電脳塵芥

四方山雑記

朝日新聞 1945.6.14 朝刊「敵来らば「一億特攻」で追落さう」

 ツイッターで特攻兵の話題を見たのでそれ関連の新聞記事でも。

朝日新聞 1945.6.14 朝刊「敵来らば「一億特攻」で追落さう」

※文字が潰れて良く読めなかった場所を「□」で表示しています。読めたり類推できるような学が欲しい……。

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「敵来らば「一億特攻」で追落さう」
【海軍基地にて末常報道班員(本社特派員)】「一億特攻隊」の言葉が叫ばれて既に久しい、だがこの言葉の叫び続けられねばならぬところ、国民の中にはまだ特攻隊精神に徹しきっていないものがあるのではないか、しかも今ほど一億国民すべてに、あの烈々醜虜を焼き尽さずんばやまぬ特攻精神が求められることはないのだ、沖縄の決戦なお続くと雖も大局我に利あらず、我々は遂に敵の本土上陸を覚悟しなければならなくなった、男も女も、老人も子供も、一たび敵が本土に上陸せば、武器となし得るものすべてを武器とし、敵兵を突き刺さねばならないのである、一億特攻隊―今にしてこれを我がものとして敵に立向うのでなければ勝利は永遠に失われるであろう、□いてみれば平凡な常識である、また多くの人々によって語られた言葉である、人あるいは「報道班員いまさら何をほざく」と嘲罵するであろう、だが基地にあって幾多の特攻隊員の沖縄出撃を見送り、力の限り帽子を振った一報道班員である私にとっては、この抗議をも甘んじて受け、さらに声を大にして「一億特攻隊!」を絶叫し本土上陸の敵を□べ□つことに最後の勝利を見つめたいのである

 「特攻」という概念と実行が積み重なる事によって臣民も特攻を強要されるようになるという記事かなと。

厚労省調査によるホームレス数の推移について

※減少率の話を少し書き変えました。書き換え前は安倍政権と民主党政権の期間の長短を考慮していなかった為、少し比較として不適切でしたのでその部分を修正。

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 というツイートがあったのでホームレス数の話でも。ちなみに別のツイートやリンク先では下記のグラフを引用されておりその推移が示されています。

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なお、この「ホームレスの実態に関する全国調査」は調査月が各年の「1月」となっています。安倍政権は2012年12月26日発足となり、実質的には2013年からのその政権が始まっています。2013年1月時点での調査においては安倍政権による政策効果というよりも民主党政権の効果と考えた方が妥当であり、2013年を起点としますが2013年は前年からの削減率には入れないこととします。
 で、安倍政権におけるホームレス数推移は、

【安倍政権下でのホームレス数推移】
 2013年(0年目):8265人 累計削減率 0%
 2014年(1年目):7508人 累計削減率 9.16%
 2015年(2年目):6541人 累計削減率 20.86%
 2016年(3年目):6235人 累計削減率 24.56%
 2017年(4年目):4977人 累計削減率 39.78%
 2019年(5年目):4555人 累計削減率 44.89%
※1月6日に内容修正。2013年を0年目として追記

以上の様な推移です。2013年から3710人の減少、割合にして言えば約45%の減少です。なのでツイッター速報なるまとめサイトが言っている「安倍政権、全国のホームレスの人数を3分の1にまで減らしていた」はフェイクです。数字上で減っているのは確かですが、割合にして言えば半分も減ってませんので3分の1というのは盛り過ぎ、デマの域でしょう。そもそも該当記事の中でも3分の1という内容は見当たらず見出しのみに数字を使用している様なので記事として甚だ不誠実な内容です。ザ・まとめサイト
 付け加えて言えば民主党政権は以下の様になります。なお民主党政権は2012年に終わっていますが、先ほど書きましたよう2013年1月の調査は民主党政権による効果と考えるのが妥当の為、2013年の調査を民主党政権の影響として表に加えています。また民主党政権は2009年9月発足となり、その年の大半は自民党政権となるため、起点を2009年にして良いのかという点はありますが2009年を一応の起点とします。

民主党政権(影響)下でのホームレス数推移】
 2009年(0年目):15759人 累計削減率 0%
 2010年(1年目):13124人 累計削減率 16.72%
 2011年(2年目):10890人 累計削減率 30.90%
 2012年(3年目): 9576人  累計削減率 39.23%
 2013年(4年目): 8265人  累計削減率 47.55%
※1月6日に内容修正。2009年を0年目として追記

4年間で7494人の減少、割合にしていえば約47%です。ちなみに各年の前年比をグラフに入れると以下のような感じ。

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 安倍政権が5年で45%、民主党政権は4年で47%と削減率は民主党政権の方が少し高めです。ただし既に記述した様に民主党政権の起点の2009年の大半は自民党政権であった事や、民主党政権時はリーマンショックからの復調、逆に安倍政権時の削減鈍化は全体の数の減少などの影響も考えた方が良いかと考えます。
 各年の減少に関しては対策と外的要因を考えねばですが、それは置いておいても全体としては減少傾向であることは間違いなしです。

