電脳塵芥

四方山雑記

「令和婚」ってあったのか - 2019年の婚姻数などの推移

 元号に合わせて出生数がそんなに変わるか馬鹿! で終る話なんですが、2019年の婚姻数とか出生数のグラフとかでもでも。出典は厚生労働省令和元年(2019)人口動態統計の年間推計人口動態統計速報(令和元年10月分)などから。
なお、参照した「人口動態統計速報」は確定数とでは差異があります。速報(グラフに用いた値)は確定数に比べて上振れしている事に留意してください。

1)婚姻数
 婚姻数の月別数は人口動態統計速報から参照でき、今のところ2019年は10月までのデータが存在します。それを簡単にグラフ化したのが以下の様になります。

f:id:nou_yunyun:20191226003741p:plain

※2019年の11月、12月のデータはまだ出ていないのでそこからの累計は無視して下さい

 グラフ上から改元のあった5月に婚姻数が増えたの確かですが、その反面改元に合わせたため1月からの婚姻数は前年を下回っています。その後も全体的に低調。5月の改元に合わせた令和婚自体は大いにありましたが、それは結婚をしようとした方々がその時期に合わせて結婚しただけで結婚全体の数を押し上げてはいません。というより、10月時点で婚姻数は前年を割れています。また年間推計にはなりますが、

 2017年:606 952
 2018年:586 481
 2019年:583 000

となり婚姻数は前年度割れになる可能性が高く、できても前年度維持です。仮にこの5月に結婚した方々の出産が増えたとしても結婚総数自体はそう変わらないために出産数が改善する可能性は限りなく低いのではないかと。
 あと余談ですが離婚数は1,2年前とあまり変わらずです。

2)出生数
 これまた同データから推移を。

f:id:nou_yunyun:20191226013844p:plain

2019年の出生数はすべての月で前年を割っている状況です。この現象が改元に合わせて減っていると考えるのは正直かなりきつい認識でしょう。来年に一気に回復するとも思えません。


 結婚を先送りにして改元に合わせたタイミングの「令和婚」自体は確かに存在しています。ですが婚姻の時期が少しずれただけにすぎず全体の数に変化はありません。故にこれを少子化の話と繋げるのはあまり意味をなさないかなと。5月に結婚した方々が来年に出産(という仮定をするの少し気持ち悪いですが)したとしても、他の月の結婚数は低いわけで来年になったら出生数が回復するというのも考えづらいです。
 改元で出生数が解決したら楽だけど、んなわけない。


※余談
f:id:nou_yunyun:20191226014854p:plain

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019suikei.pdf

 韓国、シンガポース、イタリアあたりは日本より出生数が少なく、やはりここら辺で参考すべきはフランス、スウェーデンあたりなのかなーっと。

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

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  • 作者:髙崎 順子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: 新書

山口敬之が書いた「ベトナムでの韓国軍慰安婦」記事の話について

 一部世間をにぎわしているジャーナリスト山口某の表向きの大きな仕事は安倍総理の書籍*1週刊文春ベトナムでの韓国軍慰安婦の件が大きいと思います。が、後者の記事に関しては以下の週刊新潮の記事にある様にその信ぴょう性に重大な疑義がついています。

