電脳塵芥

四方山雑記

【開示請求】東京2020オリンピックの延長・中止についての内閣府資料

 東京2020オリンピックが閉会して久しいですが、説明するまでもなくこの2020東京オリンピックは2021年に1年延期しています。で、この1年延期の論議の際には2年延期論もされていたという*1。そして2021年の本大会が始まる前には新型コロナの感染拡大によって世間では中止論が盛り上がっていました。ただ外部側では内部で延期と中止についてどのような議論がなされていたのか、少なくとも資料上でもいいのでどうだったのかは不透明なところでしたので開示請求してみました。

開示請求の文面

 開示した時期はオリンピック開会直前の7月19日。そして内容は以下の通り。

東京五輪開催について、新型コロナの影響によって2020年から1年延期となっていたが、報道によれば2年延期があったとされる。また2021年の開催直前になっても中止という世論も存在した。この延期と中止について、東京五輪の延期を「1年」とした事についての意思決定過程が分かる行政文書②中止という選択肢は政府として存在したのか、そして存在したならば東京五輪中止の目安は何であったのかが記載されている文書、以上2つの資料について請求する。

つまりは去年の延期決定時についての資料及び、開催前の中止について資料(あれば)というもの。で、開示されたのは次の通り。

■令和2年3月24日 安倍総理大臣とバッハ国際オリンピック委員会会長との電話会

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 延期についての当時の安倍首相とバッハオリンピック委員会会長との電話会談についての要約資料であり、左上を見るとこれらは記者クラブで張り出された情報であることが伺えます。これが開示された資料上で一番早い時期のものです。内容については以下の様なもの。

1.大会中止は選択肢にない
2.年内(2020)の開催は不可能、延期の意見一致
3.遅くとも2021年夏実施に向けて具体的に検討していく

以上の様にこの電話会談で2021年夏実施が決定しています。ただ延期論自体は3月11日の大会組織委員会の高橋治之理事の2年延期論などがあり、3月上旬から水面下では話し合っていたという話もあります。そう考えると当然ながらこの電話会談資料は水面下で話し合っていた後の内容であり、それらの「水面下」が開示請求で表に出ることはないという事でしょう。なので2年延期論がどれほど政府内で説得力があったのかは謎です。ただ1年延期に関しては以下の産経記事の様に当時の安倍首相の意向と捉えていいでしょう。

新たな日程案として「今秋」「来春」「1年後」「2年後」などさまざまな案があったが、「1年延期」で決着したのは、中止を回避するためワクチン開発の見通しも計算に入れた安倍晋三首相の周到な根回しがあった。
東京五輪「1年延期」にこだわった安倍首相 ワクチン開発の時期も計算

■令和2年3月26日 議事メモ

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 東京都、国、組織委という日本の組織内での議事内容についてのメモ。電話会談などを受けての初めての実務的な話し合いのものと思われます。内容は春開催と夏開催についてのメリット、デメリット比較です。ここでは夏の暑さ、台風についても認識されているのが「スポーツに適した温暖な気候」を思うとあのプレゼンは本当に欺瞞だったなと思わざるを得ません。

■令和2年3月27日 議事メモ

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 IOCを交えての議事メモ。IOC側に春と夏のメリット、デメリットを説明したというもの。IOC側からは夏推し、春推しなどの声もあったが最終的な結論はIOC,東京サイドを尊重。協議の結果、夏のデメリットの暑さ、台風は2020年夏の開催でも想定、対処方法を検討済みであるが、春は十分な対応は不確定。これらを前提にハイレベルな協議にあげるというもの。

■令和2年3月30日 議事メモ

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 バッハ会長、小池都知事、橋本大臣、森会長などが出席した会議の議事メモ。その内容として当時の森会長が以下の様な事を発言。

1.遅くとも2021年夏までの期間で検討ならば1年程度の延期で2021年夏
2.夏休みにかかった方が望ましく、2020の競技日程フォーマットを流用可能。コロナウィルスの状況などを勘案すると1年延期の夏開催が望ましい
3.暑さ、台風は2020年でも想定、対策、備えは万全を期す

それに対してバッハ会長は提案日程に同意、そして小池都知事は「コロナウイルスに打ち克つ、その姿をオリンピックで見せたい」と発言というものです。基本的には26日からの議事メモ内容を特に反論もなく許容したという事でしょう。

 これで開示請求で開示された資料は以上です。いずれも2020年の延期に関する資料のみであり、2021年の本大会中にまで存在した中止論についての行政資料は不開示などの連絡もありませんでしたので、行政資料そのものが存在していないと考えられます。これは例えば安倍-バッハ会談前にあった水面下であった動きが開示資料にないように、中止論についても存在したとしてもあくまで水面下での話のみであったという事でしょう。ということは少なくとも菅政権として「正式」に中止論について話し合ったという可能性はほぼほぼないといえるかもしれません。あれば議事メモくらいは存在するはずですから。

靖国神社にある三浦春馬氏を利用したヘイトスピーチ的陰謀論絵馬について

 以上の様な三浦春馬氏への思いを綴りながらも彼の自死を利用したヘイトスピーチにあたるであろう絵馬が靖国神社で散見されました。この絵馬については8月15日に瑠璃子(桜島よし子)氏が以下の様なツイートをしており、話題になりました。