◆ホームレス数減少と暗数の存在

 このグラフの出典はビッグイシューの「ホームレス問題の現状」だと思われます。なお、このページの解説において、

厚生労働省の2019年度調査によると、全国の路上で生活する人の数は4,555人。同調査の12年前の人数18,564人と比べると、8割ほど減少したことになります。しかし一方で、安定した住居がない状態でネットカフェ等を利用する人は、都内だけで一晩に4,000人いると推計されています(2018年 東京都調査)。いわゆる「ネットカフェ難民」をはじめとする、統計に現れない「見えないホームレス」の数を合わせると、甚大な数の人が、今も不安定な居所で夜を過ごしていると考えられます。

とあるようにこの統計には欠陥が指摘され、相当な暗数がある可能性があります。つまりは「ネットカフェ難民」の存在です。上記記事にある2018年の東京都調査「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」では、

(1)のオールナイト利用者概数約15,300人のうち、インターネットカフェ等をオールナイト利用する「住居喪失者」は東京都全体で1日あたり約4,000人(オールナイト利用者に占める構成比25.8%)、そのうち「住居喪失不安定就労者」は約3,000人(住居喪失者に占める構成比75.8%) と推計される
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/01/26/documents/14_01.pdf

とあり、東京のみで約4000人ほどの住居喪失者がいると推定されています。なお調査においてはネットカフェ難民(住居喪失者)はいつもネットカフェにいるのではなく、「寝泊まりに路上を利用している者は「週に1~2日程度」が57.2%」とあります。この推定4000人という数の中には路上での寝泊まり者を含み、この路上寝泊まり者が厚労省の調査に入っている可能性があるのでネットカフェ難民の推定4000人が厚労省調査のホームレス調査にそのまま上乗せされるわけではありません。しかし、実際に調査すればそれなりの上乗せになるのは事実でしょう。
 それと大体4年間隔で行われている厚労省の2016年の「ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)」では、

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という様にホームレス生活者の高齢者層(65歳上)の増加とともにそれ以外の年齢層の低下が見受けられます。しかし東京都の調査によればネットカフェ難民の年齢層はこれらの低下した年代で占められています。つまりは路上にはいなくなったが、ネットカフェなどへの移行が見られると言ってもそこまで過言ではないと考えます。
 またこのネットカフェ利用による調査は対象が東京のみの数字であり、全国で見ればこの数が増えるのは確実です。ちにみに厚労省の調査ではホームレスの中で東京の占める割合は約2割。これを単純にネットカフェ難民にあて嵌めれば2万人程となります。実際にはネットカフェの数が多い東京の割合が多くなるとは思いますので2万という数字はないでしょうが、それでも4000人の倍以上には増えてもそこまでおかしくはないと考えます。なお2007年の厚労省の調査ではネットカフェ難民を全国で約5400人と推定していますが、東京都の4000人という推計を考えると増加傾向の可能性もあります。いかんせん定期的な調査がないので推測になってしまいますが。
 単純に厚労省の調査のみで減ったと言っても、そこには漏れている数は相当あるはずです。

厚労省における調査へのその他の指摘

 暗数以外にも調査の欠点が指摘されています。たとえば図録▽ホームレス人数」において、

調査方法については「昼間に街中を見回るだけで「テントや段ボール内の確認、本人への聞き取りはしていない」(都福祉保健局)という。ネットカフェなどで夜を過ごす人や昼間に働いている人は漏れてしまうという」(東京新聞2014.2.16)。

という指摘が存在します。これについては同様の継続的調査をしていればその数の動向は使えますので増減把握としては問題は無いかもしれませんが、とはいえ仮に夜のホームレス状態の方が増えた場合には厚労省の調査からはこぼれる事になります。またこの夜のホームレス数ですが、福祉新聞2016.2.9において、

3区内の路上生活者は渋谷区が189人、新宿区が366人、豊島区が116人と計671人という結果になった。
 一方、同様の調査は東京都でも毎年実施している。15年1月時点では、渋谷区が89人、新宿区が70人、豊島区が47人の計206人。ARCHによる調査の3分の1の水準となっている。この理由について、都福祉保健局は調査した時間帯の違いが大きいとみる。
深夜の路上生活者数、昼間の3倍 東京の学生らが独自調査

とあります。この指摘での比較対象は都の調査との比較ですが厚労省調査においても似た様な状況でしょう。
 また厚労省による調査は「目視調査*1」であり、調査場所は「都市公園、河川、道路、駅舎、その他の施設」となります。「その他の施設」があるのでそこまでの調査漏れが起きることはないでしょうが、目視調査の為に公園や河川などの場所からホームレスがいなくなればその数が少なくなる可能性は存在します。つまりは昨今時折話題になる「排除アート」や公園からの追い出しなどによってホームレスを物理的にその場所から昼の間だけでも排除すればその数が少なくなるかもという可能性です。
 こちらのNHK記事「【特集】東京“ホームレス” (1)東京2020の影で 明らかになる実態 - 記事 | NHK ハートネット」には写真とともに、

公園での寝泊まりを禁止する表示や、路上生活者の手荷物が置かれていた道路脇には、新たにコーンが設置されていました。

とある様に行政側は公園、路上からの追い出しをしようとしている意図が見受けられます。ここで追い出された方々が何処に行きつくのかまでは分かりませんが、こういった追い出しによって調査から漏れ、ホームレスの「調査上の数」は少なくなっている可能性も考えねばなりません。

◆政策について(簡単に)

 最後にさらっと政策の話について。厚労省の調査上ではホームレスの数は安倍政権以前からおしなべて減少傾向であり、安倍政権そのものの大きな対策によって減少していたというよりも政権以前からの政策が機能していたと考えるのが妥当でしょう。以下のような指摘も存在しますし。