週刊新潮による指摘

週刊文春「韓国軍に慰安婦」記事は山口敬之の捏造か【検証1】 | デイリー新潮

山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

安倍総理を援護したくて虚報発信! 「韓国軍に慰安婦」記事 山口敬之と公使のメール公開【検証4】 | デイリー新潮

記事内容で代表的なところは以下の通り。

1)公文書の曲解解釈

「この公文書は、①アメリカ軍の物資が勝手に売り捌かれていたり、その取引にドルが不正に使われていたりしたという経済犯罪の捜査に関連したものであり、②捜査に関連して、ベトナム税関当局が不正取引の温床になっている『トルコ風呂』を捜索したことがわかる米軍当局の文書(韓国軍幹部に宛てた手紙)だということです。確かに、文書にはその施設で売春が行なわれていた記述はあります。しかし問題となるのは、それが慰安所なのか一般の売春宿(と変わらないもの)なのかという点です」(同)
 繰り返すが、公文書には慰安所という言葉はない。
慰安所という言葉を使うのであれば、その施設に軍医や憲兵がいるなど、きちんと軍が運営管理していた実態を把握する必要があります。しかし、公文書からはそうした事実は読み取れません。逆に一般に開かれた施設であることを文書は証明しているので、軍事売春所、つまり山口氏の読み換えた慰安所ということも完全に否定されます。一般大衆に開かれていては性病予防が徹底できず軍用にふさわしくない。文書にそうあり、その要旨からもあり得ないのに、山口氏は故意に無視しており、捏造と言われても仕方がないでしょう。旧日本軍の場合、慰安所の管理体制を示す資料がありますが、この公文書にはそうしたものは何もないのです
山口敬之の「韓国軍に慰安婦」捏造疑惑 根拠となった米公文書を“意図的に読み換え”?【検証2】 | デイリー新潮

 この指摘からは山口による記事は公文書に記述されている内容を意図的に曲解してほぼほぼ捏造した結論に導いている事となります。指摘にもあるように軍による慰安所と一般の売春宿ではその性質は異なります。軍は性病感染やレイプを防ぐというお題目の為に慰安所を設営して管理するわけですが、売春宿はそういった機能はありません。その売春宿が指定されていれば多少は話は異なってきますが、不正取引の捜査対象になっている事からもその線は薄いと考えられます。引用していない部分ですがこの公文書はブラックマーケットに関する文書であり、その公文書をもってして韓国軍慰安所立証したというのは筋が悪く、その存在の立証には弱すぎます。何より公文書を曲解している時点で論外です。

2)取材者の証言の捏造

加えて山口記事ではフィンレイソン氏のコメントとして、
〈「米軍司令官が指摘している韓国の慰安所とは、韓国軍の兵士に奉仕するための大きな性的施設です。韓国兵士にセックスを提供するための施設です。それ以外の何ものでもありません」〉
 と、慰安婦が存在したことを“断言”させているが、
「TBSの取材時に“もともと韓国兵専用として提供されていた”と話しましたが、これが困った点なのです。そう聞いたことはあっても自分では知らないわけですから。誰がオーナーだったかもわかりません」
 要するに、大部分は伝聞に基づいた推測なのだ。だから、ディテールに踏み込むことなどできないのに、山口記事には、〈これらの施設は、内部が多くのブロックに分かれていて〉とか〈「(中略)当時南ベトナムでは性病が深刻な問題になっていて、特に梅毒が蔓延していました」〉などと、元大佐の証言が出てくるのだ。
「ブロックに分かれている? 馬鹿げている。そんなことは言っていない。梅毒とは決して口にしていません。そもそも流行していたのは淋病なのです」
 フィンレイソン氏はそんな風に証言する。更に山口氏は、フィンレイソン氏が一般論でしている話を無理に韓国軍の行状と結びつけ、すり替えている。
「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】 | デイリー新潮

 証言者自身と山口のフィルターを通した証言食い違いはこちらの表にまとめれています。元々証言者はその業務を専門としていた軍人とは言えず甚だインタビュー相手としての適格性には疑問が付きますし、その証言者の発言でさえ意図的に盛っている可能性が高くあります。証言者の方が嘘を言うメリットも考えられず、山口が自己が思う結論への誘導のために証言曲解という記者失格レベルの事をやっている可能性は高いです。またこの件はTBSがその裏付けの弱さからNGをしており、内部からも疑義がつくレベルであったといえるでしょう。

 上記二つとも事実ならば記者失格レベルの行いです。そして公文書の内容は新潮のこちらから全文が確認できますが、韓国軍慰安婦を立証する文書としては弱いとしか思えません。物資の不正取引の話の話が主であり、その施設が夜に売春をしていたというレベルの表記、且「一般大衆にサービスを提供」と記述されており軍による性管理の要素は見受けられません。これでベトナム戦争韓国軍慰安婦を立証したというには無理があります。

韓国ニュースサイトからの指摘

 文春の記事が出た際に韓国での反応は少なくハンギョレが事実ならばそれについても調査しなければ、というレベルのものでしたが、その後にオーマイニュースがこの山口の記事について検証と反論をしているので紹介します。なお、自動翻訳となりますのでご了承ください。