これを受けて実際に自分も靖国神社で確認しましたが現状の絵馬の大部分は三浦春馬氏に関するものでした。その数は一見するだけで数十枚レベルですが、写真を見ればわかる様に裏にある絵馬もあるでしょうから100枚を超えていても不思議はありません。その内容の基調に彼の死を悲しむものですが、上記の絵馬の様に典型的なヘイトスピーチといって差し支えない陰謀論的な絵馬が混ざっている状態です。
 三浦春馬氏の自死についてその理由は本人にしか分かりません。また現在のネット上では他殺説、所属事務所のアミューズラオスの小児病院へ支援する際のお金の流れを不正と告発しようとして暗殺された説、CIA説などなど多様な陰謀論もありますがそこには踏み込みません。よく知らない人間が、その自死についてアレコレ語る事自体が故人に対する侮辱にもなりえるのでここではそれらについては基本的に扱いません。

 まず絵馬にある様な「反日」、「在日」などのキーワードの土台の一つはネットなどにある「芸能界=在日が支配」というものや、アミューズ反日という認識でしょう。特にアミューズ所属アーティストのサザンオールスターズ桑田佳祐が2014年のNHK紅白歌合戦でのパフォーマンスでバッシングを受けた事などが大きいと考えられます。この一件では事務所に右翼団体が押しかけるという経緯もあります。これらが周辺状況における「説」が盛り上がる為の要因となっているはずです。

靖国神社の一部ファンコミュニティでの聖地化の過程

靖国神社への参拝
 三浦春馬氏周りで今回の件に関わってきそうな大きな要因は3つ。まず一つ目は三浦氏の靖国神社への参拝です。ネット内では『永遠のゼロ』に出演後に「毎年靖国神社に通っていたといいます」という伝聞調の情報が出ています。実際に靖国神社に参拝した写真は存在しており、また神社への参拝が趣味という発言があることから発展した言説でしょうが、しかしながら毎年靖国神社に参拝していたかまでの確定情報はありません。ただこの靖国参拝という情報が後者2つの情報と結びつき、一部のファンコミュニティの中で靖国神社が聖地化します。

■国力ツイート
 2020年1月29日に「三浦春馬 & STAFF INFO」により下記ツイートがなされます。

このツイートは東出昌大氏の不倫騒動に対するツイートだと多数に思われるものの後半にある「国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」という部分の「国力」、「国民全員」という表現が一部をざわつかせ、批判的なツイートが散見されます。この「一部」がのちに左翼、反日勢とされ、自殺原因の誹謗中傷ではないのかという反応に利用されます。なお批判の中には「ネトウヨ」呼びなどの強い言葉もありましたが、それらの言説によって本ツイートが後に尾を引くレベルの「炎上」だったかは甚だ微妙なところです*1。また不倫だけで「国力」という言葉には普通は行き着かないために同時期に未だに話題性のあった政治的な動きである「桜を見る会」の追求などの話も含めての可能性はあります。ただこれは本人のみが分かる事なので、もはや我々にはその意図を知りようがありません。

■『日本製』という書籍
 三浦春馬氏は『日本製』という書籍を出しています。その内容はというと、

―日本全国47都道府県を訪れたことはありますか―? 月刊誌『プラスアクト』の人気連載として、まだまだ知らないことだらけの<日本>を三浦春馬とともに見つめてきた『日本製』が、新たに撮り下ろしとロングインタビューも加え、408ページにも及ぶ超大作として堂々完成。

というもので、レビューなどを見ても日本のものづくりや伝統工芸などを紹介していくものと言えます。これ自体には所謂わかりやすい「愛国」的な書籍ではないです。ただし、一部ネット右派層がこれに便乗します。

上記は単純な『日本製』紹介ツイートですが、このツイートをしている海乱鬼氏は日本第一党の支持者であり、選挙時にネットデモ的な事を仕掛けたこともある人物です。彼らの様な「愛国」的人物の中にはこの『日本製』を高く評価していうことが伺え、また逆にファンコミュニティの中ではこの本が他の要素と併せて橋渡しになった可能性はそれなりにあるかと思われます。

 以上の様に、靖国参拝という事実、「反日」による批判、『日本製』という「愛国」的要素と親和性の高い書籍というこれらの相乗効果、またこの他にも彼の死後に公開されたドラマに対して「反日的要素」を見出したり*2などして彼らを「愛国」、ひいては靖国に引き付ける様な言説が定期的に流されることによって一部ファンコミュニティの中で元々そういったものと親和性の高い方々が靖国神社を聖地化、その一部は愛国的陰謀論を受けてヘイトスピーチを含む文面にしたのだと思われます。

自死は「反日、左翼」による誹謗中傷が原因であるとの拡散

 誹謗中傷が原因ではという話があり、その一つには木村花氏の自殺が念頭にあるのは確かでしょう。そして「国力」ツイートへの批判。ただこれらの情報があっても拡散しなければ大きな話にはなりません。そこでこの話を拡散させた人物がいます。それが黒瀬深氏です。


※スクショ部分は加工しています。

 初報を聞きツイートまでは良いのですが、その数時間後には既に微妙に拡散されていた他のアカウントからの情報をもとに国力ツイートで発生した誹謗中傷の話を持ち出し*3、さらに数時間後に【拡散希望】と書いて「誹謗中傷」とされるスクショを晒していきます。自殺の動機推定があまりにも雑でありこの時点であり得ません。またその後のスクショ晒し行動は非倫理的であり、本人が批判している誹謗中傷を呼ぶものであり、実際にこれをきっかけにして鍵垢にした方も存在します*4。この最後のツイートにはその行動に対する批判はあるものの4000RT を超えており、かなりの拡散となります。これによって「自死=左翼(反日)の誹謗中傷」という認識を得た人間がいても不思議ではありません。また現在はアカウントを削除していますがある放送作家のツイートを黒瀬氏はスクショ引用しています。