厚生労働省の調査によると2003年の25,296人という野宿者数が(厚生労働省、2003)、2018年には4,977人にまで減少(厚生労働省、2018)した。野宿者数の減少は、2002年に制定された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(以下「ホームレス特措法」)に基づいた施策などの効果や社会経済などの環境の変化などの総合的な結果だと考えられる。
岡本 祥浩『日本のホームレス問題と総合的政策の必要性

安倍政権下において言えば「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(平成30年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第2号)」というのがあります。この方針自体はホームレス特措法に基づくものですから、やはり原点は2002年から連続している流れです。
 なお上記論文内では貧困ビジネス、脱法ハウスの存在が指摘されています。トランクルームで生活する方や車上暮らしという新しい形態のホームレス状態の方々がいます。彼らは今現在日本の調査上におけるホームレスではないのかもしれませんが、その居住状況は良いもとのは言えないでしょう。ホームレスの数そのものが減少したことは確かでしょうが、しかしその反面劣悪な住環境で暮らす人間が増えている可能性も存在する事には留意が必要ではないかなと。

 押し入れに詰め込めばキレイに見える部屋状態になってるかもですよ。

*1:「目視」なので対象が着込んでいる場合には性別が分かりません。なので厚労省の調査には性別「不明」がわりと多いです。年度によっては「女性」よりも「不明」が多い。また目視調査の為にネットカフェなどの場合は判断不能ということなのでしょう。

電車における案内などの多言語表示について


https://twitter.com/ekimeihangeul/status/1210932329792696321

 こういった電車の案内板表示におけるハングル語表記の写真を撮って「どこの国だ」、「必要ない」という感じの投稿は今やSNS上などでは稀によく見るツイートです。これらは循環表示されるものであり、数秒感覚で再度日本語表示があるにも関わらずハングルが切り替え表示された瞬間に写真を撮ってSNSにとってアップする、という一連の行動は非常に滑稽ではありますが今や手軽に憎悪を煽る為にいまや定番化してる手法です。大体、引用したツイートにある様に今現在の日本の電車内ディスプレイは2つ並んだものが多いはずで、その隣に日本語表示がある場合があります。指摘としては事実レベルの確認をしない甚だいちゃもんレベルでしかなく、これらの物申す系にあるのは排外感情がほぼほぼでしょう。
 ちなみにこの件は2019年に韓国でもちょっとだけネットニュースになるくらいです。

「日本電車にハングル嫌 "日有名な作家「嫌韓」ツイート議論
日本右翼に分類される有名な小説家百田尚樹が電車に浮かぶ韓国語を批判する「嫌韓」のツイートを上げて議論だ。
議論は去る18日百田が自身のツイッターにしたネチズンがあげた日本の電車の中、ハングル案内板の写真をリツイートして始まった。
(中略)
百クタの記事に同調した日本ネチズンたちは「日本語が出てくるまで待たなければなら英語と中国語があれば十分だと思う」、「バットで殴って壊したい"、"ここは日本だから日本人が理解しやすい言語で書かれていほしい」とやや過激に反応した。
"일본 전철에 한글 구역질 나" 日 유명 작가 '혐한' 트윗 논란 : ZUM 뉴스
※自動翻訳

このニュース自体は百田尚樹きっかけでニュース化したものでしょうが、2017年でのこちらの中央日報記事"「地下鉄「韓国語」のご案内を見る嫌い」日本ネチズンわいわい "ではそれとは関係なく記事になっています。いまや韓国では時折ですがニュースになるくらいのネットの話題になってきている事象です。

◆言説の出始めた時期

 2ちゃんねるにおいては2008年のスレットにその様な言説はありましたがすぐ消えています。2010年には「https://www.logsoku.com/r/2ch.net/rail/1272455666/」において少し盛り上がりを見せていますが、それはあくまでも2ちゃんねる上であり、その他の場所ではそういった言説はあまり見受けられません。なおスレッドを見ると民主党(鳩山)政権批判の文脈もいくらか確認できます。
 これが2012年になると2ちゃんねる以外でもそういった疑問が確認できます。

京急のホームにある駅名表示にはどうしてあんなにハングルが書かれているのだろう。局所的に向こうの方々がたしかに多く住み着いているが、あまりにも多すぎるので、経緯を知りたいです(ぷさんのキニナル)
(中略)
まとめ
私たちの生活の足である公共交通機関において、確実に増えつつある多言語表示。
「ここは日本なのに、いったい何故?」と思う方も中にはいらっしゃるかもしれないが、昨今のグローバル化という流れを受け、今後は益々、ハングルや中国語を目にする機会が増えるだろうと感じた今回の取材だった。
京急の駅名表示がハングル表記なのはなぜ? - [はまれぽ.com] 横浜 川崎 湘南 神奈川県の地域情報サイト
2012年06月18日

この記事自体は今の様な言説とはやや異なりますが、コメント欄にはその萌芽、というよりもほぼほぼ今の言葉と同じ様な言説が見受けられます。またニコニコ動画においては”https://www.nicovideo.jp/watch/sm18059974”という様に現在と同じ言説がされています。

 また2013年11月には極右系運動において多言語(というかハングル)表示がイシューになっているのが観測できます。このページ(遠州日の丸会 “ 日本と故郷を護る” 活動日記:『多言語は見にくい』 子供でもバカでも分かります)やツイッター上では、