<주간문춘>의 박근혜 '급소' 차기, 알고보니 헛발질 - 오마이뉴스

'한국군 터키탕' 운영했다는 신모씨 추적해봤더니 - 오마이뉴스

베트남전 당시 주월미군 '난잡한' 증기탕 운영했다 - 오마이뉴스

한국군, 베트남전에서 '위안소 기획'은 했었다 - 오마이뉴스

結論から言えば、この記事は誤報の次元を越えて、歴史的史料の前後をカット歪曲した虚偽報道である。

と初っ端から記事を否定しています。検証は山口と同じ検証方法であり公文書に当たり、各証言者に取材を申し込むという類のものです。では、その指摘内容はというと。

1)公文書内容への指摘
 これは新潮の指摘と同じものです。新潮と同じくブラックマーケットなどについての公文書であるとし、一般にも開かれた売春所であったともしています。

2)書類上の大佐の実在性への疑義

山口は記事で「(韓国人シンさんが提出した-記者注)差し押さえされた物の返還を要求する書類に韓国軍スユンウォン(スー・ユンウォン)大佐の署名が入っている」と主張したが、ベトナム関連公式記録どこにも「スユンワン大佐」は存在しない。ちなみに、各群の「病的関連資料DB」を基に記録されたベトナム韓国軍の公式記録である「ベトナム派兵の韓国軍の主要な役職者編成」表で見つけることができない。

 この「スユンワン大佐」は新潮が公開している公文書上には存在しますが、オーマイニュースの指摘によればこの公文書以外に「スユンワン大佐」の存在が確認できなく、その大佐自体が存在しない可能性があります。つまりはトルコ風呂(ターキッシュバス)の所有者であるミスター・シンという不正取引の中心人物が罪を免れるために作った架空の人物の可能性があります。シン氏に語った側が嘘の名前と階級を告げた可能性もありますが、しかし軍が管理をするならばそういった嘘の人物をつくりだす必要性は薄いことから軍管理の慰安所とするには疑念が持たれます。

3)売春女性が集結した巨大なオープンマーケット性
 公文書にあるシン氏と付き合いがあったジャーナリストにあたり当時の話を聞いていますが、民間人も利用するトルコ風呂であったと述懐して軍専用ではなかった事を指摘しています。当時は韓国の軍属ではなく技術者なども訪れており、それらの人間も利用し、軍専用施設ではありません。また他の理由として、

「当時サイゴン歓楽街は「戦争特需」により、アジア売春女性が集結した巨大な「オープンマーケット」だった」とは、次の2つの理由を挙げて「韓国軍専用スチームバス」運営の可能性を一蹴した。
まず、軍のような施設を運営する治安部隊が分からないことがないのに、当時、現地でそのような話を一度も聞いたことないだろう。第二に、当時の売春市場は開放された「オープンマーケット」であり、軍の運営する悩みが私しかない

 以上の様な証言をしています。自身が聞いたことがない&慰安所を作る必要がないほどに市場が開放されていたというものであり、前半を根拠にするのは少し微妙ですし、性病管理と巨大な性市場のオープンマーケットの相性を考えればやや微妙な証言ではあるとも思われます。ただ当時「供給」に困ることがない市場があったならば慰安所を作る必要はないという判断は働く可能性はあります。甚だ人権的な意味ではよろしいとは言えなさそうな状況ではありますが。
 また公文書にあるシン氏が誰であるかを突き止めてインタビューをしていたりします。自動翻訳だと意味が分かりづらいですが、韓国軍慰安所があったという様な証言はありません。

4)トルコ風呂料金への指摘
 当時ベトナムの米軍関連に従事していた韓国人カン氏の証言によれば、

米軍は領内にスチームバスを運営したコンデンサの兵舎になっていた。サウナ入場料は5ドルだった。9分割に通勤若いベトナムの女性を見ると50、60人程度覚えている。最近の言葉の類似性の行為が行われたがセックスもした。だからトルコ風呂(スチームバス)が38ドルだったのは話にならない。