この放送作家ネトウヨ呼びをし、そして死者に対する言葉は酷い部類です。他にも存在するスクショ*5でも左派に分類される人間でもその言葉の使い方に眉をひそめる人間がいても不思議ではない言葉遣いの人間です。そして一部陰謀説はこの放送作家のこれらの言説を利用して「反日、在日」を持ち出してきてます。ただ、この記事を書いた後に情報をもらいましたが、このアカウントはなりすましです

僕が以前使用していたTwitterのユーザー名「nobubu1」と、アカウント名「タピココ」、及び僕の飼い猫の写真を使用していたなりすまし人物が、三浦春馬さん等に対してひどい発言を繰り返し、そのせいで僕が炎上した事件について、東京地裁に個人情報の開示請求裁判を起こしていました。
半年ほどかかりましたが、一昨日の4月27日、請求通り開示が認められる判決が出ましたので、ご報告します。
未だにTwitter等インターネット上に、僕のことを名指しで誹謗中傷する匿名の投稿やHP、動画等が散見しますが、それらの発言者に関しても今後、過去に遡って法的処置を講じる所存です。
https://blog.goo.ne.jp/nobubu_001

つまりはデマによって一部の言説が成り立っている事となります。ここで行われているスクショ拡散などの黒瀬深氏の行動ははっきり言って最低の部類で、扇動です。これらの情報の初出自体は黒瀬氏ではありませんが、この拡散への行為は自身のアカウント影響力を考えれば慎むべきでしょう。
 また黒瀬氏以外にも以下の様なネット右派系アカウントのツイート、


  そして政治知新、U-1 NEWSなどのまとめサイトによって同様の情報が拡散されていきます。実際に三浦氏を「ネトウヨ」呼びしているアカウントは存在していますが、ではそれが執拗であり継続的なバッシングが行われていたのかというとかなり微妙であり、おそらく基本的には国力ツイートに対して行われた一過性のツイートで、それを殊更に強調するのはイデオロギー的な敵対者に対する体の良い批判と捉えた方が良いでしょう。黒瀬氏あたりのそれはこれに加えてツイッターのレスバトルゲーム感覚の様にも見えてしまいますが。ただそういうイデオロギー的な動き、ある種のゲームの中で、それに感化された人物がいた可能性はあり得ます。

その後のヘイトスピーチへの動き

 ここら辺は時節と時事を利用したツイートではあるものの、この門田氏のツイートをもとにしたShare News Japanの記事と併せて、これらを受けて靖国神社三浦春馬反日などへと繋げていくアカウントが存在します。またYouTubeの方では水間条項氏のチャンネルで三浦和馬氏を複数回話題に出しています。


※代表的なところを持ってきたのみで他にもあります。

この水間条項氏のチャンネルは一部ファンコミュニティが影響を受けているのが非公式のファンコミュニティの掲示板で伺えます。

靖国参拝に対する芸能界の陰湿な嫌がらせ
昨日の【水間条項TV】でも春馬さんとシンディローパーさんの話をして下っていました。シンディさんが親日家になったきっかけのお店をNY在住のNYサバイバルさんが探してくれています。
色んな繋がりが増えてきて春馬さんの事が世界にどんどん広がりを見せて行ってます。
世界は春馬ファンであふれてる
※このスレッドが特殊なだけで、このファンサイト自体はおそらく普通のものです。

 そして水間氏と同じく動画の存在。上記掲示板でも話題にしていますが、元正論編集長の上島嘉郎氏は以下の様な動画を投稿しています。

再生回数は19万回となりかなりのものです。これは一部陰謀説を信じるファンのブログで話題*6にされており確実に影響を与えています。ここで行われる言説の大抵は一部ファンコミュティが基本的には先で、動画側はネットのそれらをつまみ食いと何らかの付加情報をというものでしょうが*7、コミュニティ側はそれをブースターにしてまた発展という悪循環が考えられます。その他のユーチューバーでも陰謀論的な事を語る動画は存在し、それらも5桁再生をいっている場合があります。
 また拡散は少ないですが日本第一党桜井誠もこの件に関わっています。

桜井誠発の情報は拡散力が低いものとなりますが、もともと日本第一党支持者且つ三浦春馬ファンがいても不思議ではなくそれらの層が絵馬を書くという行動に出ても不思議ではありません。
 ここで紹介した動画はいずれもヘイトスピーチと親和性の高い人間が提供しているものであり、今やYouTubeはそれらの行動へと導く大きな要因の一つと言えるかもしれません。

