電脳塵芥

四方山雑記

中国外務省から流出したという「2050年国家戦略地図」について

 というまとめを作ったのですが、こちらでも。

 さて、

 

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っていう画像や、

 

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っていう画像が時折、「中国外務省から流出した「2050年国家戦略地図」」という触れ込みとともにネットで出回ることがあります。まあ、結論はさっさと言いますがどっちも当然ながら中国外務省の画像ではなく、つまりはデマ。上は日本人が作った地図で、下は中国人が作った地図でどっちも中国外務省は関係ありません。というか、そもそも本当に中国外務省から流出した地図ならば国際問題になるのが必然な地図なので、その時点で信じるに値しない情報ではあります。信じたいに値する、の人は多くいるっぽいですが。

 

 そして、正直このネタ元についての話題は

 

以上のブログ記事が完璧と言えるくらいに検証されています。拡散時点、日本で言及し始めたサイトは何処かだったか、中国のネット民のその時のノリなど。付け足す検証はほぼほぼないです……。

 

 一枚目はチベットを扱ったHPの「チベット侵略の象徴・パンダ」というコンテンツの中にある「チベットを日本に置き換えたら」というたとえ話の為に作られた地図です(2008年3月)。それが2か月後に「中国外務省」から流出したという情報が付与されて拡散されています(2008年5月)。グーグルの期間指定&画像検索ではこれ以前には遡ることができないので、これで確定でしょう。

 二枚目。こちらは2002年末ごろから中国のネット民が作ったことにより出回っている画像の一つです(日本での流布は2007年ごろ、そして上記画像と付け加えて2008年ごろからまた拡散)。既存のネット地図を加工したもので、中国の大学生などが遊んでる様子が上記のブログでも確認可能です。まあ、「韓国の「歴史教科書」とされるものの地図とか、ファンパとか、大陸史観とか - 電脳塵芥」でも書きましたが、どこの国でもどこまで本気かは分かりませんが、そういう人たちがいるという事です。

 

 ちなみにこれらの画像は2019年現在も未だに現役で、1年に数回そういう記事が作られている感じです。さらにツイッター(現存確認できる最古の書き込みは2009年)によって再拡散されている可能性もあります。

 

◆余談

 以下は余談。中国ではネットスラングで「YY」というのがあります。意味は「妄想」、自慰的な意味での妄想というのが近い感覚かなと。特に2枚目の地図は中国でも多く出回っているので「YY的地图」と呼ばれていたりします。

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というような感じに今回の地図も当の中国人自体がそういう妄想地図扱いしているという事です。間違っても中国外務省とか、国がそういう認識だとか、少なくとも表だってはありません。ただし中にはこの地図を見てジンワリとしてるっぽいアレな中国人もみかけましたが……。韓国でも大陸史観の地図を見て血気盛んな様子の人もいたし、そういう人間は何処でも少なからずいるという事でしょう。

 なお、中国では所謂「ネトウヨ」は「憤青」もしくは「糞青」と呼ぶらしく、またこの地図を作ったり、拡散していたのも大学生グループという話もありますので(中華連邦構想図 ( アジア ) - 我在北京なり 我想去香港ばー! - Yahoo!ブログ)、この若い層が悪ノリして作ってネットミーム的に生き残っているというところじゃないかなと。

 また、上記ブログにも紹介されていますが未来の中国の地図はいくつかあります。そういう遊びに近いことをやっている人も要るっぽいので、2枚目の地図はネットでの妄想未来中国地図の元祖的な位置づけなのかもしれません。いずれにしても詳しく知りたいなら上記ブログがお勧めです。中国の掲示板を翻訳していたり、背景がより明瞭にわかるので。

 

 

【続編】

 

nou-yunyun.hatenablog.com

 

 

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