というような感じで現在とイコールの動きです。ここである言説は多言語批判も含みますが、根本は横断幕が表す様にハングル、というか韓国憎しの感情が優先されているといっても過言ではないかなと。 ちなみに画像のツイートにある「日本がハングル普及云々」に関してはこちらの記事で書きましたが、かなり無理のある言説でしょう。
 言説自体は2008年頃からふつふつと表出してきたものであり、噴出したのが2012~3年頃という感じなのかと考えます。言説の内容的には民主党政権部分は削ぎ落されたものの当初からその内容自体に変化はありません。

◆なぜ多言語表示になったのか

 まず直近で挙げられるのは第2次安倍政権後の観光立国政策による2014年の「 観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」。ここでは多言語対応言語の考え方として基本は英語併記をするものとして英語優先ではあるものの、英語以外の表記の必要性が高い施設については中国語、韓国語などの多言語で表記されることが望ましいとしています。観光立国とはすなわち外国からの観光客増加を目指す政策であり、多言語表示とはその上での「おもてなし」の一環と捉えることが出来るでしょう。
 それとなにもこの観光立国の提言はなにも2014年に突如出てきたものでなく、2010年の「公共交通機関における外国語等による情報提供」では「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の促進に関する法律(外客来訪促進法)」に基づき、「外国人旅行者が1人歩きできる社会を目指している」としています。検討会には交通事業者系の当事者たちが委員となっている事からも国、事業者と主に多言語表示という方向性を共有していると言っていいでしょう。またこの法律はさかのぼれば全国都道府県議会議長会のHPを見る限り、小泉政権時代の2002年の「グローバル観光戦略」に萌芽が見られ、翌年には案内標識などのガイドラインを策定する方向性へと動いています。少し懐かしい言葉ですが「ビジット・ジャパン・キャンペーン」などの文句もその頃です。遡ればもっと遡れはするでしょうが、この時点で多言語表示へと舵を切ったと考えても良いでしょう。

◆訪日外国人旅行者アンケート調査

 観光庁HPに「多言語表示・コミュニケーションの受入環境について訪日外国人旅行者にアンケート調査」(2018年3月20日)というものがあります。

”旅行中困ったことの回答は、「施設等のスタッフとのコミュニケーション」が平成28年度調査と同様最も多くなりました(26.1%)。続いて「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」”という様に多言語表示が一つのネックとしてなっている事が明らかになっています。また、以下のグラフでは

「鉄道駅」は多言語表示で困る割合が多いです。この内訳をみると誤訳であったり情報量の少なさの指摘だったりと多言語表示の有無自体以外の理由も入っていますが、表示言語数が問題になりやすい事はグラフからも明らかです。もし韓国語などが表示から消えればこの割合が増える可能性は高いでしょう。
 また韓国からの訪日客数は今現在不買運動などの一環として減少中ではあるもののそれでも2019年11月で20万人不買運動前は70万人を超える月もありました。減少前は中国に次ぐ第2位、減少後であっても中国、台湾に次ぐ第3位の人数です。いってしまえば韓国は観光のお得意様と言えるわけで、その言語表示を無くす合理的意味はあろうはずがありません。

◆まとめみたいなの

 多言語表示自体、観光立国と銘打った時点で避けようもない施策です。また日本の位置する場所を考えれば距離的に近い隣国は韓国や中国、そして実際にそこからの観光客は多い。日本に来る観光客の体験を一切無視していいという方や日本に観光客が来なくていいという方ならば話は別でしょうが、しかし国としては観光立国は今現在も謳っていますのでこの流れが逆行する事はほぼほぼあり得ないでしょう。鎖国するとかなら話は別ですが……。
 またよく指摘される事ですが多言語表示は外国人自身が判断して誰かに道を聞くという工程をある程度省くであろう事から人間が対応するコストを削減させます。災害時などにも多言語表示があった方が良いのは言わずもがなです。

 案内板での多言語表示は実生活においての日本語話者の利便性を著しく奪うものでは無く、また逆に多言語表示によって日本語以外の話者の利便性は向上し案内側はコスト削減が図れるものです。その利便性などを奪ってまで合理的な説明の無い憎悪の感情のみの言葉が生みだすものは排外のみであり、またこれにより実現するのものはそういった心性を持つ人間の満足感と達成感です。もし彼らの言っている事が実現した場合、その達成感は次につながる可能性さえありエスカレートの危険性があります。そこまでの理性が失われた社会ではないと思いたいですが、一部で話題のネタ化して定着して叩かれても出続けるもぐら叩きと化した現状は危うい。傍から見たら言ってる事、完全に排外極右ですし。

◆余談。韓国での話

https://www.youtube.com/watch?v=DORo7pM40Uwから

 韓国でも同じように電車案内に日本語、中国語表記がある模様。ただどこまで普及しているのかまでは良く分かりませんが。一応ハングルでいくつか思いつく単語でツイッターなどを検索しましたが、韓国で「日本語を使うな!」的な発言は見当たりませんでした。専用のミームとかあったら話は別ですが、それも可能性低いと思います。もしあったとしても日本よりはかなり少ないボリュームはないのではないかなと。


消費税増税後のエンゲル係数について

2017年の一時期にエンゲル係数の話題が出てきました。

2016年のエンゲル係数(家庭の消費支出全体に占める食費の比率)が25.8%と4年連続で上昇し、1987年以来29年ぶりの高水準となったことが17日、総務省の調査で分かった。 mainichi.jp