ツイッターなどでの動き

 一部ファンコミュティ内の動きはごく簡単にだけ書いておきます。ツイッター内には三浦春馬氏の自死に疑念を持って作られたアカウントがいくつか存在します。そのbioには「反日」という文言を使用する方もおり、彼らの中の論理がどんなものであるか伺えます。そしてツイッター内でのハッシュタグ運動においては「#三浦春馬他殺説」や「#アミューズに説明責任を求めます」、「#一年経っても説明なし」というものがあり、その中には陰謀説にも近い疑念を持っている人間の数が決して少なくないことも分かります。ハッシュタグ「一年~」以外の二つは2020年7月時点で存在するタグであり、その他のタグも使用されながら根強く続いています。またブログでもそういったものを発信し続けているが当然おり、あるブログでは2020年8月の頭時点で自死に対する疑念がまとめ上げられた投稿をし、8月時点で陰謀説の素地が出来上がっていたことが分かります。
 今の時代は情報がまとめやすくなりそれらがコミュニティ内で流布、陰謀説のエコーチェンバーが発生、その中でファン行動として件の絵馬の様な内容を書く人間も出てくるといったところでしょう。なお断っておきますが、さすがにファンの大半は信じていないと思いますし、信じているのはごく一部のコミュニティでしょう。しかし基本的にそれらへのカウンター行動が行われることは少なく、またカウンターを信じるかというと一度自分が信じたものへの否認は難しいので解決は難しいかもしれません。

絵馬に書くというファン行動

 ヘイトスピーチとは別に何故絵馬なのかですが、ファンコミュニティの中でそういう行動があるからというのが全てです。ツイッター上では2020年9月時点で絵馬が確認されており、それ自体は純粋な思いを綴ったものの様です。またその時点では個人の行動でしょう。これが10月18日という月命日となる日に絵馬ツイートが増え、11月にはファン内で絵馬を書くという行動が行われている事がこちらのツイートから分かります。これは『天外者』のヒット祈願という要素が強く、陰謀論要素は見られません。あとこの絵馬を書くという行動は靖国神社に限らず様々な神社で行われているようです。ただこの11月時点で靖国神社に赴いているファンは陰謀論を信じている層がいることを確認できます。靖国神社はやはり神社が内包するイデオロギー的にそういう絵馬が集まりやすいという側面があるのでしょう。


 三浦春馬氏の心中は分かりません。イデオロギー的なものももはや分かりません。彼のイデオロギーが今ある絵馬と同じものだったならば良い、というわけでは決してありませんが、今靖国で掲げられている絵馬の内容はヘイトスピーチと言えるものであり、その発言に故人を利用することは故人を侮辱したものと言えます。何故という叫びの行き着く先が陰謀論による怨嗟であるのは、あまりにも悲しい。

*1:批判が多いと思われる2月末までの主な引用リプライはこちらから確認は可能です。ただし死後にツイートを削除している方は多いでしょうから実際の当時よりもかなり控えめに映っている事は確かです。また女性自身がネット記事にしており、一応「炎上」とはいえる。

*2:『おカネの切れ目が恋のはじまり』のこと。詳しくは”三浦春馬のカネ恋は「反日洗脳ドラマ」だった?愛国者激怒の疑惑検証”を参照

*3:例えばこれとか、これ。黒瀬氏よりはやくツイートしており、ここら辺の情報を得てツイートしたのでしょう

*4:ツイッターのDMでこの標的にされた方からお聞きしました。

*5:このブログでは使用しません。興味がある人は自分で探してください。

*6:たとえばこことか、ここ

*7:投稿の時期を見るとそれが良くわかります。基本的には盛り上がっているところに乗ったと捉えた方が良いでしょう。

23区内でいえば世田谷区の新型コロナ感染者、ワクチン接種は別に悪くはない

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 斯様に世田谷区が最近目立ちます*1。なんで一応現時点(8月10日)での世田谷区の状況を書いておきます。

新型コロナ感染状況

 23区内の感染者数について8月8日時点の感染者数及び人口比あたりの感染者率は以下の通りです。

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世田谷区は人口比あたりの感染者数は10位となり23区内では中間あたり。この数字に対して殊更に悪いという評価をするのは不当と言えます。

ワクチンの接種数

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※より詳細なデータは「小学生の父@s0ftqbEJBEzhK2S」氏が公開しています。ご興味があればどうぞ。

 ワクチンの接種数については以上の様になり、こちらも世田谷区は10位。江戸川区、杉並区に関しては非高齢者の接種数のデータ記載がないため、それらの区の非公表接種数が加算されて世田谷区を上回ったとしても12位、また各区のHPごとに取得データ日の差異やシステムへの接種数の登録日などである程度この順位自体は上下するでしょうが、それだとしても現状のデータを見る限り世田谷区の接種が特別に遅れているとは言えません。普通としか言いようがありません。

 そもそも40代、50代のワクチン接種率をもってして区全体のワクチン接種の早さを語るのはそこまで意味がありません。自治体ごとに優先する年齢層が異なっている可能性や集団接種会場の存在などを勘案すべきでしょう。世田谷モデルの効果などは別のメディアなどに任せますが、現状を見る限り世田谷区の新型コロナの感染状況、ワクチン接種率は決して悪くはありません。それを悪く見えるのならばそれはデータの見方を分かってないか、ただの党派性で科学的な態度ではありません。

*1:沖縄に関しては今回は無視します。ただ人口当たりの感染者数が多いのは事実でありその面での批判は免れ得ない。とはい首都圏からの観光客、米軍の存在などの勘案が必要であり、「立憲民主党だったら」という批判は意味がないでしょう。

日本における殺人被害者の男女比について

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 というツイートがあったのでこれについてのデータを張っておきます。その前にですがこれに対して殺人被害者以外のデータや殺人事件数の世界的順位を貼っている方がいましたが、今回書かれているのは「殺人被害者が女性>男性」という話なのでお門違いな指摘でしょう。