とあり、どうやら文春の指摘した38ドルという値段が高すぎるという指摘のようです。カン氏は軍人ではありませんが、その後のコリアハウス転職後の月給は15ドルであったといいます。その当時の軍人の平均月給の値段は分かりませんが、それでもこの月給と比較すれば38ドルが高いのは事実でしょうし、さらにほかにも安いそういった施設がある中で「38ドルの慰安所」というのは不自然な記述です。この証言自体は慰安所そのものをすぐさま否定するものではありませんが、記事そのものの信用性低下にはなります。

5)参戦軍人の証言

米軍は1960年代当時、韓国とベトナムでハマム(マッサージルーム付きスチームバス)を付帯の中で運営したが、韓国軍は本当にそのような「類似性の行為施設」を運営していたのだろう?筆者が取材したところでは韓国軍部隊内でトルコ風呂施設を運営した事例はなかった。当時参戦軍人も、主にサイゴン市内の私娼を利用して性欲を解消したと証言した

という様に私娼で解消していた模様です。これは取材当時を考えれば慰安所があったとしてもそれを証言できる人間が韓国社会においているかという問題もありますし、記事からは何人の参戦軍人に話を聞いたのかも不明であり、検証記事としてはやや物足りない記述ではあります。ただし当時のサイゴンにおけるオープンマーケット化などを合わせて考えれば、私娼の利用が多かったという証言には一定の信頼性はあるかと考えます。
 またこのほかにもオーマイニュースでは

-韓国軍もベトナム戦で慰安所の運営を検討したことがあると聞いた。
ベトナム派兵初期に日本軍出身某将軍がベトナムに来てシン・サンチョル大使に過去日本軍の例をあげて、私たちもパウエル将兵の厚生福祉のために慰安所のようなものを運営しようと提案したことがある。するとシン・サンチョル大使が素早く走りながら「そんな施設を軍で運営することは絶対にない」と反対した。蔡命新司令官も「ベトナムに休暇将兵を相手に営業する民間施設が多い群で運営することはない」と反対した。」

という様にベトナム戦争においてそういった施設の計画、それも日本軍出身者が考えた計画が存在してた様ですが、これは実現せずに日の目を見ることなく終わっています。韓国側が自己の潔癖性を信じる為にそう書いているという方がいるかもしれませんが、オーマイニュース朝鮮戦争時の韓国軍慰安婦の事についても指摘した数少ないい進歩系のサイトであり、また虚偽を指摘した記事で虚偽を述べる可能性は少なく、この部分は一定以上の信頼性は置けると考えます。
 計画の立案と実行では大きな差異があり、これが事実であった場合、山口の主張はもろく崩れ去るものです。


 以上でオーマイニュースによる指摘は終了しますが、新潮以上に突っ込んだ検証をしており、慰安所の計画自体があった事は提示しています。しかしそれらは反対にあい慰安所は作られずに兵士たちは私娼を利用していた、がこの話の結論になるかと考えます。韓国での最新の研究状態や韓国軍の資料が何処まで開示されているのかなどは不明ですが、現時点では「ベトナム戦争時に韓国軍慰安所があった」というのは捏造と言われても致し方ないでしょう。

 山口某に関してはジャーナリストに値しない人間であることは明白です。自身の属するイデオロギーに媚びるために捏造といって差し支えないレベルのことをしており、また事実を理解するのではなく自己に都合の良いように現実を修正(歪曲)していることを厭わない人間に見受けられます。言論人としては終わってます。



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「第五種補給品」や「洋公主」について - 電脳塵芥

ベトナム戦争―誤算と誤解の戦場 (中公新書)

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  • 発売日: 2001/07/01
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*1:余談ですが山口氏と安倍氏の初インタビュー時には山口氏の態度が横柄だ、というような批判があったりしました。これも距離の近さからインタビューが実現したのかなとか今現在では思っちゃいますよね。

関東大震災周辺時期の新聞記事 朝日新聞1923.9.1「地震と駿河湾の大海嘯」

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大阪朝日新聞1923.9.1号外「地震駿河湾の大海嘯」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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[大阪朝日新聞関東大震災記事集]. 第14989至15018号(大正12年9月) - 国立国会図書館デジタルコレクション

