1年を通したエンゲル係数は2016年から「25.8」付近で安定しています。2019年は10月時点までは「25.3」となり2016~2018年の10月時点のエンゲル係数と比較した場合「0.2~0.4」ほど低くなっていました。11月、12月が前年を超えたとしても、2019年全体で考えれば2018年のエンゲル係数とあまり変わらないと考えますが2020年以降のエンゲル係数は今よりも少し高めで安定する可能性は高いかなと。


 2019年全体のエンゲル係数が出るのは来年2月くらいとなり、また2019年全体は前年度からあまり変わる可能性はないのでニュースになったとしてもそこまで大きなものにはならないと考えます。ただし2020年は全体的に消費増税の影響が現れるでしょうし、そうなると2020年のエンゲル係数は高く出る可能性は高いです。しかしその数値が出るのは2021年。問題として扱われるとしてもちょっと先になりそう。