データの出典

 この話の出典はUNDOC(国連薬物犯罪事務所)による"Homicide rate by sex"が出典元です。wikipediaでのデータは2014年だった様ですが、現在は2019年のデータが出ています。そちらのデータではどうだったか。

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以上の様に日本では殺人被害者(死者)数が「女性>男性」である稀有な国であることがデータ上示されています。
 ではこの2019年のデータはどこから来たのか。当然ながら日本による統計の数字が用いられています。データは警察庁の2019年の統計の図表索引ページから確認可能です。この図表1-3-3「男女・死傷理由罪種別死傷者数R元」には日本の殺人事件被害者は以下の様なデータが示されています。

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殺人
男性死傷者(人) 499
 死者      136
 重傷者     137
 軽傷者     224
女性死傷者    413
 死者      181
 重傷者     85
 軽傷者     147

表を見ればわかるように「殺人」の内訳には実際には死亡に至らなかった例も加算されています。これは今回話題になっている小田急の事件で言えば、事案は殺人として取り扱われると思いますが、死者のカウントはゼロ、重傷者や軽傷者というカウントになるでしょう。そういったものによる差異かと思われます。
 なので殺人被害者の男女比については、「死傷者」は男性>女性、「死者」は男性<女性、という事になります。ちなみに2020年の殺人事件の被害者は以下の通り。

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やはり男性の数の方が多くなっていますが、これを「死者」で括れば女性の方が多くなる可能性は高いと思われます。そしてこの男女別を年齢別にしてみると以下の通り。

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データの分析は専門家でないために個々人の判断に任せます。男性の被害者が多ければ普通だとも思いませんが、日本の殺人被害者数の男女比が他国に比べて異なっていることは確かです。それと該当ツイートに対してデマという指摘がありますが、確かに被害者全体で見れば違いますが、死者数では正しくそれをもとにしているデータで語っているでしょうからデマとは言えないでしょう。

レジ袋有料化の効果を少しだけ調べて見た

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 2020年7月に有料化したレジ袋有料化政策が1年を経過したくらいの時期から上記の様なレジ袋有料化反対を思わせる表現物が見られ、それらがツイートなどでも散見された状態でしたので環境省にレジ袋のメリット・デメリットが書いてある資料を開示請求してみた。デメリットを書いてある資料は届かなかったんですが、それはともかくとして環境省資料やそのほかの記事でその効果を見ていきます。この記事で書かなくっても環境省辺りが環境白書なりなんなりでいつか書くとは思うんですけれども*1

レジ袋使用の削減率

 日本チェーンストア協会日本フランチャイズチェーン協会、日本チェーンドラッグストア協会調べによる資料ではレジ袋の辞退率は以下の様になっています。

日本チェーンストア協会
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日本フランチャイズチェーン協会
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【日本チェーンドラッグストア協会】
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 日本チェーンストア協会は(おそらく)各月の削減率(辞退率)を表示しているのと思われますが*2、有料化後に辞退率が平均8割へと上がっているのが確認できます。ちなみにチェーンストア協会は主にスーパーなどが加入している協会となり、スーパー自体が有料化以前からマイバック運動などを推進しており元から他業界と比較してレジ袋辞退率が元から高いという業界特性があります。詳しくはこちらの記事で書いているので興味のある人はどうぞ。次に日本フランチャイズチェーン協会は2030年度までの60%以上辞退率という目標を有料化後に既に達成しています。そして日本チェーンドラッグストア協会は前年同月比の削減率のみの表示ですが、この資料からは相当量のレジ袋が削減された事がわかります。
 いずれにおいてもこれらの資料からは有料化によって相当数のレジ袋が削減されている事が伺えます。レジ袋をごみ袋として使用していた家庭では代わりにごみ袋を購入するようになった家庭もありますからこの減少分=プラごみの削減とはなりませんが、ひとまずこの削減は政策の効果として見て良いでしょう。

Web記事などからわかる効果

 以上で開示請求での資料は終わりますが、その他にWEB記事などでのレジ袋有料化についての記事を置いておきます。

ITmedia ビジネスオンライン】

レジ袋有料化から1年が経過したが、この施策をどう評価するか聞いた。すると「どちらとも言えない」が38.7%で最も多かった。「成功だった」は38.3%で、失敗だったは23.1%という結果に。
レジ袋有料化は「成功だった」と考える人が「失敗だった」を上回る

上記の調査からはこの政策において「成功だった」は「失敗だった」を上回っている事が分かります。ここら辺は辞退率などを見る限り、特殊な場でのアンケートでもしない限りは成功>失敗という感じにはなりそう。

NHK

セブン‐イレブンはことし2月まででおよそ8000トンのプラスチックごみの削減につながったとしていてレジ袋の収益はペットボトルのリサイクルのための回収容器の設置費用などにあてているということです。
またファミリーマートは、有料化の収益は、海洋ごみを原材料にした買い物かごを作る費用に充てています。
(中略)
レジ袋の有料化からまもなく1年になりますが、街なかにいわゆるポイ捨てされているレジ袋は減ったものの、弁当の空き容器などプラスチックのごみそのものは今も減っていないという声もあります。
レジ袋有料化1年 辞退率7割以上 導入前の3倍程度に増加