ってやつです。さらに2018年の国会において安倍晋三首相の答弁後のすぐ後にwikipediaエンゲル係数の説明が安倍首相側にとっては都合の良い内容に変更されたという件もありました。


buzzap.jp


またこれを覚えている人は少ないでしょうが2018年の統計局コラムで修正エンゲル係数なる概念が出てきてこれまた一部で話題になったりしました。いずれもエンゲル係数があがったという指摘に対して、係数が上がってもさしてそこまで問題視する必要はないという躱しかたというものです。
 それらの件の是非はひとまず論外なので置いといて、消費増税すればエンゲル係数が上がるのはほぼほぼ確実なわけで。ただそれについての報道はまだ出てない模様なので家計調査からそれを引っ張てきました。

参照先:家計調査 家計収支編

◆消費増税直後(2019年10月)のエンゲル係数
 今現在2019年10月のエンゲル係数までが公表されており、その10月のエンゲル係数は「26.4」です。これは前年同月比「25.7」と比較すれば0.7の上昇です。ちなみに2010年からの10月のエンゲル係数の推移をグラフ化したのは以下の様になります。

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2014年は消費増税8%の影響で上昇、2015年以降は何が主因で上昇しているかは不明ですが「25.7」と高い値で安定しています。2019年はここから更に上昇に転じましたが、10%への消費増税の影響は否めません。
 なお9月のエンゲル係数ですが2018年は「26.6」、2019年は「25.1」とかなりの差異が生じています。データを詳細に見てはいないので予測にすぎませんが、食料品以外の駆け込み需要の影響の可能性はそれなりにあるかなと。また災害の修理費用などによる臨時出費などの影響もあるかもしれません。


◆2010年からのエンゲル係数の推移
 2010年から2019年10月のエンゲル係数の推移は以下の様になります。全体的に上昇傾向です。 f:id:nou_yunyun:20191228215751p:plain

グラフだと少しわかりにくいですが2019年は数値が出ている10月分までで2018年と比較した場合、エンゲル係数は前年度よりもやや低めでした。ただし前述した様に10月の消費増税に合わせたエンゲル係数は前年越えであり、11月、12月のエンゲル係数も上回る可能性はそれなりに高いと考えます。
 それと1年を通したエンゲル係数は2016年から「25.8」付近で安定しています。2019年は10月時点までは「25.3」となり2016~2018年の10月時点のエンゲル係数と比較した場合「0.2~0.4」ほど低くなっていました。11月、12月が前年を超えたとしても、2019年全体で考えれば2018年のエンゲル係数とあまり変わらないと考えますが2020年以降のエンゲル係数は今よりも少し高めで安定する可能性は高いかなと。


 2019年全体のエンゲル係数が出るのは来年2月くらいとなり、また2019年全体は前年度からあまり変わる可能性はないのでニュースになったとしてもそこまで大きなものにはならないと考えます。ただし2020年は全体的に消費増税の影響が現れるでしょうし、そうなると2020年のエンゲル係数は高く出る可能性は高いです。しかしその数値が出るのは2021年。問題として扱われるとしてもちょっと先になりそう。

「令和婚」ってあったのか - 2019年の婚姻数などの推移

 元号に合わせて出生数がそんなに変わるか馬鹿! で終る話なんですが、2019年の婚姻数とか出生数のグラフとかでもでも。出典は厚生労働省令和元年(2019)人口動態統計の年間推計人口動態統計速報(令和元年10月分)などから。
なお、参照した「人口動態統計速報」は確定数とでは差異があります。速報(グラフに用いた値)は確定数に比べて上振れしている事に留意してください。

1)婚姻数
 婚姻数の月別数は人口動態統計速報から参照でき、今のところ2019年は10月までのデータが存在します。それを簡単にグラフ化したのが以下の様になります。

f:id:nou_yunyun:20191226003741p:plain

※2019年の11月、12月のデータはまだ出ていないのでそこからの累計は無視して下さい

 グラフ上から改元のあった5月に婚姻数が増えたの確かですが、その反面改元に合わせたため1月からの婚姻数は前年を下回っています。その後も全体的に低調。5月の改元に合わせた令和婚自体は大いにありましたが、それは結婚をしようとした方々がその時期に合わせて結婚しただけで結婚全体の数を押し上げてはいません。というより、10月時点で婚姻数は前年を割れています。また年間推計にはなりますが、

 2017年:606 952
 2018年:586 481
 2019年:583 000

となり婚姻数は前年度割れになる可能性が高く、できても前年度維持です。仮にこの5月に結婚した方々の出産が増えたとしても結婚総数自体はそう変わらないために出産数が改善する可能性は限りなく低いのではないかと。
 あと余談ですが離婚数は1,2年前とあまり変わらずです。

2)出生数
 これまた同データから推移を。

f:id:nou_yunyun:20191226013844p:plain

2019年の出生数はすべての月で前年を割っている状況です。この現象が改元に合わせて減っていると考えるのは正直かなりきつい認識でしょう。来年に一気に回復するとも思えません。


 結婚を先送りにして改元に合わせたタイミングの「令和婚」自体は確かに存在しています。ですが婚姻の時期が少しずれただけにすぎず全体の数に変化はありません。故にこれを少子化の話と繋げるのはあまり意味をなさないかなと。5月に結婚した方々が来年に出産(という仮定をするの少し気持ち悪いですが)したとしても、他の月の結婚数は低いわけで来年になったら出生数が回復するというのも考えづらいです。
 改元で出生数が解決したら楽だけど、んなわけない。