地震駿河湾の大海嘯
富士山爆発の変じたものか
東海道鈴川を中心とした激震は一日午前十一時五十八分から約五分間にわたって三回あり、それからニ十分を経て二回、午後一時に至り二回に二回にわたり揺り返しがあった。鉄道線路惨害のため一二等下り特急列車は沼津に立往生をし蒲原、岩淵駅との間に約二腐りの土砂陥没した。一説には富士山を中心として山麓浮島沼が震源地であるともいわれ富士山爆発するのが地震に変化したものだろうともいわれている。この地震と同時に三保の松原に高さ九尺余の海嘯が三回にわたって□□押寄せ駿河湾の海水は四五尺増して怒涛を起こした、之がため付近に出漁中の漁船その他の船舶はその揺波で一所に打揚げられた。

 地震当日の号外です。この記事に限らず地震当初は富士山の爆発が変じたものではないかと言われています。時たま見る関東大震災記事の「富士山爆発」という記事はこういったことを言っているのではないかなと。

関東大震災周辺時期の新聞記事 朝日新聞 1923.9.19「税関の倉庫破り 艀船夫六十名共謀して」

関東大震災関連記事リンク - 電脳塵芥

朝日新聞 1923.9.19「税関の倉庫破り 艀船夫六十名共謀して」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。 ※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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税関の倉庫破り
艀船夫六十名共謀して
横浜地方裁判所の中島、坂本、岡、□部の四検事□に島川□刑事課長は十七日朝、多数の部下を率いて川崎、鶴見方面に大活動を開始した。右は横浜共同運輸の艀船夫等六十余名が二、三日の両日にわたりどさくさ紛れに倉庫から米を盗み出し、あるいは税関上屋から多数の羅紗其他輸入品を担ぎ出し、避難民を装うて六□川に係留していた事が発覚した結果である。この外鶴見川崎両署には強窃盗犯百余名検挙された。

 関東大震災時、当然ながら犯罪は多くこれまた当然ながら日本人犯罪も多く存在します。この記事中には名前がありませんが、当時の新聞上はこれらの犯罪で犯人が朝鮮人ならばその人種に言及している事を考えれば高確率で日本人による犯罪と考えられます。



新装版 関東大震災 (文春文庫)

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関東大震災周辺時期の新聞記事 読売新聞1923.9.15「朝鮮人の噂は何処から出たか」

関東大震災関連記事リンク - 電脳塵芥

読売新聞1923.9.15「朝鮮人の噂は何処から出たか」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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朝鮮人の噂は何処から出たか
今も消えぬので弱る 大元は横浜らしい
警視庁主任刑事部長(?)は□□□□捜査の□に当った小泉□□□□も「朝鮮人にして日本人を殺した者は一人も無い」と□言しているが、それにしても鮮人に関する極端に奇怪なる流言は何処からきたのか。ずいぶん苦心して調べているらしいが未だにはっきりとした出所がわからない。木下部長は「何んでも流言の元は横浜なのであるがそれ以上にはっきりしない。従ってどんな種類の人間が流言の口を切ったのかもわからないが、流言に□いて横浜東京□□中六□□□□□無暗(?)に□鐘(?)を打ったりしたのが流言(?)を産むの結果となったものである。未だにこの流言は無くならず色々な風説に形を変えては出て来るので□は困っているのだ。本□ではいま先ず第一の力を暴利取締りに注いでいるが、火事場の泥棒及び戸締のうすいのを幸いに忍び込む奴、あるいは婦女誘拐(これは取締厳重なのでまだないようだが)乃至は脅喝(この騒ぎを幸いに実業家乃至富豪などを脅喝して金品を強請するもの)などの警戒と共に流言は殊に厳重に□□□□□□□□していろ」と云ふ。

 記事がかすれている為にちょっと読めない箇所が多いのはご勘弁を。9月15日時点で警察の中には「日本人を殺した朝鮮人は一人もいない」という人間がいる状況です。この時点でもはや朝鮮人が蜂起してという記事や流言は真っ向から否定されていることがうかがえます。この時点では報道規制がされているわけでありますが、その流言が何を起こしたのかが示唆されています。