記事にあるコンビニの調査は環境省資料とほぼ同じ事が記載されていますが、セブンイレブンなどの記述はより具体的になっています。これらの事を見る限り「レジ袋」によるゴミが減ったことは分かります。ただ記事にある様にレジ袋以外のゴミはそのままなので、ここら辺は意識改革なり、街中でゴミが捨てやすい環境なりを作っていく必要があるでしょう。

データから見るレジ袋(ポリ袋)量の変化

 上記で引用したNHK記事には次のような記述があります。

ごみ袋メーカーが行った調査によりますと、去年7月以降、レジ袋と同じような形をした取っ手付きのポリ袋の購入量が2倍以上に増えているということで、有料化がプラスチックごみの削減につながっているかどうかは不透明です。

無料でもらったレジ袋をゴミ袋として再利用という家庭は多かったでしょうから、この指摘は重要です。ではデータ上でレジ袋を含む袋の変化はどの様になっているか。このデータでは「日本ポリオレフィンフィルム工業組合」が【2016~2020年 ポリオレフィンフィルムの年別出荷状況】というデータで以下の様に示しています。

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HDPEフィルムの項目をみると2020年のレジ袋は前年比で64.3%、ごみ袋は前年比95.7%となり、ごみ袋の消費量が上がったという記事の記述があるものの、その出荷総量自体はあまり変化はなさそうに見受けられます。また【ポリエチレン袋輸入量の年別推移(2016年~2020年)】を見ると輸入量からもポリ袋そのものの減少が見受けられます。

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更におまけで2019年から2021年の6月までの輸入量はこちら。

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これらを見ると2021年もポリ袋の輸入量は減少傾向と見受けられ、ゴミ袋の消費量が増えていると言っても総量としてのポリ袋は現在のところは減少傾向と見て良いかと思われます。

万引き数の変化

 レジ袋有料化によってマイバックが増え、そして万引きが増えたという指摘があります。これに関しては量販店などに行くと「マイバックをお持ちの方は~」などというアナウンスがされる店も存在しており、実際に店舗側が気を付けていることが伺えます。またスーパーマーケット白書における「レジ袋有料化によるスーパーマーケットへの影響 実態調査」では以下の様に万引きについての調査をしています。

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この調査によれば盗難の増加は「かなり増加」が5%、「やや増加」が26%で合わせて31%。「変わらない」が26%、「わからない」が43%となっています。ここから3割程度の万引きが増加している可能性が見受けられ、その割合は決して少ないとは言えません。
 では万引きの統計はどうだったのか。こちらに関しては警察庁に問い合わせて2019年から2020年までの万引きに関する認知件数、検挙人数、検挙人員の資料をもらいました。それによると以下の通り。

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万引き認知件数だけを見ると、
 2019年:93812
 2020年:87280
となり、2020年は万引きそのものの数は減っています。また月ごとの認知件数をグラフ化すると以下の通り。

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2020年の4月、5月などは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響なのか前年と比べて大きな減少をしている事が伺え、この二つの月が前年からの万引き大幅減の主要因であることがが伺えます。ただしその後、レジ袋有料化の7月以降に関しても前年と比べてもやや少ない月が多いことから、スーパーへの調査で3割が増えたという回答があったとしても、万引き全体を見ればレジ袋有料化が万引きを増やしたという結論はかなり微妙なところです。結論としては個別の店で増えた店はあるかもしれないけれど、全体としては変わらないという玉虫色的なものになるかなと。


 一番最初に貼った画像に関して、レジ袋有料化はひとまずポリ袋の消費量は確実に減ったという事だけは言えます。それに伴う「ポリ袋」そのもののポイ捨ては減ったでしょう。ただしそれ以外のごみが減った可能性は少なく、またプラスチックごみという問題そのものを考えた場合はレジ袋以外にもやらなければいけない事が存在しており、それらの政策が今後進む可能性は十分にあるでしょう。これらの政策は直接的な生活変容を起こすものでもある為にツイッターなどでの拒否感はかなり強いものとなる事が予想されますが。
 

*1:令和3年版環境白書には効果自体は書いてないので実際に書くかは微妙

*2:日本チェーンストア協会の資料は添付した画像以上の情報がないために「おそらく」と書いています。資料名は「2020年度レジ袋削減率調査(日本チェーンストア協会)」なので各月の削減率(辞退率)を調べているのかなと。少なくとも前年同月比とは考えにくい。

【デマ】熱海の土砂崩れ近くにあったメガソーラーには韓国系企業は関わってない

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 土砂崩れの原因はその後の調査を待つにして。まず初めに言っておきますが、熱海市の伊豆山のメガソーラー施設には韓国のハンファは関わっていません。ハンファが関わり問題になっているのは伊豆高原伊東市です伊東市の問題は「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」が参考になり、これはこれで環境を考慮すれば憂慮すべき問題ですので各自でその賛否を考えてください。この件は単純に「伊豆山」を伊豆高原伊豆半島と勘違いした人間が広めてる伝言ゲーム的なデマです。ちなみに伊豆高原で運動をしている方のツイートでは以下の様に伊豆山の業者はハンファではないことを確認しています。

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 熱海市のメガソーラーの建設にネットで検索すると情報がかなり少ないのですが、建設中に予定地視察について書かれたブログが出てきます。こちらは大阪にある日本企業です。また資源エネルギー庁による事業計画認定情報で伊豆山に発電設備を持っている事業者はすべて日本企業です。