※余談
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https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019suikei.pdf

 韓国、シンガポース、イタリアあたりは日本より出生数が少なく、やはりここら辺で参考すべきはフランス、スウェーデンあたりなのかなーっと。

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

  • 作者:髙崎 順子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: 新書

山口敬之が書いた「ベトナムでの韓国軍慰安婦」記事の話について

 一部世間をにぎわしているジャーナリスト山口某の表向きの大きな仕事は安倍総理の書籍*1週刊文春ベトナムでの韓国軍慰安婦の件が大きいと思います。が、後者の記事に関しては以下の週刊新潮の記事にある様にその信ぴょう性に重大な疑義がついています。

週刊新潮による指摘

週刊文春「韓国軍に慰安婦」記事は山口敬之の捏造か【検証1】 | デイリー新潮

山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

安倍総理を援護したくて虚報発信! 「韓国軍に慰安婦」記事 山口敬之と公使のメール公開【検証4】 | デイリー新潮

記事内容で代表的なところは以下の通り。

1)公文書の曲解解釈

「この公文書は、①アメリカ軍の物資が勝手に売り捌かれていたり、その取引にドルが不正に使われていたりしたという経済犯罪の捜査に関連したものであり、②捜査に関連して、ベトナム税関当局が不正取引の温床になっている『トルコ風呂』を捜索したことがわかる米軍当局の文書(韓国軍幹部に宛てた手紙)だということです。確かに、文書にはその施設で売春が行なわれていた記述はあります。しかし問題となるのは、それが慰安所なのか一般の売春宿(と変わらないもの)なのかという点です」(同)
 繰り返すが、公文書には慰安所という言葉はない。
慰安所という言葉を使うのであれば、その施設に軍医や憲兵がいるなど、きちんと軍が運営管理していた実態を把握する必要があります。しかし、公文書からはそうした事実は読み取れません。逆に一般に開かれた施設であることを文書は証明しているので、軍事売春所、つまり山口氏の読み換えた慰安所ということも完全に否定されます。一般大衆に開かれていては性病予防が徹底できず軍用にふさわしくない。文書にそうあり、その要旨からもあり得ないのに、山口氏は故意に無視しており、捏造と言われても仕方がないでしょう。旧日本軍の場合、慰安所の管理体制を示す資料がありますが、この公文書にはそうしたものは何もないのです
山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

 この指摘からは山口による記事は公文書に記述されている内容を意図的に曲解してほぼほぼ捏造した結論に導いている事となります。指摘にもあるように軍による慰安所と一般の売春宿ではその性質は異なります。軍は性病感染やレイプを防ぐというお題目の為に慰安所を設営して管理するわけですが、売春宿はそういった機能はありません。その売春宿が指定されていれば多少は話は異なってきますが、不正取引の捜査対象になっている事からもその線は薄いと考えられます。引用していない部分ですがこの公文書はブラックマーケットに関する文書であり、その公文書をもってして韓国軍慰安所立証したというのは筋が悪く、その存在の立証には弱すぎます。何より公文書を曲解している時点で論外です。

2)取材者の証言の捏造

加えて山口記事ではフィンレイソン氏のコメントとして、
〈「米軍司令官が指摘している韓国の慰安所とは、韓国軍の兵士に奉仕するための大きな性的施設です。韓国兵士にセックスを提供するための施設です。それ以外の何ものでもありません」〉
 と、慰安婦が存在したことを“断言”させているが、
「TBSの取材時に“もともと韓国兵専用として提供されていた”と話しましたが、これが困った点なのです。そう聞いたことはあっても自分では知らないわけですから。誰がオーナーだったかもわかりません」
 要するに、大部分は伝聞に基づいた推測なのだ。だから、ディテールに踏み込むことなどできないのに、山口記事には、〈これらの施設は、内部が多くのブロックに分かれていて〉とか〈「(中略)当時南ベトナムでは性病が深刻な問題になっていて、特に梅毒が蔓延していました」〉などと、元大佐の証言が出てくるのだ。
「ブロックに分かれている? 馬鹿げている。そんなことは言っていない。梅毒とは決して口にしていません。そもそも流行していたのは淋病なのです」
 フィンレイソン氏はそんな風に証言する。更に山口氏は、フィンレイソン氏が一般論でしている話を無理に韓国軍の行状と結びつけ、すり替えている。
「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

 証言者自身と山口のフィルターを通した証言食い違いはこちらの表にまとめれています。元々証言者はその業務を専門としていた軍人とは言えず甚だインタビュー相手としての適格性には疑問が付きますし、その証言者の発言でさえ意図的に盛っている可能性が高くあります。証言者の方が嘘を言うメリットも考えられず、山口が自己が思う結論への誘導のために証言曲解という記者失格レベルの事をやっている可能性は高いです。またこの件はTBSがその裏付けの弱さからNGをしており、内部からも疑義がつくレベルであったといえるでしょう。

 上記二つとも事実ならば記者失格レベルの行いです。そして公文書の内容は新潮のこちらから全文が確認できますが、韓国軍慰安婦を立証する文書としては弱いとしか思えません。物資の不正取引の話の話が主であり、その施設が夜に売春をしていたというレベルの表記、且「一般大衆にサービスを提供」と記述されており軍による性管理の要素は見受けられません。これでベトナム戦争韓国軍慰安婦を立証したというには無理があります。