コミック昭和史 (第1巻) 関東大震災~満州事変

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関東大震災周辺時期の新聞記事 読売新聞1923.10.16「麻布の自警団六名検挙さる 」

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読売新聞1923.10.16「麻布の自警団六名検挙さる 」の記事から。

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麻布の自警団六名検挙さる
日本刀や竹槍で通行人を半殺しにした為め
九月二日午後三時半、渋谷一二一八土木請負業□阪□太郎(二七)が麻布広尾町通行中、付近警戒中の自警団に□(フリガナは「すん」)呵され答えなかっとて自警団数名に抜刀で切り付けられ、尚竹槍で背部を刺され半殺しにされたが、其後麻布□□坂署で秘密裏に捜査中であったが、麻生広尾六二米商中村数雄を団長とせる麻生広尾坂下自警団□と目星を付け、取調の末十五日麻布広尾町鎌芳行(一九)外五名を検挙し、証拠品日本刀三、竹槍二本を押収した。尚他に加害者ある見込で引続き取調中だが事件は意外に拡大する模様である。



九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

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関東大震災周辺時期の新聞記事 読売新聞1923.10.7「鮮人と見誤って母を殺した自警団員」

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読売新聞1923.10.7「鮮人と見誤って母を殺した自警団員」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に句読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

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鮮人と見誤って母を殺した自警団員
千住署管内の暴行自警団員の検挙百名にのぼろう
六日、東京地方裁判所検事局の鈴木検事主任として千住署へ出張、同署管内の自警団暴挙事件に関する取り調べであるが、警視庁でも小泉捜査課長中村強力犯係長等同署へ出張し、湖北□青木某が自警団員として警備中、九月二日の深夜団員数名と共に同人の母青木とめ(59)を罪人と見誤り殺害した外、千住町花畑村や西新井等に於ける傷害殺人の犯人数十名を検挙した。なお活動の手をゆるめず検挙終了までには尚数日を要するらしく、其数が百人近くに達するだろうといわれている。

   深夜という状況で自警団が実の母親を殺したという記事です。自ら殺害したのかともにいた自警団員が率先したのかは不明ですが、当時の深夜という時間帯に如何に不確かなもとに殺人が行われていたのかがうかがえます。また「検挙百名にのぼろう」というのは当然ながら朝鮮人ではなく自警団員です。この検挙された自警団員の罪が軽かったなどの問題はありますが、とはいえ少なくとも相当数の自警団員が暴力を働いています。



写真集 関東大震災

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関東大震災周辺時期の新聞記事 読売新聞1923.10.4「四谷の自警団に銃で射殺さる」

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読売新聞1923.10.4「四谷の自警団に銃で射殺さる」の記事から。

※一部旧字体を直し、読みやすくするために一部に読点を挿入しています。
※判別が難しい文字には後ろに(?)を、判別が無理な文字には「□」で表記しています。もし間違っていたらご指摘お願いします。

f:id:nou_yunyun:20191218004506j:plain

四谷の自警団に銃で射殺さる
―長髪の為め鮮人だとて―
犯人昨朝検挙さる
二日午後五時半、四谷伝馬町ニノ一四伊藤運送店員明大生伊藤長吉(20)が制服制帽で同町二丁目先を通ると、長髪の為に自警団に朝鮮人と間違われ露地内に追い詰められて何者かに二連銃で腰と胸をうたれ即死した。四谷署で犯人厳探の末、伝馬町ニノ九西洋料理店南洋軒事伊藤源□(□□)の所為と判り引致されたが、東京地方裁判所からは市来検事が長□書記を従えて出張、目下取調中である。

 今のところ見た記事の関東大震災記事の中では一番ひどい理由による殺害記事です。なぜ「長髪=朝鮮人」なのかは不明ですが、当時にそういった固定観念があったのかもしれません。特定の単語を言ってみろ的な尋問で殺された人間がいるのは有名な話ではありますが、こういったもっと些末な理由で殺された人間はそれなりの数いたのかもしれません。



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