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一番下の宗教う法人以外は不動産系の会社の模様。ネットで漁れる情報を見る限り韓国系企業が関わっている模様は一切ありません。
 それと地元で反対があったという話もありますが、熱海市会議録を読む限りは当時と思われる時期にそういった発言はなさそうなために少なくとも市議会レベルでは問題にならなかった模様です。ただ近年少しだけですが規制についての話が触れられているために今後はなんかしらの動きがある可能性あります。

 以上の様に熱海市伊豆山におけるメガソーラーが韓国企業が関わったのはデマです。災害時はなんらかの理由を探したくなるものですが、それにかこつけてデマを吹聴するのは軽蔑すべき行為。

オマケ。掲示板の書き込みで国を判断するのは危険すぎる

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韓国はネットで「天罰」だなんだと

おそらくネット記事「사흘째 퍼붓는 비, 흙더미가 日마을 삼켰다..최소 20명 실종 [영상]」とかにあるコメント欄の発言について言ってるんですが、それを言うなら今デマをまき散らしている日本人は何なんだとなりますし、そもそもヤフーの記事にあるコメント欄だって酷く、あのヤフコメを日本人そのものの声とするには無理がある。当然ながらそういう声以外にもあるし、愚劣な輩はどこにでもいるということでしかない。なお韓国ツイッター圏で천벌(天罰)で検索してもそういうツイートはない感じで*1、ネット記事のコメント欄というのはそういうものになりがちなのかもしれない。

*1:韓国はフェイスブックが盛んみたいな話も聞きますがそっちは確認していません。

自民党の山田宏がクロ現プラスについてデマ的な切り取りをしている

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米国留学から帰国した中国の若者の「中国は素晴らしい」「米国には幻滅」という「官製」インタビューを、NHKは長時間そのまま流していた。まるでCCTV(中国国営放送)のようだった。

 このためにNHKプラスに加入してみましたとさ。
 該当番組はクローズアップ現代「中国の若者・リアルな胸の内▽自信・愛国心・葛藤も」で、大きな基本的に番組の流れは以下の通り。


【留学生の心境変化(愛国心を育む青年)】
アメリカ(自由や民主主義)にあこがれ留学した青年が中国の新型コロナウイルスの封じ込めを見て中国を見直す。コロナ対策を契機にして言論の締め付けが強化、言論統制が始まるが上記の留学生はそれについて聞かれると若干困りながら、「普通の人には大きな影響がない」、「法が許す範囲ではなんだってできる」という。そして留学生の帰国率がここ最近増加していることに触れ、海外にいるほど中国を誇りに思うようになるという発言。アメリカへの中国批判に反発をにじませた留学生が中国が世界中から尊敬される国になれるように若者が努力する姿勢を映す。

共産党による若者党員の育成】
共産党支部による党員育成を映す。

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上記の様に洗脳的、妄信を育てているとも言えそうな教育風景という印象を与える類のもの。習近平の言葉も引用されており、党員教育の段階で指導者を持ち上げている事をわからせる。その後に幹部候補生(山田議員のキャプチャの女性)の実際の活動を見せる。なお、山田議員のキャプチャに行くまでのやり取りは以下の様なものです。

・幹部候補生の女性が村の人々の健康管理の為に村に訪れる
・実際に人々と会って話すようになる
・実際に話す事により、「人々の存在は資料に書かれた存在」から「数字の裏にいる一人一人の人間の姿が見える」
・以上を受けて「人民のために奉仕をしたいです」と答える

その後に共産党の構造を見せながら、若者の農村への派遣を習近平が力を入れている事を示す。そして派遣された若者(今回の女性)は党の期待を背負っていると認識し、自分の夢を語る。

【愛国教育の強化】
アプリを通した愛国教育を紹介し、それが学校にも通知されると触れる。習近平になってから経済、科学が党の功績として盛り込まれるとのこと。ただし、この愛国教育に対して違和感を覚える若者を紹介。違和感を覚えた若者は顔はモザイク、声は変えられてインタビューを受けており、愛国教育の点数が低いことを叱責され、奨学金にも関わっている事を述べる。そして若者の間で政権批判を許さない空気(同調圧力)が蔓延し、アメリカを擁護(悪口は良くないよ程度で)するだけで批判対象になることを紹介。

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上記の様な息苦しい言論社会になっている事が証言されている。

【スタジオで安田峰俊氏による解説】
上記のVTR部分や現在の中国についての解説。天安門から現在に至るまでの歴史や中国人の今の政府への簡単な認識、新型コロナでの当初の隠ぺい体質、その後の封じ込めの成功なども語る。

【若者の将来不安】
低賃金で働く若者を紹介し、高学歴に伴った就職競争激化、上の世代の3倍にもなる失業率の増加に触れる。ギグワーカーは2億人に及ぶとされ、国が雇用の受け皿になるとしてギグワークを推奨、しかし実際に働く若者にしてみれば答えは以下の通り。

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さらに男女を比べると男性が3000万人ほど多いことから結婚への焦りを募らせる。この歪な男女比は一人っ子政策である事も明言、「お見合い公園」が出来るなど結婚は社会問題であると紹介する。専門家により若者が減り、少子高齢化が起こる将来に国力低下が起こることを懸念している。

【スタジオに戻り解説】
番組のまとめ的なもの。現在の中国が習近平の属人性によるところが大きいというような事を述べながら、それゆえに未来が読みにくい、今の若者が体制に過適合しているので今後どうなっていくのか注目、という様な感じで締め。