韓国ニュースサイトからの指摘

 文春の記事が出た際に韓国での反応は少なくハンギョレが事実ならばそれについても調査しなければ、というレベルのものでしたが、その後にオーマイニュースがこの山口の記事について検証と反論をしているので紹介します。なお、自動翻訳となりますのでご了承ください。

<주간문춘>의 박근혜 '급소' 차기, 알고보니 헛발질 - 오마이뉴스

'한국군 터키탕' 운영했다는 신모씨 추적해봤더니 - 오마이뉴스

베트남전 당시 주월미군 '난잡한' 증기탕 운영했다 - 오마이뉴스

한국군, 베트남전에서 '위안소 기획'은 했었다 - 오마이뉴스

結論から言えば、この記事は誤報の次元を越えて、歴史的史料の前後をカット歪曲した虚偽報道である。

と初っ端から記事を否定しています。検証は山口と同じ検証方法であり公文書に当たり、各証言者に取材を申し込むという類のものです。では、その指摘内容はというと。

1)公文書内容への指摘
 これは新潮の指摘と同じものです。新潮と同じくブラックマーケットなどについての公文書であるとし、一般にも開かれた売春所であったともしています。

2)書類上の大佐の実在性への疑義

山口は記事で「(韓国人シンさんが提出した-記者注)差し押さえされた物の返還を要求する書類に韓国軍スユンウォン(スー・ユンウォン)大佐の署名が入っている」と主張したが、ベトナム関連公式記録どこにも「スユンワン大佐」は存在しない。ちなみに、各群の「病的関連資料DB」を基に記録されたベトナム韓国軍の公式記録である「ベトナム派兵の韓国軍の主要な役職者編成」表で見つけることができない。

 この「スユンワン大佐」は新潮が公開している公文書上には存在しますが、オーマイニュースの指摘によればこの公文書以外に「スユンワン大佐」の存在が確認できなく、その大佐自体が存在しない可能性があります。つまりはトルコ風呂(ターキッシュバス)の所有者であるミスター・シンという不正取引の中心人物が罪を免れるために作った架空の人物の可能性があります。シン氏に語った側が嘘の名前と階級を告げた可能性もありますが、しかし軍が管理をするならばそういった嘘の人物をつくりだす必要性は薄いことから軍管理の慰安所とするには疑念が持たれます。

3)売春女性が集結した巨大なオープンマーケット性
 公文書にあるシン氏と付き合いがあったジャーナリストにあたり当時の話を聞いていますが、民間人も利用するトルコ風呂であったと述懐して軍専用ではなかった事を指摘しています。当時は韓国の軍属ではなく技術者なども訪れており、それらの人間も利用し、軍専用施設ではありません。また他の理由として、

「当時サイゴン歓楽街は「戦争特需」により、アジア売春女性が集結した巨大な「オープンマーケット」だった」とは、次の2つの理由を挙げて「韓国軍専用スチームバス」運営の可能性を一蹴した。
まず、軍のような施設を運営する治安部隊が分からないことがないのに、当時、現地でそのような話を一度も聞いたことないだろう。第二に、当時の売春市場は開放された「オープンマーケット」であり、軍の運営する悩みが私しかない

 以上の様な証言をしています。自身が聞いたことがない&慰安所を作る必要がないほどに市場が開放されていたというものであり、前半を根拠にするのは少し微妙ですし、性病管理と巨大な性市場のオープンマーケットの相性を考えればやや微妙な証言ではあるとも思われます。ただ当時「供給」に困ることがない市場があったならば慰安所を作る必要はないという判断は働く可能性はあります。甚だ人権的な意味ではよろしいとは言えなさそうな状況ではありますが。
 また公文書にあるシン氏が誰であるかを突き止めてインタビューをしていたりします。自動翻訳だと意味が分かりづらいですが、韓国軍慰安所があったという様な証言はありません。

4)トルコ風呂料金への指摘
 当時ベトナムの米軍関連に従事していた韓国人カン氏の証言によれば、

米軍は領内にスチームバスを運営したコンデンサの兵舎になっていた。サウナ入場料は5ドルだった。9分割に通勤若いベトナムの女性を見ると50、60人程度覚えている。最近の言葉の類似性の行為が行われたがセックスもした。だからトルコ風呂(スチームバス)が38ドルだったのは話にならない。

とあり、どうやら文春の指摘した38ドルという値段が高すぎるという指摘のようです。カン氏は軍人ではありませんが、その後のコリアハウス転職後の月給は15ドルであったといいます。その当時の軍人の平均月給の値段は分かりませんが、それでもこの月給と比較すれば38ドルが高いのは事実でしょうし、さらにほかにも安いそういった施設がある中で「38ドルの慰安所」というのは不自然な記述です。この証言自体は慰安所そのものをすぐさま否定するものではありませんが、記事そのものの信用性低下にはなります。

5)参戦軍人の証言

米軍は1960年代当時、韓国とベトナムでハマム(マッサージルーム付きスチームバス)を付帯の中で運営したが、韓国軍は本当にそのような「類似性の行為施設」を運営していたのだろう?筆者が取材したところでは韓国軍部隊内でトルコ風呂施設を運営した事例はなかった。当時参戦軍人も、主にサイゴン市内の私娼を利用して性欲を解消したと証言した

という様に私娼で解消していた模様です。これは取材当時を考えれば慰安所があったとしてもそれを証言できる人間が韓国社会においているかという問題もありますし、記事からは何人の参戦軍人に話を聞いたのかも不明であり、検証記事としてはやや物足りない記述ではあります。ただし当時のサイゴンにおけるオープンマーケット化などを合わせて考えれば、私娼の利用が多かったという証言には一定の信頼性はあるかと考えます。
 またこのほかにもオーマイニュースでは

-韓国軍もベトナム戦で慰安所の運営を検討したことがあると聞いた。
ベトナム派兵初期に日本軍出身某将軍がベトナムに来てシン・サンチョル大使に過去日本軍の例をあげて、私たちもパウエル将兵の厚生福祉のために慰安所のようなものを運営しようと提案したことがある。するとシン・サンチョル大使が素早く走りながら「そんな施設を軍で運営することは絶対にない」と反対した。蔡命新司令官も「ベトナムに休暇将兵を相手に営業する民間施設が多い群で運営することはない」と反対した。」

という様にベトナム戦争においてそういった施設の計画、それも日本軍出身者が考えた計画が存在してた様ですが、これは実現せずに日の目を見ることなく終わっています。韓国側が自己の潔癖性を信じる為にそう書いているという方がいるかもしれませんが、オーマイニュース朝鮮戦争時の韓国軍慰安婦の事についても指摘した数少ないい進歩系のサイトであり、また虚偽を指摘した記事で虚偽を述べる可能性は少なく、この部分は一定以上の信頼性は置けると考えます。
 計画の立案と実行では大きな差異があり、これが事実であった場合、山口の主張はもろく崩れ去るものです。


 以上でオーマイニュースによる指摘は終了しますが、新潮以上に突っ込んだ検証をしており、慰安所の計画自体があった事は提示しています。しかしそれらは反対にあい慰安所は作られずに兵士たちは私娼を利用していた、がこの話の結論になるかと考えます。韓国での最新の研究状態や韓国軍の資料が何処まで開示されているのかなどは不明ですが、現時点では「ベトナム戦争時に韓国軍慰安所があった」というのは捏造と言われても致し方ないでしょう。

 山口某に関してはジャーナリストに値しない人間であることは明白です。自身の属するイデオロギーに媚びるために捏造といって差し支えないレベルのことをしており、また事実を理解するのではなく自己に都合の良いように現実を修正(歪曲)していることを厭わない人間に見受けられます。言論人としては終わってます。



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「第五種補給品」や「洋公主」について - 電脳塵芥

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*1:余談ですが山口氏と安倍氏の初インタビュー時には山口氏の態度が横柄だ、というような批判があったりしました。これも距離の近さからインタビューが実現したのかなとか今現在では思っちゃいますよね。

関東大震災周辺時期の新聞記事 朝日新聞1923.9.1「地震と駿河湾の大海嘯」

関東大震災関連記事リンク - 電脳塵芥

大阪朝日新聞1923.9.1号外「地震駿河湾の大海嘯」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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[大阪朝日新聞関東大震災記事集]. 第14989至15018号(大正12年9月) - 国立国会図書館デジタルコレクション

地震駿河湾の大海嘯
富士山爆発の変じたものか
東海道鈴川を中心とした激震は一日午前十一時五十八分から約五分間にわたって三回あり、それからニ十分を経て二回、午後一時に至り二回に二回にわたり揺り返しがあった。鉄道線路惨害のため一二等下り特急列車は沼津に立往生をし蒲原、岩淵駅との間に約二腐りの土砂陥没した。一説には富士山を中心として山麓浮島沼が震源地であるともいわれ富士山爆発するのが地震に変化したものだろうともいわれている。この地震と同時に三保の松原に高さ九尺余の海嘯が三回にわたって□□押寄せ駿河湾の海水は四五尺増して怒涛を起こした、之がため付近に出漁中の漁船その他の船舶はその揺波で一所に打揚げられた。

 地震当日の号外です。この記事に限らず地震当初は富士山の爆発が変じたものではないかと言われています。時たま見る関東大震災記事の「富士山爆発」という記事はこういったことを言っているのではないかなと。

関東大震災周辺時期の新聞記事 朝日新聞 1923.9.19「税関の倉庫破り 艀船夫六十名共謀して」

関東大震災関連記事リンク - 電脳塵芥

朝日新聞 1923.9.19「税関の倉庫破り 艀船夫六十名共謀して」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。 ※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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税関の倉庫破り
艀船夫六十名共謀して
横浜地方裁判所の中島、坂本、岡、□部の四検事□に島川□刑事課長は十七日朝、多数の部下を率いて川崎、鶴見方面に大活動を開始した。右は横浜共同運輸の艀船夫等六十余名が二、三日の両日にわたりどさくさ紛れに倉庫から米を盗み出し、あるいは税関上屋から多数の羅紗其他輸入品を担ぎ出し、避難民を装うて六□川に係留していた事が発覚した結果である。この外鶴見川崎両署には強窃盗犯百余名検挙された。

 関東大震災時、当然ながら犯罪は多くこれまた当然ながら日本人犯罪も多く存在します。この記事中には名前がありませんが、当時の新聞上はこれらの犯罪で犯人が朝鮮人ならばその人種に言及している事を考えれば高確率で日本人による犯罪と考えられます。



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