 30分の中でコンパクトに中国の若者の意識や問題点をまとめてる結構いい番組という印象で、これを見てCCTV(中国国営放送)だというのはちょっと意味が分からない。中国の現状、しかも宣伝的というよりも問題点についての方が番組的な尺は全然多いので、これを見て吐き気を覚えるならば病気レベルだし、中国について知る事を身体レベルで拒否反応を起こすならばそれ関連の仕事にはつかない方が良いと思う。日本にとっても不幸だから。
 それと山田氏は"米国留学から帰国した中国の若者の「中国は素晴らしい」「米国には幻滅」という「官製」インタビューを、NHKは長時間そのまま流していた。"と書いていますが、彼は中国に言論の自由がないことを自覚しており、それをカメラは映し、見ている我々はよほど鈍感でなければ彼の中に複雑な感情があること自体は察しがつきます。また「官製」というけれど「愛国心」を持つ若者はどこにでもいますので複雑な感情を持ちつつの本心でしょう。というか。あの留学生インタビューを映して何が悪いというか、あれを見て中国が良い所でシンパシーを得るという人間は少ないのではないかと。それとこの留学生シーンではトランプによる「チャイナウイルス」呼びを映しており、山田宏などの自民党極右系が言う「武漢ウイルス」という言葉の危険性まで考えられるシーンであるとも言えます。
 ツイッターの写真の女性については共産党員の末端として現場に赴き、そして人民のために奉仕をしたいと言ってて、ある意味一番この番組でプロパカンダ的側面を持つと言える場所ですが、それについても共産党の党員育成の構造理解の為には有効なものと言えます。このシーンの前に共産党の教育の洗脳的な側面を見していますし、あの教育風景をもってしてシンパシーを得る人間は少ないですよね、多分。

 以上の様に自民党山田宏議員のツイートは本当に一部のみを切り取り、また番組の意図を甚だ理解できるリテラシーを持たず、というか自分の中のイデオロギーに基づき番組の理解とツイートへの発露をしていますよね。あとNHKへの憎悪。全体を見れば言論の自由の不在、過度な愛国心教育とそれによる同調圧力、将来が見込めない若者と現代中国における問題点、それこそ表題の通り「中国の若者・リアルな胸の内▽自信・愛国心・葛藤も」という内容です。なお愛国心教育であるとか政権批判を封じる空気のところを問題視しないのは、自民党としては実現したい部分だから批判しないんですよね、みたいな事を邪推したくなります。この番組の結構大きな核の部分なはずなのに一つも触れないんだから、本当に番組見てたんですかね。

赤木氏が「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」と言っても赤木氏は現場の人間ではない

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 安倍晋三アカウント(ツイートは秘書)が産経新聞の極限御免というコラムを引用し、

赤木氏は明確に記している。
「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」
この証言が所謂「報道しない自由」によって握り潰されています。

と書いていました。ひとまず赤木氏は公文書改ざんを強要された現場の人間であり、森友学園で問題になっていた土地値下げに関わった現場の人間ではありません
 それと赤木ファイルについてはネットで手に入ったので該当箇所を読みましたが、該当部分は赤木氏が忘備記録として書いているようです。以下がその内容。

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赤木氏が何をもってして「厚遇した事実もない」という判断に至ったかは分かりません。一番蓋然性があるのは改ざん前文書を読んでいるのですから、そこに書かれた内容に妥当性を見出してこの様な書きぶりになったと考えるべきでしょう。一応は可能性としては値引き交渉に関わった本当の「現場」の人間とやり取りしたという可能性も無きにしも非ずですが、所謂赤木ファイルの指示内容等を見てもそれに類する話は記述は存在せず、また現場の人間とメールなどをして「厚遇した事実もない」が裏付けされているならば政府側が嬉々として情報を出してきそうなものですが、そういったものもありません*1
 なんにせよ本当に厚遇した事実や何かしらのやましい話がなかったら、公文書改ざんする必要性とかなかったはずなんですよね。それが現場判断による「誰か」への忖度であったのか、直接/間接的な言い回しによる指示だったのか分かりませんが。あと「報道しない自由」とありますが、安倍晋三氏や産経新聞が大好きな朝日新聞は該当箇所を報道してます

備忘記録 本省の対応(調書等修正指示)
・本省において、議員説明(提出)用に、決裁文書をチェックし、調書の内容について修正するとの連絡受。本省の問題意識は、調書から相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え。現場として厚遇した事実もないし、検査院等にも原調書のままで説明するのが適切と繰り返し意見(相当程度の意思表示し修正に抵抗)した。
赤木ファイル詳報「決裁済の調書修正は問題、強く抗議」

基本的に赤木氏のこの「厚遇した事実はない」という認識自体はなんら事態を動かすであろう新しい事実や認識でもなく、そもそも政府、行政側の従来の認識でしかないはずです。それをあたかも何らかの決定的な事実かの様に吹聴するのはコラムを書いた人間、これをピックアップしてそれを全文載せた秘書、ツイートを許してるであろうアカウント主の全てが恥ずかしい行いと言って良い。「報道しない自由」というよりも該当箇所がそこまで強調して報道するほどの報道価値がないってだけです。

*1:赤木ファイルは公文書改ざんについて、赤木氏による経緯が記されたファイルなのでそのメールが仮に実在してもファイル内容からは逸れるものになりますが